https://news.line.me/detail/oa-gendaibusiness/hfzpdltfop5b?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none 2022年9月24日 09:00現代ビジネス
全国で700以上の保育園が休園に
コロナ禍が2020年に始まってすでに3年目に入る。2022年の夏は第7波で感染が拡大し、感染者数は多いままだ。。こんなに長くコロナ禍が続くとは誰が予想していただろうか。
コロナの感染拡大が始まった2020年3月からには突然、多くの学校が臨時休校となり、保育園登園の自粛要請などもあった。最初は一部の都府県だけに発出されだった緊急事態宣言も、4月からは全国に出された。
感染者が出ておらず、登園自粛が全く実施されなかった地域もあれば、感染者が多数出て保育園への登園自粛が実際に実施された地域もある。自治体にしても保育園にしても、何が正解かがわからない中で対応を迫られ、親たちもそれに振り回された。その結果2020年4月16日には、全国で168の保育園が休園となった。
2022年に入ってからの第6波では、多くの子どもや保育士にまで感染が広がり、保育園では突然のクラス閉鎖や休園が相次ぎ、多くの親たちが右往左往することになった。2022年2月のピーク時には全国で777か所の保育園が休園となった。親たちは保育園の休園やクラス閉鎖をどう乗り切り、子育てと仕事をどうやりくりしたのだろうか。
親たちの苦痛に満ちた叫び
筆者は立教大学の安藤道人准教授と一緒に、第6波で休園した保育園の保護者に調査を実施し、9道府県にある13の保育園に在園する402人の親から回答を得た。その中で、在宅勤務でなんとか仕事を続けた親からの回答にはこのようなことが書かれていた。
在宅勤務ができる環境ということもあり、仕事は通常の量をなんとかこなした。同僚も同じ状況の人が多く、自分の仕事を他の人に頼みづらい。日中は子を見ながらのため、深夜や早朝の時間に仕事をしていた。サービス残業もした。母親、保育士、会社員、調理師、ひとりで何役もこなし、体力の限界を感じた。在宅勤務でも子を見ながらは無理がある。 心配なこと不安なことが一気に押し寄せてくる。子供の体調についてが一番心配。その次に、職場で同じような状況の人がいないので本当の意味では理解してもらえてないと思うし、申し訳なく思うことがストレス。在宅勤務しながら小1長男のオンライン授業サポート、それらを邪魔しないように3歳の次男を見るのは本当に本当に大変です。家の中はぐちゃぐちゃで、夕方には力尽きています。在宅勤務で仕事を継続できた人は恵まれていたともいえる。だがそれでも、母親はヘトへトだったのだ。
母親にのしかかる多大な負担
ここで改めて、第6波で休園した保育園に子どもを預けていた親の状況を見てみよう。
まず保育園の休園期間を尋ねた質問に対して、1週間以内だったと回答した人は約5割弱、1週間から2週間が3割弱、2週間から3週間が1割強、3週間以上が1割強となっている。中には一か月以上休園になったという人も16人いた。
クラスで一人でもコロナにかかると、クラス全体が学級閉鎖になり、PCR検査で陰性でも一週間自宅待機で、仕事を休まないといけなくなり、月の半分ほど休むことに。有給もなくなり欠勤状態で不安とストレスです。本当にどうにかしてほしいです。続いて「休園の仕事への影響」を聞くと、「仕事を急に休まざるをえないことがあった」と答えた人は7割強、「仕事を十分にこなせなくなった」人は4割弱、「勤務日数を減らした」人や「勤務時間を減らした」人、「収入が減った」人はそれぞれ2割強である(複数回答可)。「職場に申し訳ない気持ちになった」人は6割弱いた。また3人が保育園の休園によって仕事を辞めている。
それでは、保育園が休園になった間、親は子どもの世話をどうしていたのだろうか。複数回答で選択肢から選んでもらったが、「父親が仕事を休んだ」が3割、「母親が仕事を休んだ」が7割、「在宅勤務をした」が3割、「祖父母に頼んだ」が2割強である。中には「上の子に頼んだ」人が6人、「子どもだけで留守番させた」人が4人いた。
保育園の休園やクラス閉鎖が保護者の生活にどのような影響を与えたのかも聞いてみた。結果は「ストレスを強く感じることがあった」人は6割、「体力的につらくなることがあった」人は4割、「先々の生活が不安になることがあった」人が3割弱、「休園がいつまで続くか分からず途方にくれた」人が3割、実際に「経済的に苦しくなった」人が2割、「このままだと働き続けられないと感じた」人が2割となっている(複数回答可)。休園期間中の育児や家事の分担を巡ってだろうか、「パートナー(夫や妻)に不公平感を感じた」という人も2割強いた。
例えばこんな自由記述があった。結局、何もかも母親が担うことになるという悩みの声だ。
家庭の問題、夫婦間の問題なのかもしれないが、保育園が休園になるにあたり、それだけではなく子育て全般にいえるが、母親にばかり負担がかかる事に悩む。夫の世話もしないといけない分、ひとり親の方がマシなのでは?と考えてしまうが、休園で母親が休む分、父親には働いてもらわないと困るし、堂々巡りです。アンケートの自由記述欄には、「保育園のありがたみが身にしみた」という意見もあれば、「誰も頼ることができないと分かった」と休園の辛さが窺える回答もある。
仕事も休めない…
また、仕事を休んだ人の中には小学校休業等対応助成金を受給できた人もできなかった人も、職場にこれ以上迷惑をかけられないと申請しなかった人もいる(小学校休業等対応助成金は小学校の休校や保育園の休園などで保護者が仕事を休んだ場合に有給扱いにする助成金で、雇用主が申請し、保護者に支給することになっている)。
ひとり親でパートのため休む分給料がへる。看護師なので在宅勤務などもできないのですごく辛い。仕事を休まないといけない。迷惑はかかるし休むとパートで時給生活のため収入に即影響する。たまたま会社が助成金を使ってくれた制度の内容が会社に結局負担をかけてしまう内容だったので申し訳ない気持ちになった。会社も雇用される側も気持ちよく申請できる制度にしてほしい。小学校休業助成金は、勤務先に手間がかかるため申請する予定はない。急な欠勤が続き、ただでさえ迷惑をかけてしまったという思いがあるので。有休がほぼなくなってしまったので、今後、子供の病気等で休みにくくなると思います。欠勤だと給料も減ってしまう。
いつまで続くのだろうか?
いつになったらコロナの波は収まるのだろうか。
2022年夏の第7波においては、感染者がかつてなく増える中で保育園の休園を避けるため、多くの自治体で保育園での濃厚接触者の特定を取りやめている。それでも2022年8月初旬には138の保育園が全面休園となっている。
感染は広がり、保育士の負担も重く、保育園の休園やクラス閉鎖にいつなるか分からず、親はびくびくするばかりだ。しかも2022年の冬には、コロナとインフルエンザの両方が流行すると想定されている。この厳しい環境で、子育てが国や自治体からないがしろにされていると、怒りを持つ親もいる。
現場の先生方は本当によく頑張ってくださっていると思う。今は親と保育士の頑張りでなんとか耐えているだけ。この国では子供の安全も健康も見捨てられているんだなという憤りを日々強めています。この見捨てられ感がどれだけ心を削っていくのかもっと知ってほしい。感染を広げないよう意識すると他人の助けも得にくく、コロナ禍で子育てすることは試練の連続である。冬に来るかもしれない次の感染の波を、親子は乗り超えられるだろうか。「少子化は国難」とも言われ、こども家庭庁の開設が予定されている。だが多くの親子には、社会が子育てを応援しているとは感じられないのだ。
<文・前田 正子(甲南大学マネジメント創造学部教授)>
感想;
なぜ、政府は困っている人に手を差し伸べないのでしょうか?
ただ一つ言えているのは、コロナが流行り始めに小中高一斉休校を決めたのは愚策だったということです。
その時点でも、”おかしい”と思いましたが、今から思うと、愚策そのものだったように思います。
シングルマザーはとても大変でした。
全国で700以上の保育園が休園に
コロナ禍が2020年に始まってすでに3年目に入る。2022年の夏は第7波で感染が拡大し、感染者数は多いままだ。。こんなに長くコロナ禍が続くとは誰が予想していただろうか。
コロナの感染拡大が始まった2020年3月からには突然、多くの学校が臨時休校となり、保育園登園の自粛要請などもあった。最初は一部の都府県だけに発出されだった緊急事態宣言も、4月からは全国に出された。
感染者が出ておらず、登園自粛が全く実施されなかった地域もあれば、感染者が多数出て保育園への登園自粛が実際に実施された地域もある。自治体にしても保育園にしても、何が正解かがわからない中で対応を迫られ、親たちもそれに振り回された。その結果2020年4月16日には、全国で168の保育園が休園となった。
2022年に入ってからの第6波では、多くの子どもや保育士にまで感染が広がり、保育園では突然のクラス閉鎖や休園が相次ぎ、多くの親たちが右往左往することになった。2022年2月のピーク時には全国で777か所の保育園が休園となった。親たちは保育園の休園やクラス閉鎖をどう乗り切り、子育てと仕事をどうやりくりしたのだろうか。
親たちの苦痛に満ちた叫び
筆者は立教大学の安藤道人准教授と一緒に、第6波で休園した保育園の保護者に調査を実施し、9道府県にある13の保育園に在園する402人の親から回答を得た。その中で、在宅勤務でなんとか仕事を続けた親からの回答にはこのようなことが書かれていた。
在宅勤務ができる環境ということもあり、仕事は通常の量をなんとかこなした。同僚も同じ状況の人が多く、自分の仕事を他の人に頼みづらい。日中は子を見ながらのため、深夜や早朝の時間に仕事をしていた。サービス残業もした。母親、保育士、会社員、調理師、ひとりで何役もこなし、体力の限界を感じた。在宅勤務でも子を見ながらは無理がある。 心配なこと不安なことが一気に押し寄せてくる。子供の体調についてが一番心配。その次に、職場で同じような状況の人がいないので本当の意味では理解してもらえてないと思うし、申し訳なく思うことがストレス。在宅勤務しながら小1長男のオンライン授業サポート、それらを邪魔しないように3歳の次男を見るのは本当に本当に大変です。家の中はぐちゃぐちゃで、夕方には力尽きています。在宅勤務で仕事を継続できた人は恵まれていたともいえる。だがそれでも、母親はヘトへトだったのだ。
母親にのしかかる多大な負担
ここで改めて、第6波で休園した保育園に子どもを預けていた親の状況を見てみよう。
まず保育園の休園期間を尋ねた質問に対して、1週間以内だったと回答した人は約5割弱、1週間から2週間が3割弱、2週間から3週間が1割強、3週間以上が1割強となっている。中には一か月以上休園になったという人も16人いた。
クラスで一人でもコロナにかかると、クラス全体が学級閉鎖になり、PCR検査で陰性でも一週間自宅待機で、仕事を休まないといけなくなり、月の半分ほど休むことに。有給もなくなり欠勤状態で不安とストレスです。本当にどうにかしてほしいです。続いて「休園の仕事への影響」を聞くと、「仕事を急に休まざるをえないことがあった」と答えた人は7割強、「仕事を十分にこなせなくなった」人は4割弱、「勤務日数を減らした」人や「勤務時間を減らした」人、「収入が減った」人はそれぞれ2割強である(複数回答可)。「職場に申し訳ない気持ちになった」人は6割弱いた。また3人が保育園の休園によって仕事を辞めている。
それでは、保育園が休園になった間、親は子どもの世話をどうしていたのだろうか。複数回答で選択肢から選んでもらったが、「父親が仕事を休んだ」が3割、「母親が仕事を休んだ」が7割、「在宅勤務をした」が3割、「祖父母に頼んだ」が2割強である。中には「上の子に頼んだ」人が6人、「子どもだけで留守番させた」人が4人いた。
保育園の休園やクラス閉鎖が保護者の生活にどのような影響を与えたのかも聞いてみた。結果は「ストレスを強く感じることがあった」人は6割、「体力的につらくなることがあった」人は4割、「先々の生活が不安になることがあった」人が3割弱、「休園がいつまで続くか分からず途方にくれた」人が3割、実際に「経済的に苦しくなった」人が2割、「このままだと働き続けられないと感じた」人が2割となっている(複数回答可)。休園期間中の育児や家事の分担を巡ってだろうか、「パートナー(夫や妻)に不公平感を感じた」という人も2割強いた。
例えばこんな自由記述があった。結局、何もかも母親が担うことになるという悩みの声だ。
家庭の問題、夫婦間の問題なのかもしれないが、保育園が休園になるにあたり、それだけではなく子育て全般にいえるが、母親にばかり負担がかかる事に悩む。夫の世話もしないといけない分、ひとり親の方がマシなのでは?と考えてしまうが、休園で母親が休む分、父親には働いてもらわないと困るし、堂々巡りです。アンケートの自由記述欄には、「保育園のありがたみが身にしみた」という意見もあれば、「誰も頼ることができないと分かった」と休園の辛さが窺える回答もある。
仕事も休めない…
また、仕事を休んだ人の中には小学校休業等対応助成金を受給できた人もできなかった人も、職場にこれ以上迷惑をかけられないと申請しなかった人もいる(小学校休業等対応助成金は小学校の休校や保育園の休園などで保護者が仕事を休んだ場合に有給扱いにする助成金で、雇用主が申請し、保護者に支給することになっている)。
ひとり親でパートのため休む分給料がへる。看護師なので在宅勤務などもできないのですごく辛い。仕事を休まないといけない。迷惑はかかるし休むとパートで時給生活のため収入に即影響する。たまたま会社が助成金を使ってくれた制度の内容が会社に結局負担をかけてしまう内容だったので申し訳ない気持ちになった。会社も雇用される側も気持ちよく申請できる制度にしてほしい。小学校休業助成金は、勤務先に手間がかかるため申請する予定はない。急な欠勤が続き、ただでさえ迷惑をかけてしまったという思いがあるので。有休がほぼなくなってしまったので、今後、子供の病気等で休みにくくなると思います。欠勤だと給料も減ってしまう。
いつまで続くのだろうか?
いつになったらコロナの波は収まるのだろうか。
2022年夏の第7波においては、感染者がかつてなく増える中で保育園の休園を避けるため、多くの自治体で保育園での濃厚接触者の特定を取りやめている。それでも2022年8月初旬には138の保育園が全面休園となっている。
感染は広がり、保育士の負担も重く、保育園の休園やクラス閉鎖にいつなるか分からず、親はびくびくするばかりだ。しかも2022年の冬には、コロナとインフルエンザの両方が流行すると想定されている。この厳しい環境で、子育てが国や自治体からないがしろにされていると、怒りを持つ親もいる。
現場の先生方は本当によく頑張ってくださっていると思う。今は親と保育士の頑張りでなんとか耐えているだけ。この国では子供の安全も健康も見捨てられているんだなという憤りを日々強めています。この見捨てられ感がどれだけ心を削っていくのかもっと知ってほしい。感染を広げないよう意識すると他人の助けも得にくく、コロナ禍で子育てすることは試練の連続である。冬に来るかもしれない次の感染の波を、親子は乗り超えられるだろうか。「少子化は国難」とも言われ、こども家庭庁の開設が予定されている。だが多くの親子には、社会が子育てを応援しているとは感じられないのだ。
<文・前田 正子(甲南大学マネジメント創造学部教授)>
感想;
なぜ、政府は困っている人に手を差し伸べないのでしょうか?
ただ一つ言えているのは、コロナが流行り始めに小中高一斉休校を決めたのは愚策だったということです。
その時点でも、”おかしい”と思いましたが、今から思うと、愚策そのものだったように思います。
シングルマザーはとても大変でした。