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うつ病から衝動的に電車に飛び込んで両足を失った19歳「今、伝えたいこと」 "伝えたいのは「今見える景色がすべてではない」ということ"

2023-04-22 18:27:18 | 社会

 将来は人を助ける看護師になりたい――。その想いを抱いて高校から看護学校に進学したものの、16歳でうつ病を発症したというsakiさん(Twitterアカウント@sakik75069246)。その後、自殺未遂から事故で両足を切断し、車いす生活を余儀なくされた。それから3年、現在19歳になった彼女は、Twitter上で障害やうつ病についての発信を続け、そのツイートが多くの人の支持を集めている。そんな彼女に、現在に至るまでの経緯や発信を続ける意義を聞いた。

今は「誰かのためにできることをしたい」とツイッターなどSNSの発信に力を入れるsakiさん

高校進学後、家庭不和や教師との意見の相違からうつ病を発症

「2022年11月には右足を再切断しました。腰から下は不全麻痺が残っていて、事故から3年が経った今でも入院と手術の繰り返しですね」と語るのは、19歳のsakiさん。16歳までは神奈川県で暮らす普通の女子高生だったが、そんな彼女に異変が生じたのは高校進学がきっかけだった。

「将来は看護師さんになりたいと思って、高校から看護学校に通い始めました。でも、学校の先生と馬が合わず、怒られることが続き、次第に『学校に行くのがつらいな』と思うように……。タイミングの悪いことに、同時期に両親の仲が悪化して、家にいても全然気が休まらなくなりました」

 学校と家という両方の居場所を失ってしまったことで、心のバランスは徐々に崩壊。入学からわずか1か月後のゴールデンウィーク明け頃から、毎朝起きることに苦痛を感じるようになった。最初は遅刻しても学校へ通っていたものの、次第に学校は欠席するように。

「その状態が1~2か月ほど続いた6月末、『自分はうつ病かもしれない』と気がついたんです。看護系の学校に通っていたので、事前にうつ病についても多少知識があったんですね。病院に行ったらやはりうつ病と診断され、治療を進めました。家でゆっくりしたのがよかったのか、夏休み明けには学校に再び通えるようになっていきました」

小学生のときはジャズバンドでトロンボーンを吹いていたsakiさん。コンクールで賞を獲得したこともある。中学からはクラリネットに変更し、今でもたまにクラリネットを吹いているという

もう死にたい――衝動的に電車に飛び込んだ

 しかし、久しぶりの通学でストレスが高まっていったのか、症状は再び悪化し、「死にたい」という想いが日常的に頭をよぎるように。そんな中、11月のある日、教師と進学の話をする中で「死にたい」との気持ちが頂点に達してしまう。

「親から学校へは『うつ病になった』という連絡は伝わっていたのですが、担当の先生から『病気だからといっても、授業をちゃんと受けないと留年するよ!』と強い口調で指導を受けたんです。先生は私を留年させたくない一心だったと思うのですが、責められているような気持ちになってしまって。看護学校の先生だから、うつ病にも理解があるはずだと期待していたのも良くなかったんでしょうね」

 教師と話をしているうちに、「留年」というキーワードが強く心に突き刺さり、どんどん気持ちが沈んでいった。

「自分では留年してもいいと思ってたのですが、先生と話をした後に『留年しちゃダメなんだ。なんとか3年で卒業しなきゃいけないんだ。でも、毎日出席できる自信もない……』と絶望的な気持ちになってしまって。その日の夕方、『もう死にたい』という想いが高まり過ぎて、衝動的に駅のホームから電車に飛び込んでいました」

家族に会って「生きていてよかった」と思えた日

 飛び込んで電車にはねられたものの、身体が車両の下に潜ったことでなんとか一命はとりとめた。だが、片足が車輪の下敷きとなった。

「足がひかれた瞬間、『死にたいのに、足がひかれただけじゃ死ねない』と冷静だった記憶があります。その後、救急隊の人に助けられて手術へ。なんとか命は助かったものの、麻酔から目覚めたときは本当に落ち込みましたね。ひどい言いぐさだと思うんですが、『こんな私が助かってしまった。もっと助けるべき命があるのに、どうして私の命が助けられてしまったんだろう』と……。ただ、その後に親と祖父母が面会に来て泣かれたときに、『あぁ、家族にまた会えた。生きていてよかった』と初めて思えました」

 そこからは1年間の入院を余儀なくされたが、リハビリに前向きに取り組むようになって、少しずつ心の安定を取り戻していったという。

「最初は筋トレなどが多かったので『本当にこれをやって意味があるのかな』と疑う部分も大きかったんです。でも、次第に自分が回復している様子が目に見えてわかって、だんだん熱心に取り組むようになりました。リハビリで身体が動くようになるにつれて、自分自身の『死にたい』という気持ちも収まっていったように思います」

ディズニーランドに車いすで行けるほどに回復

 事故から3年。ハードなリハビリを続けた結果、今では東京ディズニーランドまで小さな弟と妹を連れて3人で出かけるほどアクティブな日々を送っている。

「最初は近所のコンビニくらいまでしか行けなかったのですが、少しずつ距離を伸ばして、ディズニーランドにも行けるようになりました(笑)。昔から親が忙しく、妹と弟と3人でどこかに行くのが好きだったので、前と同じように行ける場所が増えて嬉しいです」

きょうだいや入院友だちと公園に行って過ごしたりもするsakiさん
 しかし、治療はまだ続いている。2022年11月には骨髄炎で右足を再切断。そのほか、腰の床ずれ対策など向き合う問題は山積みだという。

「今でも『自分なんていなくなってしまえばいい』と思うことはあります。でも、『自分なんていらない存在だから死のう』とまでは思わなくなりました。事故によって多くの人に迷惑もかけたし、身体もこんなことになってしまった以上、決して『事故があってよかった』とは思えませんが、事故を通じて家族や友人などの大切な存在に気づかされました」

「誰かのためにできることをしたい」とTwitterを開始

 そんな彼女が2022年1月頃から始めたのが、Twitter上での情報発信。その発信の根源にあるのは「誰かのために、できることをしたい」という想いだった。

「昔から『他人のためになることをしたい』という想いが強かったんです。看護師を目指したのも、それが動機のひとつでした。でも、事故で足を失ってから、入院中に『自分にできることはなんだろう』と強く考えるようになって。そこで思いついたのが、スマホを通じてうつ病の辛さや障害について発信すること。私の存在を知ってもらうことで、『こんな人もいるんだな』と心が救われる人がいたらいいなって思いました」
 発信を始めると、あっという間にフォロワーは増え、1年足らずで約6万7000人に。当初は日に日にフォロワーが増えることに、驚きを隠せなかったという。

「電車に飛び込んで死のうとして、すごくたくさんの人に迷惑をかけている自分が、こんなにたくさんの人に応援してもらっていいのかな……と思うことは多々あります。でも、私自身もそうでしたが、自分自身を『うつ病だ』と認めて誰かに伝えるのはすごく時間がかかるし、ハードルが高い行為です。結果、誰に助けを求めていいのかがわからなくなるし、居場所も失うし、孤独になる。だからこそ、自分の体験を話せる私が、誰かの孤独をなくせるように、伝えられる範囲で気持ちを代弁できたらなって思っています

 こうした発信を通じて、実際、「私も過去に電車に飛び込んだことがあります」という人や、「私も闘病中です」という人からメッセージが来ることも増えたという。

「もちろん送られてくるのは、好意的な意見ばかりじゃありません。時には『人身事故を起こすなんてとんでもない』『お前みたいな迷惑なやつ、いなくなればいい』などと誹謗中傷のメッセージが来ることもありますが、それも一つの意見だと思って、受け止めるようにしています」

伝えたいのは「今見える景色がすべてではない」ということ

 SNS上での発信を通じて共感してくれた人たちから講演会の依頼が届くこともあり、自身の障害や病気について話すことにも意欲的になっている。

「もともと人前で話すのは得意ではなかったのですが、こうした日々の気付きの発信を通じて、より多くの人に障害や病気に対する認識が広まればいいなと思っています」

箱根旅行にも出かけたsakiさん。すれ違った方が坂道を押してくれたり、電車、バス、ロープウェイ、ケーブルカーのすべてで車椅子対応してくれたことに感激
 そして、取材の最後に「これだけはぜひお伝えしたい」とsakiさんは言葉を続けた。

「今、病気や障害によって苦しんでいる方は日本中にたくさんいると思うんです。そんな方々に『今見えている景色がすべてではない』と伝えたいです。私の場合は、『3年間で卒業するのが普通だから、留年してはいけない』との言葉がネックになって、衝動的に電車に飛び込み、両足を失ってしまいました。でも、時間が経ってみれば、留年なんてたいしたことじゃなかったし、あんなに真剣に思い詰める必要もなかった。特にうつ病になると視野が狭くなりがちですが、今見えている景色はほんの一部で、その先にある景色はもっともっと広いんだってことを心に留めてもらえればと思います」

【プロフィール】saki
高校入学後にうつ病となり、16歳のときに自殺未遂で両足を切断。「誰かのためにできることをしたい」という想いから、2022年1月頃からTwitterで発信。今は、「障害やバリアフリーなどの理解を深めたい」と講演会などにも取り組みたいと考えている。
取材・文/藤村はるな

感想
 うつ病になるとどうしても視野が狭くなります。
自殺したいと思った時は既にメンタルを病んでいるのかもしれません。
1)誰かに話す
2)医者に行く
そしてなにより、今結論を出さないことです。
うつ病の時は、人生の重大な判断をしてはいけないと言われています。
正しく判断できなくなっているのです。
でも苦しくて、今の辛さから逃げたいと思いで自殺を選択してしまう人もいます。
 サキさんはそういう人にメッセージを発信し続けられています。
「生きていれば、何とかなる」

「コックピットの安全哲学 クルー・リソース・マネジメント 機長のマネジメント」村上耕一/斎藤貞雄共著 ”CRM訓練を行いミスを減らす”

2023-04-22 17:04:22 | 本の紹介
CRM(クルー・リソース・マネジメント)とは、人間のミスを未然に防ぎ、あるいは起こったミスからの影響を早期に遮断するために、クルー(チーム)というものを最大限に利用しようとする考え方です。そしてそのために、コックピットの主人公である「人間」に焦点を当て、チーム全体としてのパーフォーマンスを上げるためには、個々の人間はどんな思考をし、行動すべきなのかについて考えるきっかけを与えようというものなのです。

オーストラリアのカンタス航空は、なんと1951年から旅客死亡事故を一件も起こしていない、世界一安全な航空会社と言われています。そしてこのカンタス航空のパイロットや整備士、あるいは運航管理者などの運航に携わる人々の間では「Late Arrival than Never Arrival」という言葉が、安全を守る一つの合い言葉になっていると聞いたことがあります。これは「安全を守るためには少しくらい遅れることなんて、到着しないこと(つまり事故を起こすこと)を考えれば、なんでもないさ」ということなんだろうと思いますが、だからといっていつも遅れてばかりいる航空会社だろは聞いたことがありません。

・事例から学ぶ-ハンガーフライト
 (昔)彼らは飛行機の格納庫(ハンガー)に集まって、自分達の経験談や自慢話に花を咲かせたのです。・・・
 人間一人が一生の内に経験できることなどたかが知れています。しかし、すべての人間が全く同じ経験をするわけではなく、それぞれがさまざまな経験をしながら過ごして行くのです。そしていろいろな事例を知るということは、他人の貴重な経験を共有するということであり、それによって経験により育まれる知恵は、際限なく成長することができるはずなのです。そしてこれこそが事例を知り、事例から学ぶということであり、ハンガーフライトはまさにこれを地で行っていた、ということになります。

・それはブリーフィングから始まる
 出発時間は8時55分なので、出勤時間はその1時間前の7時55分ということになる。
 ・気象情報の確認
 ・フライトプラン(飛行計画)の確認
 ・掲載燃料についても協議の上決定
 ・ノータイムと呼ばれる航空情報
  ・当日の空港施設や経路上の航空援助施設等の変更や休止に関する情報
 ・最後に搭乗予定乗客数と出発ゲートを確認

・航空事故の要因とされる「コックピットクルーの行動とパフォーマンス」について、すでにNASAのワークショップにおいて、以下のような分析がなされていたのです。
①職務の五人と責任の分担が不適切だった。
②優先順位を論理的に確立できなかった。
③重要な計器やシステムの継続的なモニターとクロスチェックを怠った。
④問題を注意深く見極めず、小さなことに没頭してしまった。
⑤入手し得るあらゆるデータを利用できなかった。
⑥すべての方針や各人の意図の明確な意思疎通がおろそかになった。
⑦PIC(Pilpt-In-Command:その便の機長)がしっかりとしたリーダーシップを発揮しなかった。

・CRMとは
「(コックピットにおいて)利用可能なすべてのリソースを、最適な方法で最も有効に活用することにより、クルーのトータルパフォーマンスを高め、より安全で効率的な運航を実現することを目的とする考え方」であり、そのための知識と具体的な方法を学ぶのがCRM訓練である。

・KHUFAC(KLM Human Factors Awareness Course:キューファック)
 人間中心の考え方
 「人間中心」の考え方とは、人間の能力を十分に活用しようとするならば、作り上げた環境やシステムに合うように人間を変えるのではなく、環境やシステムの方を人間の特性に合わせる努力をすることが先決である、といった具合に、人間を含むシステム全体を、常に人間が中心となるように捉える考え方であると言え、まさにヒューマン・ファクターの考え方そのものであるのです。

    H
  S  L  E
        L
中心のLはライブウェア(Liveware)自分
S ソフトウェア(Software)
H ハードウェア(Hardware)
E エンバイロメント(Enviroment)
L(下のL) あなたが接しなければならない、あなた以外の人

・CPAC(シーパック・クルー・パーフォーマンス・アウェネス・コース)
人間(クルー)のパーフォーマンスについての気づき(Awareness)を与えるためのセミナー

・望ましい機長
①航空輸送の公共性を自覚し、円満な人格と社会人としての豊かな常識を有していること
②コックピット・パーフォーマンスを円滑に遂行できるマネジメント能力を有していること
③ニュー・テクノロジーに的確に対応できる能力を有していること
④今後の国際戦の展開に対応できる国際感覚、国際運航能力を有していること
⑤健全な身体および精神を有していること

・リソース
①イクイップメント(計器や機器などの装備)
②ペーパーズ(諸マニュアル)
③コックピット外の人(管制官、ディスパッチャー、多機の乗員など)
④視認できる外部の状況
⑤ファシリティ(空港、空港設備、航空路、航空路などの施設)
⑥個々の乗員(各人の経験、能力、情報など)

 通信装置が未発達な時代、船舶(特に軍艦)内でコミュニケーションをとる際に適用された行動指針にマリン・コンセプトがある。
発信者     受信者
フラット15 →(理解し)
      ← フラット15
(復唱を確認する)

・セミナー全体構成
 ・オリエンテーション      動機づけ
 ・テーマビデオ         注意  
 ・CRM&SHELL        習得
  A・W            展開
  ・セルフマネジメント
  ・チームマネジメント
  ・トータルマネジメント
 ・まとめ            転移/強化
 ・セルフ・アファメーション   

 五領域;「感覚」「思考」「感情」「願望」「行為」

・A・Wの五領域を知るにはどうしたら良いか。基本は<Stop→Look>である。
 立ち止まって→見つめることだ。
 「Stop→Lookとは仏教でいう止観である」と教えられた。

・英国の歴史学者トインビー
「現代人はどんなことでも知っている。ただ、自分のことを知らないだけだ」

・行為の三つのタイプ
①AR(Automatic Reaction) 自動的な反応
②PR(Problem Resolving) 問題解決型
③CR(Continuous Recognition) 反復レビュー

・チーム・マネジメントとは、チームメンバー同士の
 言葉を通じ合い   (クルー・コミュニケーション)
 心を通じ合い    (クルー・リレーションシップ)
 意志を通じ合わせる (クルー・リーダーシップ)
 ことによりメンバー間に生じた相乗効果を利用して、チームのトータル・パフォーマンスをさらに高めていくことである。

 TAGとは操縦室内権威勾配(Trans-Cockpit Authority Gradient)のことを言います。
 ICAO(国際民間航空機関)の事故防止マニュアルによると、「安全な運航を確保するがめには、キャプテン、コーパイ及びフライトエンジニア(航空機関士)間の勾配はあまり大きくても小さすぎてもいけません。

・チーム・マネジメントのための具体的行動指針
1)状況認識の一致を計る
 ①2ウェイ・コミュニケーションを確立する
  ・明確な意思表示をする
  ・相手が理解したことを確認する
 ②情報を共有化する
  ・相手の話をよく聞く
  ・質問を活用する
  ・問題意識を口に出す
2)良好な信頼関係を確立する
 ①相手の態度に関心を持ち、自分の態度を見直す
 ②会話をコントロールすることによって、他のクルーとの距離を適正に保つ
 ③チーム内の対立を乗り越える
3)適切な役割を分担を計る
 ①役割の分担を明確にする
 ②他クルーの意思を尊重する
 ③自分の役割を認識し、フライトに積極的に参加する
4)常にStop→Lookを行う
 ①全ての思考と行動についてStop→Lookをする
 ②次の行動のためにStop→Lookをする
・三つの行動タイプ ラスムッセンの簡易行動モデル
 ①問題解決型行動(思考型行動) オフルーチン・ワーク
 ②マニュアル型行動       ルーチン・ワーク
 ③(条件)反射型行動      ルーチン・ワーク 

感想
 普段から、CRM訓練を行っていると、トラブル起きたときに冷静に対処できます。
ハドソン川の奇蹟は、CRM訓練の賜物とも言われています。

 3H(初めて、変更、久しぶり)の時に、トラブルが起きやすいと言われています。
それに2H(犯罪行為をしない、普段と違うと感じたら必ず口に出して確認する)を加えています。
 犯罪行為をしないとは、確信犯でSOP違反とかルール違反をしないことです。
多くの重大な事故は必ずと言っていいほど、ルール違反があります。
 普段と違うと感じたら口に出す。これはまさにCRMです。気になったことを検証することが大きなトラブルを未然に防いだ体験をたくさん持っています。

 それと過去のトラブルをよく知っておくことでしょう。過去のトラブルを知ることを”過去問対策”と言っています。
 過去問をたくさん学んでいると、同じようなトラブルが起きても焦りません。
また適切な対処ができ、問題を大きくしません。

 この本にも多くのミス防止のヒントがありました。
下記にヒューマンエラーの本から参考になったものを抜き出しています。

コロナワクチン「大量廃棄」問題 厚労省の「判断ミスと怠惰」がもたらした過剰契約と接種会場での無駄遣い "足らないを恐れて多く買う、なぜなら足らないと問題になるが余っても批判されない”

2023-04-22 09:47:47 | 社会

 厚生労働省が「マスク着用は個人の判断」と“解禁”してはや1か月、日本でもようやくアフターコロナが本格化してきた。それでも街ゆく人にはマスク姿が多く、花見客にもマスク姿が目立ち、まだまだ様子見の日が続きそうだ。

 新型コロナウイルスのワクチン接種も依然として続く中、WHO(世界保健機関)が3月28日に新たな指針を発表した。

 60才未満の健康な成人や基礎疾患のある子供については、1回までのブースター接種(追加接種)は推奨するが、2回目以降は《公衆衛生上の効果は比較的低い》として推奨しない。


 さらに、健康な子供や若者は感染時に重症化しにくいため《接種による公衆衛生上の効果は、はしかなどの従来の子供向けワクチンと比べ、はるかに低い》としたのだ。

 日本では、大型連休明けの5月8日から基礎疾患のある人や65才以上の高齢者などを対象に今年度の定期接種がスタート。9月からは一般向けの定期接種が行われ、多い人は6回目の接種となる。

「WHOは、高齢者などリスクが高い層には引き続き接種を推奨しています。健康な人に追加接種をするなと言っているわけではないが、定期的な接種はハイリスクな層に重点的に行う方がいいということでしょう。健康に不安がない人や子供にも積極的な接種を推進する日本政府は、ハシゴを外された格好です」(医療ジャーナリスト)

◆国民全員が7回接種できる量を2兆円超で契約
 日本ほどコロナワクチンを接種している国は世界にない。国民1人あたりの接種回数の国際比較を見ると、日本は平均3.09回で断トツに多い。コロナで多くの死者を出したアメリカが2.02回、欧州で最も接種回数が多いイタリアでも2.43回だ。

 世界がアフターコロナに向かってワクチンと距離を取り始めているのに、日本政府が国民へのワクチン接種に熱心なのはある事情があるという。大手紙の社会部記者が言う。

政府は2.4兆円をかけて8.8億回分のワクチンを購入。国民全員に7回接種できる量です。しかし、現在までの総接種回数は約3.8億回にとどまり、ワクチンには有効期限があるので、すでに8000万回分近くが廃棄された。

 一部契約解除した分もあるが、年内を目処に接種しないと残りの大半を廃棄しなければならなくなる計算です。そういう状況なので、“過剰契約の在庫処分のために接種が推奨されているのではないか”といううがった見方まで出る始末です」

 この「ワクチン買いすぎ問題」は会計検査院が詳細に調査し、3月29日に発表した報告書でこう問題視している。

《今後、数量に不確定要素のある物質を確保する場合であっても、算定根拠資料を作成して保存し、数量の妥当性を客観的に検証できるようにすること》

 8.8億回という契約回数分には納得できるような根拠はなく、なぜこのような数字に至ったのかちゃんと説明せよ、という指摘だ。要は、税金でテキトーに買ったのではないかという話なのだ。

 これを受け、加藤勝信厚労相は「希望するすべての国民にワクチンをお届けできるよう、さまざまな可能性を視野に入れて確保を行った。そうした状況を考えれば(確保した量は)必要だった」との見解を示したが、実情はそうではない。

 契約した8.8億回分のワクチンのうち、すでにアストラゼネカ製6225万回分をキャンセル、ノババックス製も1億4176億本分をキャンセルしており、そもそも過剰だったことが疑われ、到底「妥当」とはいえない。

 さらに、キャンセルによる返金額も「契約上の守秘義務」を理由に明らかにしていない。会計検査院はそのことも、「同省に返金することになっている金額の妥当性を確認するよう努めること」と注文をつけたが、明らかにされるかどうか保証はない。

◆ガラガラの会場に大量のスタッフで総額4兆円
 いずれにせよ、国はまだ3億回分ほどのワクチンの在庫を抱えている計算で、このままでは国民の税金で購入したワクチンが大量に廃棄されることになりかねない。なぜ、政府は“無駄”なワクチンをこれほど買い込んだのか。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広医学博士がこう指摘する。

「厚労省の判断ミスに尽きます。コロナの感染が広がった当初、製薬メーカーのファイザーが世界各地でワクチンの治験をする際に日本も候補地にあがっていたのに、厚労省が外国企業だからと安全面での条件などを設定したため治験地から外れました。

 治験を進めていた他国はワクチンをどんどん先に購入していったが、日本はいざファイザーから購入する際に改めて治験することになって契約が遅れた。

 メーカーは供給契約が早い方から供給するため、契約が遅れた日本ができるだけ早くワクチンを調達するには、大量に購入して高い金額で買う必要があったのでしょう」

 必要量を先に確保するワクチンは、状況が変われば当然不要になる可能性もある。上さんは「足りないとまずいと考えるか、余らせるのが悪いと考えるかの違い」としながらも、こう続ける。

「会計検査院は『それ以上の説明がなかった』と厚労省の対応も問題視しています。同省にすれば、“出足が遅れたから契約量も増やして確保した”と言えば自分たちのミスを認めることになるため、黙っているのでしょう」(上さん・以下同)

 ワクチン接種をめぐる“無駄遣い”はそれだけではない。
 国のワクチン購入費は1回分約2700円だが、それとは別に、医療機関に支払う接種費用が1回平均3700円かかっている。自衛隊や自治体、企業が設置した接種会場の人件費や設営も当然税金だ。接種会場には多くのスタッフを配置し、接種を受けるまでに何度も書類の確認を要した。「いったい何人のチェックが必要なのか」とため息をついた人も多いことだろう。

 それらを含めてワクチン接種には昨年度までの2年間で総額4.2兆円の税金が使われた。

これも厚労省の完全な怠慢です。ワクチン接種が開始されたとき、国立病院などの医師たちに真っ先に接種させた一方で、一般人のために病院を接種会場にするような段取りはとらなかった。厚労省が全国の国立病院で大々的に接種に従事するよう通達を出せばよかったのに、それをしなかったわけです。

 それで自治体などが大規模接種会場を設置して民間委託することになった。結果的に余分な費用がかかったのは、厚労省が動かなかったことが大きいと考えます」

 廃棄や、不良在庫となった大量のワクチンと、過剰人員で人件費などがかさんだ大規模接種会場など、これまでに「ワクチンだけで少なくとも数千億規模、会場費など含めれば1兆円近くの税金が無駄になる可能性がある」(前出・社会部記者)との見方もある。

 政府の尻拭いのために、後先考えず国民への同意もなく使用されたカネは、いずれ増税となって国民に請求書が回ってくるのは確実だ。
※女性セブン2023年4月27日号

感想
《今後、数量に不確定要素のある物質を確保する場合であっても、算定根拠資料を作成して保存し、数量の妥当性を客観的に検証できるようにすること》
⇒根拠がないとはあまりにもずさんです。
 東大卒の官僚が多いと思うので、バカとは思えませんが・・・。

ワクチンの購入が遅れたので、慌てて大量に購入契約を結んだのでしょう。
”お粗末”として言いようがありません。

足らないと官僚の責任になるが、余っても責任を追及されないからでしょう。
税金だから自分たちの懐が痛むわけでもないからです。

確か国民一人あたりの借金が1,000億円を超えたとか。
ますます借金が増え、増税でしょうね。
今でもOECD国内では貧困国だというのに。
安倍元首相、岸田首相は海外にお金をばら撒いています。
10兆円を超えているかもしれません。
その中にはロシアに3,000億円も含まれていますが。
まあ、国民が支持しているので、自分で蒔いた種と諦めることなのでしょう。