・友達の家に行っても、そのお家のお母様のお手伝いをしたり、幼い子どもたちの相手をしたりするのは得意でした。
「まあ、阿川さんは偉いわね。きっとこの仲間の中では、一番早くお嫁に行くでしょうね」
・(遠藤周作さんは)息子さんにガールフレンドから電話がかかってくると、よくイタズラをなさったそうです。たとえば、息子さんに女の子から電話がかかり、遠藤さんがその電話をとると、
「〇〇さんですか? この間は息子が箱根にご一緒させていただいたそうで、その節はお世話になりました」
するとその女の子、自分に覚えのない話。さては彼ったら、他の女の子と旅行に行ったんだわ! 怒って電話を切ってしまいます。でも、これはまったくの作り話なのです。
また、こんなこともなさいます。
「おおい、電話やでえ。なに? 留守って言えって? そりゃ悪いやないか」
わざと大きな声で叫び、おもむろに電話に戻って、
「あ、もしもし、息子は留守ですが・・・」
・おそらく私は、人に嫌われることに対する極度の恐怖心があったのだと思います。
・本当に人を好きになるというのは、その人のいいところも悪いところも弱みも何もかも、すべてを受け入れることだと知ったのは、ずいぶんあとになってからのことです。
・昔からそうでしたが、自分からアプローチできない性分でした(今はわかりませんぞ)。
・あ、嫌われたなと思ったら、すぐに身を引く。私に興味がなさそうな男の人は、はじめから好きにならないようにする。疎まれても、ぼろぼろになっても、その人を慕い続けるような粘り強さはないのです。
・私はほんとうに結婚したかったのです。
ところが、どこで狂ったのか気がついてみると、適齢期はとっくに過ぎて、三十になり、四十になり・・・。予想外の人生の展開に驚いているのは、ほかならぬ本人なのです。
・私は昔から子どもが好きでした。
「サウンド・オブ・ミュージック」のマリアに憧れ、保母さんになりたいと思っていた頃もありました。年の離れた弟の世話もずいぶんしたし、電車の中で可愛い子どもとか赤ん坊を見かけると、あやしたくなってしまいます。
・かくしてしだいに、結婚した友達と会う機会が少しずつ減っていき、気がつくと、学生時代はそれほど親しかったわけではないけれど、お互いに「結婚せずに仕事をしている」という共通項をきっかけに仲良くなった、売れ残り同士が寄り添うことになるのです。
・「私なんて、なーにも考えずに結婚しちゃったから・・・」母の口癖を聞くたびに、ああ、それがいちばんなのかな、と思うのです。
・彼との交際に反対したのは、父だけではありませんでした。
友達の中にも、
「あなたたち、会わないと思う」と言いだす人がいたのです。
彼の就職が決まって、そのうち結婚という気分になったものの、卒業してすぐ家庭に納まる人生ってなんなんだろう? このまま奥さんになるだけの人生でいいのだろうか? ふとこんな根本的なことを悩み始めました。駆け落ちして結婚したところで、将来、苦労するだろう。まわりの反対を押し切って、果たして幸せを掴めるものか。自信がありませんでした。
かくして、私たちは卒業を前にして別れる形になりました。
初めて意識した結婚は自然消滅したのです。
・最初の頃は、まさか三十数回におよぶお見合い遍歴になるとは思ってもいなかったんですから・・・。
・私は自分で言うのも何ですか、女っぽい女ではありません。ところが、そんな私にとってもいい女に見られたい、という気持ちはあります。これが人間の性というもの。お見合いなのですから・・・。
・お見合いという紹介システムに、釣書はどうしても欠かせないものですが、それには利点もあり、欠点もあるように思われます。私の場合は、情報にずいぶん惑わされてしまいました。
・ここが困った点なんですが、私にはこれだと決める判断力がないのです。たくさんの選択肢の中から「これにする」と決められないのです。ようするに、優柔不断なのです。
ですから、お見合いをするときも、自分で選べないから他人の意見をなるべく多く取り入れることにしていたきらいがあります。そのくせ「じゃ、これにしなさい」と決めつけられると反発したくなるという、どうにもやっかいな面もあります。
私が優柔不断なのは、持って生まれた性格に加え、「自分で決め、自分で責任をとる」という訓練を小さい頃からしてこなかったせいだと思います。
「あなたの欠点は自分の判断に自信がないことだ」
大人になってから、人にずいぶんこういう指摘されました。
・自分の生き方にそぐわない女性を、いくら愛していても奥さんにしないでしょう。ことにお見合いをする男性は、そういう傾向が見えました。相手に惚れるかどうかは二の次。
ところが、お見合いをしている女性は、まず相手に惚れたい。相手には恋人であり、夫になり得る人を望んでいます。自分のこれまでの人生を大きくバラ色に転換してくれそうな人が現れるのを待ち望んでいます。
・私のまわりを見回してみると、楽観的な人のほうがお見合いでもとても幸せな結婚をしています。ポジティブに、あっ、いいわと思い、この人とうまくやっていけると思えば、なんでもどんどんうまく転がっていくような気がします。
感想;
昔はお見合いでの結婚が普通でした。
阿川佐和子さんとは同年代です。
お見合いで結婚する人が多かったです。
それが恋愛結婚が増えましたが、なかなか出会う機会がありません。
結婚相談所が増え、そしてアプリでの出会い。
出逢いのきっかけは何でもよいのでしょう。
生きている幸せの一つは、いろいろな”出逢い”だと思います。
言葉との出逢い、本との出逢い、人との出逢い、パートナーとの出逢い。
好きな夏川りみさんの歌「微笑みにして」に下記のフレーズがあります。
「人は出逢いと別れ、繰り返しながら幸せになるのね」
そういう出逢いを積み重ねたいです。
「まあ、阿川さんは偉いわね。きっとこの仲間の中では、一番早くお嫁に行くでしょうね」
・(遠藤周作さんは)息子さんにガールフレンドから電話がかかってくると、よくイタズラをなさったそうです。たとえば、息子さんに女の子から電話がかかり、遠藤さんがその電話をとると、
「〇〇さんですか? この間は息子が箱根にご一緒させていただいたそうで、その節はお世話になりました」
するとその女の子、自分に覚えのない話。さては彼ったら、他の女の子と旅行に行ったんだわ! 怒って電話を切ってしまいます。でも、これはまったくの作り話なのです。
また、こんなこともなさいます。
「おおい、電話やでえ。なに? 留守って言えって? そりゃ悪いやないか」
わざと大きな声で叫び、おもむろに電話に戻って、
「あ、もしもし、息子は留守ですが・・・」
・おそらく私は、人に嫌われることに対する極度の恐怖心があったのだと思います。
・本当に人を好きになるというのは、その人のいいところも悪いところも弱みも何もかも、すべてを受け入れることだと知ったのは、ずいぶんあとになってからのことです。
・昔からそうでしたが、自分からアプローチできない性分でした(今はわかりませんぞ)。
・あ、嫌われたなと思ったら、すぐに身を引く。私に興味がなさそうな男の人は、はじめから好きにならないようにする。疎まれても、ぼろぼろになっても、その人を慕い続けるような粘り強さはないのです。
・私はほんとうに結婚したかったのです。
ところが、どこで狂ったのか気がついてみると、適齢期はとっくに過ぎて、三十になり、四十になり・・・。予想外の人生の展開に驚いているのは、ほかならぬ本人なのです。
・私は昔から子どもが好きでした。
「サウンド・オブ・ミュージック」のマリアに憧れ、保母さんになりたいと思っていた頃もありました。年の離れた弟の世話もずいぶんしたし、電車の中で可愛い子どもとか赤ん坊を見かけると、あやしたくなってしまいます。
・かくしてしだいに、結婚した友達と会う機会が少しずつ減っていき、気がつくと、学生時代はそれほど親しかったわけではないけれど、お互いに「結婚せずに仕事をしている」という共通項をきっかけに仲良くなった、売れ残り同士が寄り添うことになるのです。
・「私なんて、なーにも考えずに結婚しちゃったから・・・」母の口癖を聞くたびに、ああ、それがいちばんなのかな、と思うのです。
・彼との交際に反対したのは、父だけではありませんでした。
友達の中にも、
「あなたたち、会わないと思う」と言いだす人がいたのです。
彼の就職が決まって、そのうち結婚という気分になったものの、卒業してすぐ家庭に納まる人生ってなんなんだろう? このまま奥さんになるだけの人生でいいのだろうか? ふとこんな根本的なことを悩み始めました。駆け落ちして結婚したところで、将来、苦労するだろう。まわりの反対を押し切って、果たして幸せを掴めるものか。自信がありませんでした。
かくして、私たちは卒業を前にして別れる形になりました。
初めて意識した結婚は自然消滅したのです。
・最初の頃は、まさか三十数回におよぶお見合い遍歴になるとは思ってもいなかったんですから・・・。
・私は自分で言うのも何ですか、女っぽい女ではありません。ところが、そんな私にとってもいい女に見られたい、という気持ちはあります。これが人間の性というもの。お見合いなのですから・・・。
・お見合いという紹介システムに、釣書はどうしても欠かせないものですが、それには利点もあり、欠点もあるように思われます。私の場合は、情報にずいぶん惑わされてしまいました。
・ここが困った点なんですが、私にはこれだと決める判断力がないのです。たくさんの選択肢の中から「これにする」と決められないのです。ようするに、優柔不断なのです。
ですから、お見合いをするときも、自分で選べないから他人の意見をなるべく多く取り入れることにしていたきらいがあります。そのくせ「じゃ、これにしなさい」と決めつけられると反発したくなるという、どうにもやっかいな面もあります。
私が優柔不断なのは、持って生まれた性格に加え、「自分で決め、自分で責任をとる」という訓練を小さい頃からしてこなかったせいだと思います。
「あなたの欠点は自分の判断に自信がないことだ」
大人になってから、人にずいぶんこういう指摘されました。
・自分の生き方にそぐわない女性を、いくら愛していても奥さんにしないでしょう。ことにお見合いをする男性は、そういう傾向が見えました。相手に惚れるかどうかは二の次。
ところが、お見合いをしている女性は、まず相手に惚れたい。相手には恋人であり、夫になり得る人を望んでいます。自分のこれまでの人生を大きくバラ色に転換してくれそうな人が現れるのを待ち望んでいます。
・私のまわりを見回してみると、楽観的な人のほうがお見合いでもとても幸せな結婚をしています。ポジティブに、あっ、いいわと思い、この人とうまくやっていけると思えば、なんでもどんどんうまく転がっていくような気がします。
感想;
昔はお見合いでの結婚が普通でした。
阿川佐和子さんとは同年代です。
お見合いで結婚する人が多かったです。
それが恋愛結婚が増えましたが、なかなか出会う機会がありません。
結婚相談所が増え、そしてアプリでの出会い。
出逢いのきっかけは何でもよいのでしょう。
生きている幸せの一つは、いろいろな”出逢い”だと思います。
言葉との出逢い、本との出逢い、人との出逢い、パートナーとの出逢い。
好きな夏川りみさんの歌「微笑みにして」に下記のフレーズがあります。
「人は出逢いと別れ、繰り返しながら幸せになるのね」
そういう出逢いを積み重ねたいです。