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「辞めてもらいます」突きつけられた通知書 ある日突然、身に覚えのない理由で解雇になった ”絶対サインしない&録音する、法律を知っておく”

2023-06-20 13:50:05 | 社会

 解雇を言い渡された女性は「私と同じように悔しい思いをしている人は、他にもいるはず」と話した
 身に覚えのない理由で不当に解雇を言い渡される働き手が、後を絶たない。労働契約法は不適切な雇用契約の打ち切りを禁じているが、会社側は一方的に社員の問題点を指摘したり、必要な手続きを省いたりして退職に追い込む。

 沈黙が15分ほど続いた。昨年7月、九州にある事業所の会議室。社員の30代女性は、関東の本社から訪れた取締役と社会保険労務士に解雇通知書を突き付けられた。署名を求められ、拒むと会話は途切れた。
  やがて、脅しに近い声が飛んだ。「今、署名しないと終われないから」「書かないと部屋から出られませんよ」。詳しい説明はなく、言い分も聞いてもらえない。怒りと諦めが湧いた。 
 「もういいかな、こんな会社」。名前を書き、その日のうちに荷物をまとめて職場を出た。数日後、正式に退職となった。

「気にすることはない」はずが…

 女性は事務職として十数年、勤務してきた。トラブルの発端は昨年5月、同じ事務職の新人が入ってから。仕事を教えていると約2週間で出社しなくなった。
  「指導が厳しい」「できない量の仕事をさせられる」。新人は上司にパワハラ被害を訴えたという。きつく接したつもりはなく、教えた業務も会社が指示した内容の一部だけ。戸惑った。事務職はもともと2人態勢で、退職が相次いだため女性が長く1人で担っていた。待ちわびた仲間を排除するはずがない。
  6月、本社から訪れた部長と社労士に事情を聴かれた。女性はパワハラを否定しつつ、「相手の受け止め方もあるだろうから、かみ合わなかったのなら、申し訳なく思います」とわびた。翌日も謝罪し、部長から「気にすることはない」と言ってもらえた。解雇通知書に署名を促されたのは、その1カ月後だ。
  一般的に解雇の有効性を巡る訴訟では、本人に弁明の機会があったかが重視される。女性にはその場も与えられなかった。
  思い当たる節はある。女性は1人で事務をする間、朝から日付が変わるまで働いても仕事が終わらず、泣きながら作業をしていた。何度か直属の上司に助けを求めたという。社内の他の事業所は事務職が辞めると補充があるのに、「なぜここはないんですか」-。
  女性の残業時間が多いことを本社が問題視し、少なく申告するよう言ってきたこともある。その際も同じ上司に「出先から現実を報告しないと、どれだけ大変か分かってもらえないですよ」と意見をぶつけた。 
 「そういうのが生意気で気に入らなくて、パワハラで切ろうとしたんでしょうね。長年、頑張って貢献してきたのに恩をあだで返された感じ。悔しいです」

「あなたの仕事はなくなる」
 九州の食品加工工場で働いていた40代男性も職を失う危機に立たされた。5年ほど前、上司に「工場を畳むから、あなたの仕事はなくなる。整理解雇でお願いします」と告げられた。
  整理解雇は、企業が業績悪化で社員を減らす際に取る手続き。判例で確立された四つの要件を満たすかどうかで有効性が判断される。会社は解雇を避けるため、配置転換や希望退職者を募集するといった努力をしたか-などがそうだ。
  当時、希望退職者は募っておらず、転勤の相談もなかった。同じ工場で働く正社員の同僚は別の職場に移ったのに、なぜ自分だけ解雇されるのか説明もない。会社が正しい手続きを踏んでいないのは明らかで、納得できなかった。
  会社と交渉して解雇は取り下げられたが、本州に転勤に。応じたものの、九州に残してきた認知症の母を思うとつらい。母が暮らす施設の近くにも会社の事業所があり、そこで働きたかった。
  「会社がきちんとルールを守っていれば、こうはならなかったんじゃないかな」。釈然としない思いがなお、胸に残る。  (編集委員・河野賢治)

感想
 会社が社員のことを考えてくれているとの錯覚が、裏切られたとかの思いにつながるのではないでしょうか。
 多くの会社は会社の存続を第一に考えています。
存続するためにはどうするか?
1)顧客満足を考える
2)社員満足を考える
会社が経営不振になると、1)と2)は後回しになります。
1)は売り上げに影響するので、手っ取り早く2)を後回しにします。
リストラが始まるのです。
 このケースみたいに、脅して辞めるサインを得たらそれで目的達成です。
逮捕して自供させて取り調べ調書にサインさせたら”勝ち”なのです。
一度サインすると裁判で覆すのは至難の業です。
警察官が「裁判で言えば変わるから」を信じたらバカをみます。

 脅すなら録音することです。
また部屋を出てはいけないは人権違反です。
逆に会社側に違反行為を多くさせるのもよいでしょう。
そしてそれを労働基準局に訴えたり、裁判を起こしたりすればよいのです。
企業は訴えられたとなると”企業イメージダウン”を恐れ、妥協してくる場合もあります。

 先ずは知ることです。
いつ自分がそのような状況に追い込まれるかわかりません。
会社に問題がある。おかしいと言っても解決しません。
こちらも知識で武装しておく必要があります。
 自分が恐れているということは、会社も恐れているのです。
また、今はSNSで発信できます。
会社とのやり取りを、ブログで発信すること(ただし事実を淡々と記載)で、その企業のイメージダウンにつながります。
 きっと「ブログでは発信を止めて欲しい」、あるいは「内部情報漏洩で訴える」と言われても恐れることはありません。事実を書いて、そしてそのときの自分の感情を書くことです。
 決して相手側を中傷したり脅すような言葉は一切書かないことです。
 自分で冷静に判断できない場合は、信頼できる人に見てもらうのも選択肢です。