「答えを出さない生きかた ~一人で抱え込まないで」 講師 石井綾華氏」
Light Ringツイッター
NPO Light Ring HP
Light Ringの活動。
こころの病の予防に着目し、若者同士が支え合える社会を目指して活動
本日の流れ
1.初めの挨拶
2.若者に自殺/孤独・孤立の社会問題について
3.事業紹介
4.自分を守るメンタルヘルス 第1章 簡単な基礎知識
5.自分を守るメンタルヘルス 第2章 ネガティブケイパビリティ
6.チャットで受けている質問・コメント等への回答
7.終わりの挨拶
1.初めの挨拶
平成元年生まれ 33歳 福島県郡山市。
幼少期 両親の顔色をうかがう日常。
少学5年 過度なダイエットで摂食障害になり入院。
体温調整ができない、学校に行けない。
小学6年 医師や同級生や家族の言動に助けられる。
高校3年 父親が精神疾患による肝硬変で他界
「自分の好きなように息なさい」
大学4年 特定非営利活動法人Ling Ring設立
東京都港区の若者自殺対策支援会議委員を務める。
父の死に接して。人は簡単に死んでしまうんだなと思った。
気軽に話せる人がいたら父はもっと生きていられたのではないかと思った。
カウンセラーを考えたけど、身近な人を助けるにはNPOがあるのではないかと思って、5人で立ち上げた。
自分の心も身近な人も支えることができる。
2.若者に自殺/孤独・孤立の社会問題について
社会に問題があると考えている。自殺者約2万人(年間)。行方不明や変死者は含まれていない。
背景には精神疾患や心理的孤立がある。
海外と比較しても、自殺が自殺1位は日本と韓国。韓国は薬物依存が多い。
自ら自殺を選んでしまう理由
逃げてもいい場所がない。
何をしたかがわからない。
人間関係がうまくできない。
できない自分がイヤになり責めている。
結果だけが評価され、自分を大事にすることが、許されない。
Googleに「死にたい」で検索する人が10~20万人/日
相談したかったけど。いろいろ考えて結果的にできなかった
・実際に相談はしたけど、聴いてくれている感じがしなかったといった事例もこの少ない数値に影響しているのでないか
⇒
私たちLight Ringはこれに対して
『悩みを打ち明けることを積極的にできる人』
『相手の相談を適切に受けることができる人』
を増やすことで、相談をきっかけに自殺を思いとどまる人を増やせると考えています。
必要によって、専門家につなげることができる。
一般的なメンタルケア
◆こころの不調を感じたら
・心療内科、精神科、学校の相談室などに通う
・カウンセリングや、必要に応じて薬物療法を行う
しかしながら・・・
・医療機関は敷居が高い・・・
・悪化、発病してからの対処となる
希死念慮が高まるほど人に頼りにくくなる。
Light Ringの着目点
・身近な人の支えも必要
・医療機関にかかる前の一次予防
・専門機関は敷居が高い
・悩んでいる人は自分から動けない
⇒専門機関へ行きづらい人も、周りに家族や友人、恋人がいる
”身近な人が支える”という視点に注目
身近な人が早期発見能力が高いと精神保健福祉士として感じる。
一次予防、二次予防、三次予防
逃げる場を用意してあげられるのは、身近な人。
「身近な人を支えるため」に必要なスキル
1)セルフヘルプ 相手を守るために、自分の守り方(セルフケア方法)を身に付ける
2)適度な距離感 相談を受ける時の”ちょうどよい距離感”を測る
3)聴く 「相談してよかった」と思ってもらえる傾聴スキルを身に付ける
4)つなげる 深刻すぎる悩みを受けた時、適切な専門家等と、支援ネットワークを作る
3.事業紹介
1)ソーシャルサポート養成講座
4つのスキルを1日で学べる
2)Light Ring Time(友達を支えたいあなたの居場所)
3-4名の各グループに分かれ、「身近な人の悩みを受けた経験」を共有し、自分の周りの人間関係にについて、学生に振り返ってもらう
自分が眠れているか/食事ができているかを確認する。
できたことも書き出してみる
3)「若者自殺対策ゲートキーパー」の育成と支援を専門にしています。
全国の支える人のオンラインの場も設けている。
悩みを打ち明ける力と受ける力を育成。
4)全国オンラインコミュニティ
「ringS」
1)セルフケア実践ワーク
2)ケースカンファレンス
インスタグラムでも情報提供を行っている。
活動を通してみえてきたこと
・支え方を学ぶ機会がない
・年代を問わず、「支え方」に悩む人が多い
⇒支え方について学ぶことで、少しずつ、身近な人を支えることができるようになる
・Light Ring Timeは参加者さんたちの居場所になっている。
⇒効果測定アンケートでも抑うつ傾向が下がったことが報告されている
誰かを支えたい人の中に前に希死念慮を持っている人もいる。
誰かを救う術を学ぶことが自分を救うことにもなっている。
参加者の声
・何か問題解決してあげなくちゃと思っていたが、「そばにいる」ことだけでも、十分なんだと気づいた。肩の荷が降りた。(20代男性Oさん)
・何もできないと嘆くのではなく出来ることがあると自信を貰えた。まず、声をかけてみたい・(20代男性Tさん) 計21,220名参加
誰かを支えるのが自分を支えている。
4.自分を守るメンタルヘルス 第1章 簡単な基礎知識
不調のサイン
・元気がない
・表情が暗い
・反応が遅い
・落ち着かない
・一人で過ごす時間が増える
・怒りっぽい
・食欲がない
・眠れない
・好きなものに関心がなくなる
自分がハッキリものを言いそうになったら、周りの人に「大丈夫?」と声を掛けてもらうように言っている。自分のサインを伝えている。自分で自覚しておくのが大切になる。
不調がみえたら休んでください。
身体の不調は精神的不調のサインかも
・だるさ、めまい、耳鳴り、痛み
自分できる対処法(セルフ・ヘルプ)
・簡単な運動をする
・リラクゼーション法(ゆっくり呼吸をする、力を抜く等)
・アルコールをやめる
・家族など身近な人に相談をする
・自助グループへの参加を勧める
・湯船につかる
・太陽の光を浴びる
その子が本音を言える場を探す。
「皆さん、どんな場がありますかね?」
豆乳の紙パックを飲んだ後たたむと、「たたんでくれてありがとう」と出てくるのが嬉しい。
10分間
セルフヘルプをふり返ってみよう。
隣の人のセルフヘルプを聞いて新しい気づきを記入しよう。
⇒ぜひ他の人の方法でいいと思ったのは試してみてください。
5.自分を守るメンタルヘルス 第2章 ネガティブケイパビリティ
ネガティブケイパビリティとは何か
答えのなさに耐える能力
どうにも答えてのない、どうにも対処しようもない事態に耐える能力
ネガティブ・ケイパビリティを持っていると、安易な答えに飛びつかないで、他人や問題に振り回されない自分になれる。
簡単に答えが見つからない社会の中では、
「答えのない事態に居続ける」能力が大切になる。
ネガティブ・ケイパビリティの効果
1)危機へ対応する力になる
ここで言う危機とは「先の見通しが得づらく、どう対処すべきか十分にわからない」状態
「正常性バイアス」
普段の正常な状態に引っ張られてしまう傾向
大丈夫だと思う。自分だけは大丈夫とか。大した問題にならないだろう。
「意図的無知」
最悪の事態について最初から考えないようにしてしまうというメカニズム
2)複雑化する社会へ対応する力になる
これまでの社会派、利益や効率を重視して、ポジティブ・ケイパビリティ(問題を解決する能力)を過度に優先してきた
「VUCA(ブーカ)」
Volatile(不安定)、Uncertain(不確実)、Complex(複雑)、Ambiguous(曖昧)の頭文字ををとったもの。
これから求められるのはVUCAに対応する力。
今上手くできない。対応できない。その状況を認識して認める。それが次のステップにつながっていく。
3)いま苦しんでいる自分を肯定できる
”だから悩みや迷いがあるのは問題なのではなくて、問題があるのにtyんと悩んだり迷ったりしないことが問題なんです。迷いを持ちこたえる力は大事です。ぼくはそれと「葛藤保持力」と言っているんです。みんなそれが苦しくて嫌だから、葛藤することはせずに、すぐどちらかにしてしまうんです(中略)。いろいろな葛藤を持ちながら、ぐっと耐えてそれを持ち続ける。それが「おとな」なのだ、というのが僕の定義なんですよ。!
(河合隼雄『Q&Aこころの子育て-誕生から思春期までの48章』)
葛藤保持力やネガティブ・ケイパビリティは、「よいタイミングが来るまで、安易な決断をせず耐えること」も大切な力だととらえる考え方。
もし望むような結果がえられなかったとしても、葛藤の中で蓄えた悩み方や迷い方、自分自身
に寄り添って曖昧で不安定な状況を過ごすという経験は、きっと財産になるはず。
ネガティブ・ケイパビリティの身に付け方
1)すぐに答えを求めようとしない
「認知バイアス」:人間の脳は、すぐに「答え」を発見するように偏っている。こうした認知の方よりのこと。
「利用可能性バイアス」:脳が思い出しやすい(利用しやすい)情報だけを使って答えを出してしまうバイアス。飛行機事故を知ると飛行機は危険。確率は低いが。
「バレイドリア現象」:岩や壁の模様が顔に見えたり、音楽を逆再生したときに言葉が聞こえたりするように感じる現象。ものごとに「答え」を見いだそうとする脳の働き。
悩みを安易に解決せずに抱えておくことが大事な場合もある。
抱えていると解決できるタイミングが来たり、自然に解決してくる場合がある。
2)「答えのない」ものに触れる
アート鑑賞や音楽鑑賞など「答えがない」もに触れるのも効果的。
「なぜかわからないけど惹かれる」気持ちを自分の中に抱えておくことで「答えのなさ」になれて、ネガティブ・ケイパビリティが身についていく
「答えがない」ことを前提に味わうことができるものなら、詩を読んだり景色を眺めたりするのも素敵ですね。
3)「答えのない問いの中にいる自分」を見つめる
ジャーナリングやメンタライゼーションのテクニックを使って「答えのない問いの中にいる自分」を見つめてあげるのもおすすめ。
ジャーナリング
頭に浮かぶことを時間内に書き出してみる。
手で書くことによって、アルファ―波が出るため、効果がさらに高まる。
・今/将来やりたいこと
・不満や愚痴 など
誤字脱字は気にしない。
自分の傾向を知ることもできる。1~3分/1回でもよい。習慣化がよい。
一日一文だけ書く
本音に気づいたりする。
ネガティブ・ケイパビリティのまとめ
ネガティブ・ケイパビリティを身につけることは、複雑化する社会の中で生きていいくうえで大切です。
「苦しみは耐えるべき」のような考え方ではありません。
「答えのない問いを抱え続ける」ためには、答えのある具体的な問題を解決することも大切です。
今まさに苦しくて仕方がないのなら、心療内科やカウンセラーを使いましょう。
使える資源はどんどん使って、
「対処すべき問題と抱えておくべき問題を分けて」いこう。
あなたは、あなたのままで大切。
実感してもらえると嬉しい。
自分を大切にする時間を持って欲しい。
なぜできないんだろうと思うことがある。
この話を聴いてくださっていることもできたことではないでしょうか。
この瞬間だけでも、自分は何とかやっている。
自分は生きる価値があると思っていただけたら嬉しいです。
「人を支える」仲間が、近くにいるということ。
人に救われる、ということ
孤立せず他者を頼り、人を支えること。
となりに居る。
となりに居続ける。
そんな支えを、これからもずっと。
感想;
厚労省はフリーダイヤルをPRするための公開講演会に助成金を出されているのでしょう。
コロナで困窮者増えており、苦しくて話を聴いてほしくて電話するにも、電話料金が足かせになっている人も多いのではないでしょうか?
少しでもフリーダイヤルが困窮者への恵みになることを願います。
「こころの病の予防に着目し、若者同士が支え合える社会を目指して活動」
ワクチンのように、元気な時に接種していると、感染しても重症化を防ぐことが、自殺防止にも効果的なのでしょう。
それを若者が活動している。
その活動している若者にも生きるエネルギーを高めることができるのでしょう。
解決できる問題は解決するが、解決が難しい問題は無理に何とかしようとせずに抱える勇気が必要なようです。
ニーバ―に祈りの言葉が浮かびました。
「ニーバーの祈り」(ウィキペディアより)
英語(英語原文)
O GOD, GIVE US
SERENITY TO ACCEPT WHAT CANNOT BE CHANGED,
COURAGE TO CHANGE WHAT SHOULD BE CHANGED,
AND WISDOM TO DISTINGUISH THE ONE FROM
日本語訳(翻訳者:大木英夫)
神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
問題を抱えることも大切だとのこと。
ロゴセラピーでは、苦痛や耐えることにも意味があると考えます。
「隣に居る」
ロゴセラピーではバイザインと言います。
苦しんでいるや悩んでいる人の問題を解決してあげることができなくても、その人の傍らにいる。
それがとても大切だと考えます。
かける言葉が見つからない時、苦しんでいる人の手を握っているだけでもいいのです。
若者の自殺が、若い世代の死因の1位になっています。
若者の自殺を防止するためにも、若者の力を借りることが必要だと思います。
千葉いのちの電話の公開講演会は、10月8日(土)にLiveで開催されました。
ビデオの視聴は10月24日~31日に可能になりました。
コロナで会場に行けない人にはとても助かります。
また会場に多くの人はコロナで入れません。
ビデオ視聴なら、人数制限もありません。
公開講演会は出来るだけ多くの人に参加していただき、少しでも多くの人の参考になることが、厚労省の助成金の活用にもなるように思います。生きた税金の活用にもなります。
まだまだ、Liveだけの公開講演会に限定しているところも多いですが、千葉いのちの電話のように本来の目的に沿った取り組みをしていただきたいものです。
それを行う/行わないは、能力の問題ではなく、気持ちの問題だと思います。
多くの人に聞いて欲しい。そして少しでも自殺防止につなげたいとの思いが強いかどうかなのでしょう。
公開講演会を開催することが目的になっていないでしょうか?
目的は自殺防止で、公開講演会は手段なのです。
手段を目的と勘違いしているように思ってしまいます。
メモをブログにして紹介しているのも、多くの人に知る機会になって欲しいからです。
Light Ringツイッター
NPO Light Ring HP
Light Ringの活動。
こころの病の予防に着目し、若者同士が支え合える社会を目指して活動
本日の流れ
1.初めの挨拶
2.若者に自殺/孤独・孤立の社会問題について
3.事業紹介
4.自分を守るメンタルヘルス 第1章 簡単な基礎知識
5.自分を守るメンタルヘルス 第2章 ネガティブケイパビリティ
6.チャットで受けている質問・コメント等への回答
7.終わりの挨拶
1.初めの挨拶
平成元年生まれ 33歳 福島県郡山市。
幼少期 両親の顔色をうかがう日常。
少学5年 過度なダイエットで摂食障害になり入院。
体温調整ができない、学校に行けない。
小学6年 医師や同級生や家族の言動に助けられる。
高校3年 父親が精神疾患による肝硬変で他界
「自分の好きなように息なさい」
大学4年 特定非営利活動法人Ling Ring設立
東京都港区の若者自殺対策支援会議委員を務める。
父の死に接して。人は簡単に死んでしまうんだなと思った。
気軽に話せる人がいたら父はもっと生きていられたのではないかと思った。
カウンセラーを考えたけど、身近な人を助けるにはNPOがあるのではないかと思って、5人で立ち上げた。
自分の心も身近な人も支えることができる。
2.若者に自殺/孤独・孤立の社会問題について
社会に問題があると考えている。自殺者約2万人(年間)。行方不明や変死者は含まれていない。
背景には精神疾患や心理的孤立がある。
海外と比較しても、自殺が自殺1位は日本と韓国。韓国は薬物依存が多い。
自ら自殺を選んでしまう理由
逃げてもいい場所がない。
何をしたかがわからない。
人間関係がうまくできない。
できない自分がイヤになり責めている。
結果だけが評価され、自分を大事にすることが、許されない。
Googleに「死にたい」で検索する人が10~20万人/日
相談したかったけど。いろいろ考えて結果的にできなかった
・実際に相談はしたけど、聴いてくれている感じがしなかったといった事例もこの少ない数値に影響しているのでないか
⇒
私たちLight Ringはこれに対して
『悩みを打ち明けることを積極的にできる人』
『相手の相談を適切に受けることができる人』
を増やすことで、相談をきっかけに自殺を思いとどまる人を増やせると考えています。
必要によって、専門家につなげることができる。
一般的なメンタルケア
◆こころの不調を感じたら
・心療内科、精神科、学校の相談室などに通う
・カウンセリングや、必要に応じて薬物療法を行う
しかしながら・・・
・医療機関は敷居が高い・・・
・悪化、発病してからの対処となる
希死念慮が高まるほど人に頼りにくくなる。
Light Ringの着目点
・身近な人の支えも必要
・医療機関にかかる前の一次予防
・専門機関は敷居が高い
・悩んでいる人は自分から動けない
⇒専門機関へ行きづらい人も、周りに家族や友人、恋人がいる
”身近な人が支える”という視点に注目
身近な人が早期発見能力が高いと精神保健福祉士として感じる。
一次予防、二次予防、三次予防
逃げる場を用意してあげられるのは、身近な人。
「身近な人を支えるため」に必要なスキル
1)セルフヘルプ 相手を守るために、自分の守り方(セルフケア方法)を身に付ける
2)適度な距離感 相談を受ける時の”ちょうどよい距離感”を測る
3)聴く 「相談してよかった」と思ってもらえる傾聴スキルを身に付ける
4)つなげる 深刻すぎる悩みを受けた時、適切な専門家等と、支援ネットワークを作る
3.事業紹介
1)ソーシャルサポート養成講座
4つのスキルを1日で学べる
2)Light Ring Time(友達を支えたいあなたの居場所)
3-4名の各グループに分かれ、「身近な人の悩みを受けた経験」を共有し、自分の周りの人間関係にについて、学生に振り返ってもらう
自分が眠れているか/食事ができているかを確認する。
できたことも書き出してみる
3)「若者自殺対策ゲートキーパー」の育成と支援を専門にしています。
全国の支える人のオンラインの場も設けている。
悩みを打ち明ける力と受ける力を育成。
4)全国オンラインコミュニティ
「ringS」
1)セルフケア実践ワーク
2)ケースカンファレンス
インスタグラムでも情報提供を行っている。
活動を通してみえてきたこと
・支え方を学ぶ機会がない
・年代を問わず、「支え方」に悩む人が多い
⇒支え方について学ぶことで、少しずつ、身近な人を支えることができるようになる
・Light Ring Timeは参加者さんたちの居場所になっている。
⇒効果測定アンケートでも抑うつ傾向が下がったことが報告されている
誰かを支えたい人の中に前に希死念慮を持っている人もいる。
誰かを救う術を学ぶことが自分を救うことにもなっている。
参加者の声
・何か問題解決してあげなくちゃと思っていたが、「そばにいる」ことだけでも、十分なんだと気づいた。肩の荷が降りた。(20代男性Oさん)
・何もできないと嘆くのではなく出来ることがあると自信を貰えた。まず、声をかけてみたい・(20代男性Tさん) 計21,220名参加
誰かを支えるのが自分を支えている。
4.自分を守るメンタルヘルス 第1章 簡単な基礎知識
不調のサイン
・元気がない
・表情が暗い
・反応が遅い
・落ち着かない
・一人で過ごす時間が増える
・怒りっぽい
・食欲がない
・眠れない
・好きなものに関心がなくなる
自分がハッキリものを言いそうになったら、周りの人に「大丈夫?」と声を掛けてもらうように言っている。自分のサインを伝えている。自分で自覚しておくのが大切になる。
不調がみえたら休んでください。
身体の不調は精神的不調のサインかも
・だるさ、めまい、耳鳴り、痛み
自分できる対処法(セルフ・ヘルプ)
・簡単な運動をする
・リラクゼーション法(ゆっくり呼吸をする、力を抜く等)
・アルコールをやめる
・家族など身近な人に相談をする
・自助グループへの参加を勧める
・湯船につかる
・太陽の光を浴びる
その子が本音を言える場を探す。
「皆さん、どんな場がありますかね?」
豆乳の紙パックを飲んだ後たたむと、「たたんでくれてありがとう」と出てくるのが嬉しい。
10分間
セルフヘルプをふり返ってみよう。
隣の人のセルフヘルプを聞いて新しい気づきを記入しよう。
⇒ぜひ他の人の方法でいいと思ったのは試してみてください。
5.自分を守るメンタルヘルス 第2章 ネガティブケイパビリティ
ネガティブケイパビリティとは何か
答えのなさに耐える能力
どうにも答えてのない、どうにも対処しようもない事態に耐える能力
ネガティブ・ケイパビリティを持っていると、安易な答えに飛びつかないで、他人や問題に振り回されない自分になれる。
簡単に答えが見つからない社会の中では、
「答えのない事態に居続ける」能力が大切になる。
ネガティブ・ケイパビリティの効果
1)危機へ対応する力になる
ここで言う危機とは「先の見通しが得づらく、どう対処すべきか十分にわからない」状態
「正常性バイアス」
普段の正常な状態に引っ張られてしまう傾向
大丈夫だと思う。自分だけは大丈夫とか。大した問題にならないだろう。
「意図的無知」
最悪の事態について最初から考えないようにしてしまうというメカニズム
2)複雑化する社会へ対応する力になる
これまでの社会派、利益や効率を重視して、ポジティブ・ケイパビリティ(問題を解決する能力)を過度に優先してきた
「VUCA(ブーカ)」
Volatile(不安定)、Uncertain(不確実)、Complex(複雑)、Ambiguous(曖昧)の頭文字ををとったもの。
これから求められるのはVUCAに対応する力。
今上手くできない。対応できない。その状況を認識して認める。それが次のステップにつながっていく。
3)いま苦しんでいる自分を肯定できる
”だから悩みや迷いがあるのは問題なのではなくて、問題があるのにtyんと悩んだり迷ったりしないことが問題なんです。迷いを持ちこたえる力は大事です。ぼくはそれと「葛藤保持力」と言っているんです。みんなそれが苦しくて嫌だから、葛藤することはせずに、すぐどちらかにしてしまうんです(中略)。いろいろな葛藤を持ちながら、ぐっと耐えてそれを持ち続ける。それが「おとな」なのだ、というのが僕の定義なんですよ。!
(河合隼雄『Q&Aこころの子育て-誕生から思春期までの48章』)
葛藤保持力やネガティブ・ケイパビリティは、「よいタイミングが来るまで、安易な決断をせず耐えること」も大切な力だととらえる考え方。
もし望むような結果がえられなかったとしても、葛藤の中で蓄えた悩み方や迷い方、自分自身
に寄り添って曖昧で不安定な状況を過ごすという経験は、きっと財産になるはず。
ネガティブ・ケイパビリティの身に付け方
1)すぐに答えを求めようとしない
「認知バイアス」:人間の脳は、すぐに「答え」を発見するように偏っている。こうした認知の方よりのこと。
「利用可能性バイアス」:脳が思い出しやすい(利用しやすい)情報だけを使って答えを出してしまうバイアス。飛行機事故を知ると飛行機は危険。確率は低いが。
「バレイドリア現象」:岩や壁の模様が顔に見えたり、音楽を逆再生したときに言葉が聞こえたりするように感じる現象。ものごとに「答え」を見いだそうとする脳の働き。
悩みを安易に解決せずに抱えておくことが大事な場合もある。
抱えていると解決できるタイミングが来たり、自然に解決してくる場合がある。
2)「答えのない」ものに触れる
アート鑑賞や音楽鑑賞など「答えがない」もに触れるのも効果的。
「なぜかわからないけど惹かれる」気持ちを自分の中に抱えておくことで「答えのなさ」になれて、ネガティブ・ケイパビリティが身についていく
「答えがない」ことを前提に味わうことができるものなら、詩を読んだり景色を眺めたりするのも素敵ですね。
3)「答えのない問いの中にいる自分」を見つめる
ジャーナリングやメンタライゼーションのテクニックを使って「答えのない問いの中にいる自分」を見つめてあげるのもおすすめ。
ジャーナリング
頭に浮かぶことを時間内に書き出してみる。
手で書くことによって、アルファ―波が出るため、効果がさらに高まる。
・今/将来やりたいこと
・不満や愚痴 など
誤字脱字は気にしない。
自分の傾向を知ることもできる。1~3分/1回でもよい。習慣化がよい。
一日一文だけ書く
本音に気づいたりする。
ネガティブ・ケイパビリティのまとめ
ネガティブ・ケイパビリティを身につけることは、複雑化する社会の中で生きていいくうえで大切です。
「苦しみは耐えるべき」のような考え方ではありません。
「答えのない問いを抱え続ける」ためには、答えのある具体的な問題を解決することも大切です。
今まさに苦しくて仕方がないのなら、心療内科やカウンセラーを使いましょう。
使える資源はどんどん使って、
「対処すべき問題と抱えておくべき問題を分けて」いこう。
あなたは、あなたのままで大切。
実感してもらえると嬉しい。
自分を大切にする時間を持って欲しい。
なぜできないんだろうと思うことがある。
この話を聴いてくださっていることもできたことではないでしょうか。
この瞬間だけでも、自分は何とかやっている。
自分は生きる価値があると思っていただけたら嬉しいです。
「人を支える」仲間が、近くにいるということ。
人に救われる、ということ
孤立せず他者を頼り、人を支えること。
となりに居る。
となりに居続ける。
そんな支えを、これからもずっと。
感想;
厚労省はフリーダイヤルをPRするための公開講演会に助成金を出されているのでしょう。
コロナで困窮者増えており、苦しくて話を聴いてほしくて電話するにも、電話料金が足かせになっている人も多いのではないでしょうか?
少しでもフリーダイヤルが困窮者への恵みになることを願います。
「こころの病の予防に着目し、若者同士が支え合える社会を目指して活動」
ワクチンのように、元気な時に接種していると、感染しても重症化を防ぐことが、自殺防止にも効果的なのでしょう。
それを若者が活動している。
その活動している若者にも生きるエネルギーを高めることができるのでしょう。
解決できる問題は解決するが、解決が難しい問題は無理に何とかしようとせずに抱える勇気が必要なようです。
ニーバ―に祈りの言葉が浮かびました。
「ニーバーの祈り」(ウィキペディアより)
英語(英語原文)
O GOD, GIVE US
SERENITY TO ACCEPT WHAT CANNOT BE CHANGED,
COURAGE TO CHANGE WHAT SHOULD BE CHANGED,
AND WISDOM TO DISTINGUISH THE ONE FROM
日本語訳(翻訳者:大木英夫)
神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
問題を抱えることも大切だとのこと。
ロゴセラピーでは、苦痛や耐えることにも意味があると考えます。
「隣に居る」
ロゴセラピーではバイザインと言います。
苦しんでいるや悩んでいる人の問題を解決してあげることができなくても、その人の傍らにいる。
それがとても大切だと考えます。
かける言葉が見つからない時、苦しんでいる人の手を握っているだけでもいいのです。
若者の自殺が、若い世代の死因の1位になっています。
若者の自殺を防止するためにも、若者の力を借りることが必要だと思います。
千葉いのちの電話の公開講演会は、10月8日(土)にLiveで開催されました。
ビデオの視聴は10月24日~31日に可能になりました。
コロナで会場に行けない人にはとても助かります。
また会場に多くの人はコロナで入れません。
ビデオ視聴なら、人数制限もありません。
公開講演会は出来るだけ多くの人に参加していただき、少しでも多くの人の参考になることが、厚労省の助成金の活用にもなるように思います。生きた税金の活用にもなります。
まだまだ、Liveだけの公開講演会に限定しているところも多いですが、千葉いのちの電話のように本来の目的に沿った取り組みをしていただきたいものです。
それを行う/行わないは、能力の問題ではなく、気持ちの問題だと思います。
多くの人に聞いて欲しい。そして少しでも自殺防止につなげたいとの思いが強いかどうかなのでしょう。
公開講演会を開催することが目的になっていないでしょうか?
目的は自殺防止で、公開講演会は手段なのです。
手段を目的と勘違いしているように思ってしまいます。
メモをブログにして紹介しているのも、多くの人に知る機会になって欲しいからです。