紅葉を待っていたけれど この秋は暖かくて どうも美しい紅葉を望めない。
両親を連れて行きたかった。 父が病気をしてから 母は出かけることなく父に寄り添っている。 彼女は本当は とても好奇心旺盛で 出かけるのは好きなはず。 「行こっ!」って言うと 「お父さんおいて行けないからね。」って 笑って言う。
父は母がいないとまったく駄目な人で 「たまにはお母さん外に出してやったら?」って言うと「お母さんはお父さんと一緒にいられることが幸せだから良いんだよ。」と勝手ともとれる理屈を言う。
だから 両親を連れ出すのは諦めていた。
今年の春 梅林公園へ連れ出したことがあった。ほんの2時間ほどのお出かけだったし 梅もまだで残念だったのに 思いがけず両親は喜んでいた。 なんだこんなことなら私も手伝えるじゃないの。
そう思って考えたのが 岐阜市の北 金華山の反対側にある百々が峰の途中にある 松尾池。 仲間の山行きレポで どんなところか何となくは知っていた。 車で行けることも確認済み。 トイレもある。
実行日を決めるのに難航したけれど なかなか日程がとれないので もう決めようと今日にした。荷物はいつもの山スタイル。
私が山歩きしていることを知って心配している父に どんなことをしているか見てもらうためにも変わったことはしなかった。 鍋焼きうどんを持って果物を沢山切って はんぺんを焼いて食べようと 持って出た。
今日は寒いかな? 防寒具を予備に沢山持って出る。
さて松尾池 父は行ったことがあるという。 興味なさそう。 退職後県の校長会館にいて夏の友の編集をしていたころ 松尾池の撮影に行ったと言うのだ。 「あそこには沢山の鴨がいて それが写真に入らないように パンで おびき出していた。」という。
そうか あんまり興味ないのかぁ
鵜飼い大橋を渡った後 左に曲がって山に向かうと直ぐに松尾池についた。
写真で見たとおりだったけれど 確かに静で 風情のある場所。
父の仕事の邪魔者にされていた鴨が沢山泳いでいる。
水は綺麗なのに 深い緑で なかなか良い感じ。
でも思ったより小さいと感じた。 これじゃぁ直ぐに帰るって言うかな? 東屋にいた人に聞いてみると 池の周りの散策なら 年寄りでもできるよと言われた。
じゃぁと ゆっくり ゆっくり 歩き始める。
父は肺気腫があるので 急いで歩くことはできない。色づき始めたドウダンの赤やドングリの黄色を楽しみながら振り返り見上げすすんでいく。 はぁはぁいって直ぐに腰掛けるものの 「良いところだなぁ。」っていう
母も「山っていいねぇ おじいさんが(母の父親)山が好きで好きで仕方なかったの解るよ。」そう言って 少女の様に落ち葉を拾い集めて 大事そうにハンカチに包んでいる。
川に動いているアメンボウを見つけては 橋の上からのぞき込んでいる。
「ここから少し行ったところに滝があるんだって。」
少し登り道になっているので 息子が先遣隊となって見に行く。
「三分もしたらつくよ。」の言葉に 腰掛けていた父もまた歩き出す。
「写真撮っておいてくれ うちへ帰ったら水墨画にしてみたい。」
心配した父も休み休みながら池を一周できたし ほんの小さな秋だったけれど 母にプレゼントできたし
良かったのかな?
戻って 急に吹き出した冷たい風の中で 熱々の鍋焼きうどんをつくって食べた。 二人前を4人でわけたけれど はじめての経験に 二人の好奇心は充分満たされたようで みんなが何となく 良かったと思えた一日になった。
こんな簡単な お出かけなら私も協力できる。 もっと沢山の素敵な場所探しとこう。
一緒に季節を感じに行けるぞ