丹羽宇一郎
藤井聡太
・原動力は何だと思いますか?
やはり、「将棋が好き」ということだと思います。幼い頃からずっと好きで自然にやってきた感じです。将棋を指したくないとか、駒に触れたくないなどとおもったこはないです。
・なぜ将棋をそこまで好きになったのですか。
五歳のときに、駒の表面に動かし方が矢印で書かれている入門者用の盤駒セット『スダディ将棋』(くもん出版)を、祖母が持ってきてくれました。将棋のルールを覚えて最初に指した相手も、祖母です。祖母はルール覚束ないくらいの初心者だったので、すぐに勝てるようになって、それでどんどん将棋が面白くなりました。かつ楽しさをスタート段階で味わえたのが、モチベーションにつながってよかったのかもしれません。
・強くなるためにいちばん理想的なものは、自分より少し強い相手、「頑張れば勝てるかもしれない」相手と戦うことでしょうか。
・「トップの条件」が三つあります。
一つは、「負けず嫌い、反骨心」
二つ目は、「忘れる力」。
残りの一つが、「孤独の力」です。(丹羽)
そうですね、自分は負けず嫌いです。
・負けた将棋でいちばん気になる点は、最初に形勢が傾いたのはいつかということです。
その形勢の均衡が崩れた局面は、どうして崩れたのか、その要因を考えます。それを言語化することで、他の局面に応用できるようになるからです。
・対局は「決断」の連続なので、対局のときだけは、自分を信じてあげることが必要なのかなと思っています。どういう状況であっても、自分を疑ってしまうよりは、一応自分を信じて指そうと。
・『三昧境』(無我の状態、忘我の境地)(丹羽)
・自分も最近は対局に臨むときに、勝ちたいという気持ちじゃなくて、「一つ一つの局面に、なるべく最善に近い手を探して選択していきたい」と思っています。
・母によれば、家の近くの幼稚園に入園させたら、たまたまそこがモンテッソーリ教育をしていた園だったということのようなんですが・・・。モンテッソーリ教育というのは、さまざまな教具を用いた「お仕事」を、子どもたちに自由に取り組ませて見守るというものです。ハサミや針、包丁なども早くから使います。これもよく覚えてはいないんですが、画用紙を切って編んで作る「ハートバッグ」を毎日何十個も園で作って、家に持ち帰っていたそうです。
・「マシュマロ実験」(丹羽)
スタンフォード大学のウォルター・ミッシェル教授が1970年に実施した「マシュマロ実験」は、186人の四歳児にマシュマロを一つ差し出し、「食べてもいいけれど、15分後に大人が部屋に戻ってくるまで我慢できれば、二つ目をあげます」と言って大人は部屋を出て、その子たちの行動を観察するというものです。15分間我慢して二つのマシュマロを手に入れられた子どもは、全体の約1/3でした。
さらに40年ほど追跡調査すると、二つのマシュマロを手に入れた子どもは、22歳のときには成績優秀者が多く、45歳のときには自分の思い通りの人生を歩んでいたり、社会的・経済的地位が高くなっていたりした、という結果が出ました。
・お勧めしたい本はロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』です。(丹羽)
・(読書の意義について)自分の情報源を広げて、自分自身で新しい局面を切り開いて考えること。それを後押ししてくれるのが、読書じゃないかな。だから人間として、読書は死ぬまで続けていくべきじゃないかと思います。(丹羽)
・『大作曲家たちの履歴書』三枝成彰著(丹羽)
・(AIの活用)
対局中の自分の形勢判断と照らし合わせてどうだったかとか。あるいは自分の気付いていない筋があったかとか、そんな感じです。基本的にはそれを毎局やっています。
・AIの評価値を見るうえでまず気を付けることは、それがどういうAIを使って、どれぐらい読んでいるのかというところです。いくら評価値がこうだといっても、そういう基本情報がないと、本当にそれを信じていいのかは、全然わからないものなので、まずはそこを見るようにしています。そのうえで、強いAIを使って、例えば10臆手読んでいるものであれば、当然それなりにかなり信頼できるなどと考えます。複数のAIを使って、セカンドオピニオンのような形で見る場合もあります。
・AIを使って研究することもあり、趣味でパソコンを自作しています。CPUには数年前から、AMD(アメリカの半導体企業)の「Ryzen」を使っていて、自分の使っているものは一秒間に六千万手ほど読む能力があります。
感想;
対談から学ばれているように思いました。
まさに対談で考える力も身に付けられているようです。
子どもが夢中になるものをいかに提供できるか。
祖母が将棋セットを与えなければ、藤井四冠は生まれてゐません。
AIの結果をそのまま信じるのではなく、AIがその結果をどのようにして出しているかまで確認するとのこと。
これは品質保証においてもとても重要です。
その試験結果が、どのようなところからどのようにしてサンプリングされ、そしてそれがどのようにして試料として、どのような試験方法でどのように試験されたかを確認しないと、そのデータを信用することはできません。
このことが分からないQA/QCの人も多いのですが、その本質を若くして理解されているのはすごいと思いました。
「好きこそものの上手なれ」と言う言葉がありますが、好きになることがとても大切なのでしょう。
知るは好きに如かず
好きは楽しむに如かず
さらに好きで楽しんでやることが一番のようです。
好きなことでも苦しくなることが多いのですが。
そして対局した、特に負けた将棋をどこで形勢が変わったかを毎回確認するという日々の努力の積み重ねも大きいようです。
天才も努力を積み重ねている。
積み重ねているからこそ、天才と言われているのでしょう。
人生も決断の連続です。
その決断をより良くするための「読書」と「振り返り」が次の勝負(人生)に生かされるのでしょう。
「マシュマロ実験」では子どもの家庭の経済的背景が原因との説明もありました。
「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」は被験者の経済的背景と相関が高く、長期的成功の要因としては「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」よりも被験者が経済的に恵まれていたかどうかの方が重要であったこと(ウイキペディア)
家庭で充分なお菓子も食べられる環境に育っていると待つ余裕もあるのかもしれません。
それでいつも思い出すのは漫画にあった下記のお話です。
道端に野良犬を殺すための毒饅頭がありました。
普段から美味しいものを十分食べている飼い犬は道端の饅頭など見向きもしません。
しかし、いつもお腹を空かしている野良犬は食べてしまい命を落としてしまいました。
子ども心に社会の不条理を感じた話で心に残っています。
貧困の連鎖も同じなのでしょう。
教育がいかに大切かを思います。
究極の品質保証対策は教育だと思います。
それが受けられるかどうか。
また学ぼうとするかどうか。
その差は大きいですね。
「読書」も大きな学びなのでしょう。
藤井聡太
・原動力は何だと思いますか?
やはり、「将棋が好き」ということだと思います。幼い頃からずっと好きで自然にやってきた感じです。将棋を指したくないとか、駒に触れたくないなどとおもったこはないです。
・なぜ将棋をそこまで好きになったのですか。
五歳のときに、駒の表面に動かし方が矢印で書かれている入門者用の盤駒セット『スダディ将棋』(くもん出版)を、祖母が持ってきてくれました。将棋のルールを覚えて最初に指した相手も、祖母です。祖母はルール覚束ないくらいの初心者だったので、すぐに勝てるようになって、それでどんどん将棋が面白くなりました。かつ楽しさをスタート段階で味わえたのが、モチベーションにつながってよかったのかもしれません。
・強くなるためにいちばん理想的なものは、自分より少し強い相手、「頑張れば勝てるかもしれない」相手と戦うことでしょうか。
・「トップの条件」が三つあります。
一つは、「負けず嫌い、反骨心」
二つ目は、「忘れる力」。
残りの一つが、「孤独の力」です。(丹羽)
そうですね、自分は負けず嫌いです。
・負けた将棋でいちばん気になる点は、最初に形勢が傾いたのはいつかということです。
その形勢の均衡が崩れた局面は、どうして崩れたのか、その要因を考えます。それを言語化することで、他の局面に応用できるようになるからです。
・対局は「決断」の連続なので、対局のときだけは、自分を信じてあげることが必要なのかなと思っています。どういう状況であっても、自分を疑ってしまうよりは、一応自分を信じて指そうと。
・『三昧境』(無我の状態、忘我の境地)(丹羽)
・自分も最近は対局に臨むときに、勝ちたいという気持ちじゃなくて、「一つ一つの局面に、なるべく最善に近い手を探して選択していきたい」と思っています。
・母によれば、家の近くの幼稚園に入園させたら、たまたまそこがモンテッソーリ教育をしていた園だったということのようなんですが・・・。モンテッソーリ教育というのは、さまざまな教具を用いた「お仕事」を、子どもたちに自由に取り組ませて見守るというものです。ハサミや針、包丁なども早くから使います。これもよく覚えてはいないんですが、画用紙を切って編んで作る「ハートバッグ」を毎日何十個も園で作って、家に持ち帰っていたそうです。
・「マシュマロ実験」(丹羽)
スタンフォード大学のウォルター・ミッシェル教授が1970年に実施した「マシュマロ実験」は、186人の四歳児にマシュマロを一つ差し出し、「食べてもいいけれど、15分後に大人が部屋に戻ってくるまで我慢できれば、二つ目をあげます」と言って大人は部屋を出て、その子たちの行動を観察するというものです。15分間我慢して二つのマシュマロを手に入れられた子どもは、全体の約1/3でした。
さらに40年ほど追跡調査すると、二つのマシュマロを手に入れた子どもは、22歳のときには成績優秀者が多く、45歳のときには自分の思い通りの人生を歩んでいたり、社会的・経済的地位が高くなっていたりした、という結果が出ました。
・お勧めしたい本はロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』です。(丹羽)
・(読書の意義について)自分の情報源を広げて、自分自身で新しい局面を切り開いて考えること。それを後押ししてくれるのが、読書じゃないかな。だから人間として、読書は死ぬまで続けていくべきじゃないかと思います。(丹羽)
・『大作曲家たちの履歴書』三枝成彰著(丹羽)
・(AIの活用)
対局中の自分の形勢判断と照らし合わせてどうだったかとか。あるいは自分の気付いていない筋があったかとか、そんな感じです。基本的にはそれを毎局やっています。
・AIの評価値を見るうえでまず気を付けることは、それがどういうAIを使って、どれぐらい読んでいるのかというところです。いくら評価値がこうだといっても、そういう基本情報がないと、本当にそれを信じていいのかは、全然わからないものなので、まずはそこを見るようにしています。そのうえで、強いAIを使って、例えば10臆手読んでいるものであれば、当然それなりにかなり信頼できるなどと考えます。複数のAIを使って、セカンドオピニオンのような形で見る場合もあります。
・AIを使って研究することもあり、趣味でパソコンを自作しています。CPUには数年前から、AMD(アメリカの半導体企業)の「Ryzen」を使っていて、自分の使っているものは一秒間に六千万手ほど読む能力があります。
感想;
対談から学ばれているように思いました。
まさに対談で考える力も身に付けられているようです。
子どもが夢中になるものをいかに提供できるか。
祖母が将棋セットを与えなければ、藤井四冠は生まれてゐません。
AIの結果をそのまま信じるのではなく、AIがその結果をどのようにして出しているかまで確認するとのこと。
これは品質保証においてもとても重要です。
その試験結果が、どのようなところからどのようにしてサンプリングされ、そしてそれがどのようにして試料として、どのような試験方法でどのように試験されたかを確認しないと、そのデータを信用することはできません。
このことが分からないQA/QCの人も多いのですが、その本質を若くして理解されているのはすごいと思いました。
「好きこそものの上手なれ」と言う言葉がありますが、好きになることがとても大切なのでしょう。
知るは好きに如かず
好きは楽しむに如かず
さらに好きで楽しんでやることが一番のようです。
好きなことでも苦しくなることが多いのですが。
そして対局した、特に負けた将棋をどこで形勢が変わったかを毎回確認するという日々の努力の積み重ねも大きいようです。
天才も努力を積み重ねている。
積み重ねているからこそ、天才と言われているのでしょう。
人生も決断の連続です。
その決断をより良くするための「読書」と「振り返り」が次の勝負(人生)に生かされるのでしょう。
「マシュマロ実験」では子どもの家庭の経済的背景が原因との説明もありました。
「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」は被験者の経済的背景と相関が高く、長期的成功の要因としては「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」よりも被験者が経済的に恵まれていたかどうかの方が重要であったこと(ウイキペディア)
家庭で充分なお菓子も食べられる環境に育っていると待つ余裕もあるのかもしれません。
それでいつも思い出すのは漫画にあった下記のお話です。
道端に野良犬を殺すための毒饅頭がありました。
普段から美味しいものを十分食べている飼い犬は道端の饅頭など見向きもしません。
しかし、いつもお腹を空かしている野良犬は食べてしまい命を落としてしまいました。
子ども心に社会の不条理を感じた話で心に残っています。
貧困の連鎖も同じなのでしょう。
教育がいかに大切かを思います。
究極の品質保証対策は教育だと思います。
それが受けられるかどうか。
また学ぼうとするかどうか。
その差は大きいですね。
「読書」も大きな学びなのでしょう。