平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

SNSの隆盛とオールドメディアの衰退~情報化社会はますます混沌としてきた

2024年12月31日 | 事件・出来事
 SNSとオールドメディア。
 これを対立で語ることには抵抗があるのだが、両者について語ってみる。

 まずSNS。
 これの影響力は凄まじい。
・都知事選での石丸伸二
・衆議院選挙での国民民主党
・兵庫県知事選での斎藤元彦氏の当選

 動画の切り抜きと拡散。
 切り抜きでは、都合の悪い所はカットして良い所だけを見せることができる。
 そして拡散増幅。
 この増幅がハンパでない。
 おまけにエコーチェンバーで同じ意見の動画ばかりを見せられる。

 おまけに動画、観衆の水増しなどフェイクをいくらでも作れる。
 ウソもいくらでも流せる。
 それが顕著だったのが斎藤元彦氏が当選した兵庫県知事選挙だ。
 告発して自ら命を断たれた県民局長には地位を利用して10人の女性に手を出していた。
 ところが、それが7人、5人と減っていき、結局ひとりに。
 おまけに、この一人の女性とは不倫ではあるけれど、相互同意だったらしい。
 10人の女性とは何だったのか?
 イメージ戦力も効いていて、
・斎藤元彦氏は既得権を破壊しようとしたらハメられた。
・ハメたのは県職員、県会議員、在阪マスコミ。
・斎藤元彦氏は既得権と戦っているヒーローだった。
 というイメージづくりで見事当選……。

 怖ろしい時代になったものである。
 おまけにこれらの動画をつくっているのはごく少数の人たち。
 拡散しているのも少数の人たち。
 でも、これがメジャーになり世論をつくる。

 石丸伸二氏は来年の東京都議選にむけて政党をつくるらしい。
 先日、能登の被災地に行った石丸氏は壊れた家屋を見て
「全戸に平等に対応するのは難しい。一部を見捨てるという選択肢もあり得る」
「家を持っている人に対応することは持っていない人に対する不公平になる」
 といった意味合いの発言したが、基本的に彼は合理主義の新自由主義者。
 家を失った人の悲嘆に思いを致すことがない。
 僕は石丸伸二氏、斎藤元彦氏に気味悪さを感じる。
 彼らには心がない。

 話が逸れてしまったが、政府は選挙でのSNS規制を考えているらしい。
 う~ん、これはどうなんだろう?
 一定の規制は必要だと思うが、拡大解釈されて言論規制に繋がらないか?
 …………………………………………………

 一方、オールドメディアのテレビ。

 テレビがSNSより情報が表面的で速度が遅いのは仕方がない。
 表面的なのは一応「公正公立」を放送法で要求されているからだ。
 放送時間が限られていて深掘りできないという理由もある。
 SNSより速度が遅いのは「裏を取らなくてはならない」から。
 週刊誌の記事を即テレビで放送するというわけにはいかない。
 この点では、ウソや陰謀論もあるSNSより信頼できるのだが、テレビにも問題がある。

 テレビは権力者やスポンサーに弱い。
 無言の圧力や忖度で、必要なことを報道しない。
 大物政治家の不正やスキャンダルしかり。
 ジャニーズ問題しかり。
 今、SNSでは元SMAPの中居正広氏のスキャンダルが話題だが、
 テレビでは一切報道していない。
 実名の被害者がいるので、このままスルーにはならないだろうが、
 おそらく現状は様子見、あるいは正月があけてからの放送になるだろう。

 まあ、こんなことを続けていたらテレビは信頼されなくなって、いずれ滅びると思うんだけど。

 現在はSNSもテレビも信頼できない時代になって来た。
 新聞はまだ信頼できて、国際問題、政治経済、文化、生活まで網羅できるすぐれたメディアで、
 見直されるべきだと思うが、発行部数は毎年減。

 情報社会はますます混沌としてきた。
 来年はどんな情報が飛び交い、社会を動かしていくのだろう。
 間違った方向に行かなければいいと思うが、果たして?

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昭和女子大学・吹奏楽部の定期演奏会に行って来た!

2024年12月29日 | その他
 27日、昭和女子大吹奏楽部の第12回定期演奏会に行って来ました。
 アニメ『響け!ユーフォニアム』を見て以来、吹奏楽をナマで聴きたかったんですよね。

 すごく楽しかった♪
 曲は──
1.アルセルナール
2.オペラ座の怪人
3.ディスコ・キッド
 クリスマスパートで
4.そりすべり
5.恋人たちのクリスマス
6.ロマンスの神様
 ポップスパートで
7.ミックスナッツ~アニメ『スパイファミリー』主題歌
8.フレンド・ライク・ミー~映画『アラジン』挿入歌
9.魔女の宅急便コレクション
10.ジャパニーズ・グラフィティ~嵐メドレー

 吹奏楽ではソロのパートが終わると観客は拍手するんですね。
 クリスマスパートではサンタの帽子をかぶったり、
 ポップスパートでは私服に近い衣裳で演奏したり。

 パーカッションパートは見ていて楽しい。
 シンバル、トライアングル、スネア──
 さまざまな楽器や物でリズムを刻み、ここ一番でバーン! と決める。
 鍵盤楽器の跳ね方も心地いい。

 今回の公演で3年生が引退というとことで、3年生の部長さんから挨拶。
 指導してくれたコーチ、部員、支えてくれた人、そして観客への感謝。
 いかにも部活って感じがする。

 そして!
 この演奏会で、ずっと知りたかった楽曲のタイトルがやっとわかった。
『響け!ユーフォニアム』では、よくバックに流れていた曲。

 そのタイトルは──
「ディスコ・キッド」

 誰もがどこかで耳にしたこともある曲だと思うので、以下の動画でぜひ聴いてみて下さい。

「ディスコ・キッド」龍谷大学吹奏楽部(YouTube)

 最後に、昭和女子大学吹奏楽部の皆さん、楽しい演奏をありがとうございました!

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漫画家・倉田真由美さん、野菜の高騰を高齢者のせいにする。責めるべきは他にあるのに……

2024年12月28日 | 事件・出来事
 漫画家の倉田真由美氏がXでこんなポスト。

「普通に働いているのに野菜の高騰で買い控えが起きる、これはもう異常事態。
 抜本的な解決のためにはもう、社会保障費削減しかないと思う。
 今の日本は、おばあちゃんの湿布代のために子どものカレーににんじんを入れられない状態」


 おばあちゃんの湿布代と子供のカレー人参。
 どうしてこっちの方向に行くのかなぁ……。

 おばあちゃんの湿布と子供のカレーの人参──両方、手に入れられるようにするのが政治だろう?
 というか、カレーの人参もそうだが、おばあちゃんが湿布も貼れない社会って、どうなのか?

 削るべき政府のムダは他にいっぱいある。
 たとえば、少子化に少しも役に立っていない子供家庭庁の予算7兆円。
 これも効果を発揮するとは思えない男女共同参画の予算9兆円。
 リニアも要らない。万博も誰が望んでいるんだ。

 そして円安。
 肥料、農業機械の燃料代、電気代に影響を与えて人参の価格に影響を与えている。

 税金は五公五民。
 だから使えるお金が少なくて、子供のカレーから人参がなくなる。

 倉田真由美氏は責める所を間違えている。
 それに現在の農業を担っているのって、湿布を貼ってる高齢者だぞ。
 ………………………………………………………

 倉田真由美さん、最近マンガを描いているのかな?

 描けていないと思う。
 心が歪んでいるから人の心を打つ作品など描けない。
 歪んだ心から生まれる作品もあるが、湿布と人参では薄っぺらだ。
 生まれる作品はたかがしれている。
 もし、この方向に進みたいのなら、倉田真由美さんは自分の心の醜い暗闇を見つめるべきだろう。
 倉田さん、才能が枯れてしまったのかな?
 その焦りが心をいびつにしてしまったのかな?

 と、偉そうなことを書いてしまった……。

 ちなみに僕は笑える、愛にあふれた、明るい作品を見たり読んだりしたい。
 世の中には、今回の倉田真由美さんのような、愚かで、心を萎えさせる言葉が溢れているから。

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映画「燃えよ剣」~政治やイデオロギーは人や組織を弱くする

2024年12月26日 | 邦画
 新選組・土方歳三(岡田准一)の物語である。

 剣・和泉守兼定を手に入れるくだりが面白い。
 刀商人から渡された剣を鞘から抜いて土方は言う。
「なんだ、錆びた刀じゃないか」
 すると商人。
「この刀は三百年間、あなたさまを待っていたのです。
 これまで多くの方がこの剣を鞘から抜こうとしましたが、抜けませんでした。
 しかし、あなたさまは抜きました。
 あなたさまはこの剣に新しく選ばれた方なのです」

 歴史ドラマでありながら伝奇的なエピソードだ。
 この和泉守兼定。
『ゴールデンカムイ』では土方歳三は生きていて、この刀を取り戻すために銀行を襲う。
 この剣を手にすることで土方は力を手に入れることが出来る。

 新選組と剣の関係はいろいろあって、
・近藤勇は「虎徹」
・沖田総司は「菊一文字」
・斎藤一は「鬼神丸国重」

 そして徳川家を滅ぼす刀は「村正」
 桑名の刀工集団・村正がつくる刃と徳川家には因縁があって、ネット情報に拠ると──
・妻・築山殿(瀬名)を処刑して斬った刀は村正
・関ヶ原の戦いの際、家康が怪我をした槍は村正
・大阪の陣で真田幸村が家康に投げつけた短刀は村正

 歴史の背景には「刀」の力が存在していたのかもしれない。
 ……………………………………………

 さて、本題。

 土方歳三は新選組を「日本一のケンカ集団」「武士の集団」にしようとする。
 そのことしか考えていない。
 しかし、近藤勇(鈴木亮平)、芹沢鴨(伊藤英明)、山南敬助(安井順平)らは違う。
「尊皇」「攘夷」といったイデオロギーに振りまわされ、
 帝、公家、徳川、薩摩、長州といった存在に翻弄される。

 その結果、新選組は弱体化する。
 確かに京都守護職・松平容保(尾上右近)の下で、京の不逞の輩と戦っている時は強かった。
 正しいことのために戦っているという自負があり、勢いもあった。
 だが、薩長が力を持ち、錦の御旗が掲げられ、朝敵になると動揺し、心が折れる。
 政治的な意見の対立で組織が分裂する。
 芹沢鴨のように権力を得た結果、カネや女に手を出して堕落するものもいる。

 政治やイデオロギー。
 土方はこれらにとらわれると、人や組織はブレて弱くなると考えている。
 土方がこだわっているのは「武士」であること。
「武士」としてどう生き死ぬかということ。

 人の生き方はさまざまであるが、土方歳三の生き様はストイックで潔い。

 ネタバレになるので具体的に書かないが、
 ラスト、土方の戦いぶりを温かい目で見ている人物たちが現れる。
 このシーンはちょっと泣ける……。


※関連動画
 映画『燃えよ剣』予告編(YouTube)

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「福田村事件」~関東大震災の負の歴史・福田村事件が映画化

2024年12月24日 | 邦画
 2023年の最大の問題作・映画「福田村事件」。
 現実にあった福田村事件とはとは次のような事件である。

 福田村事件
 1923年(大正12年)9月6日、関東大震災後の混乱および流言蜚語が生み出した社会不安の中で、
 香川県からの薬の行商団(配置薬販売業者)15名が千葉県福田村(現在の野田市)で地元の自警団に暴行され、9名が殺害された事件である。(ウィキペディアより)

 劇中、女性新聞記者は訴える。
「目の前で朝鮮人の女の子が自警団に殺されるのを見ました。書かせて下さい」
 しかしデスクは首を縦に振らない。
 内務省の「朝鮮人が火をつけ爆弾を作っている」という発表を記事にするように言う。
 これに対して女性記者は──
「新聞は何のために存在してるのですか!?」
「権力の言うことをただ書くだけなんですか?」
「これを書いた結果、何をもたらすのか教えて下さい」
 これに対してデスクは──
「俺はこれを書かないことの方が怖い」←つまり政府の弾圧に遭う。

 共産主義者は摘発・弾圧される。
 警察いはく、
「戒厳令が出ているので亀戸署で保護します」
 その結果、弾圧されて、死の際に共産主義者は──
「社会主義万歳! 労働者万歳!」
 これを見た市民は──
「お上に楯突くと、ああなるんだ」

 福田村で自警団に殺害された行商団は部落出身だ。
 積極的に出自を明かしたくないので、朝鮮人と疑われて殺害されてしまう。
 疑っている自警団はこんなことを要求する。
「十五円五十銭と言ってみろ」
「天皇陛下様の名前を最初から言ってみろ」
「天皇陛下万歳、天皇陛下万歳と言え!」
 捕まって殺されそうになる残りの行商人は念仏あるいは「水平社宣言」を唱える。
『人の世に熱あれ、人間に光あれ」

 水平社宣言を唱えた背景にあるのは、
 ただでさえ出自で理不尽な目に遭っているのに、今も言いがかりで理不尽な目に遭っていることへの怒りと祈念であろう。
 自分たちはなぜこんな理不尽な目に遭うのか? 差別のない社会が来てほしい。
 と彼らは訴えている。
 ………………………………………………………

 ハードな内容だった。
 たまには、こういう心にガツンと来る作品を見た方がいいと思う。
 そして「自分」と「日本人」というものに向き合うのだ。

 この作品に対して、史実と違うという話が早速出ているようだが、
 相変わらず、心の弱い人たちだな。

 もっと人間の醜さに目を向けよう。
 流言飛語で行動してしまう愚かさを認識しよう。
 同調圧力の息苦しさを感じよう。

 僕は少なくとも、この作品で描かれたような愚かで息苦しい社会にしてはいけないと考えている。


※関連動画
「福田村事件」予告編(YouTube)

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石破首相、維新の前原誠司と組むらしい~国民民主党はハシゴをはずされた?

2024年12月22日 | 事件・出来事
 石破首相、国民民主を捨てて、日本維新の会・前原誠司と組むようだ。
 自民・公明・維新で過半数獲得。
 これで国会運営が楽になる。
 来年度予算も通せる。

 維新・前原誠司氏を味方にするエサは「教育無償化」の実現。
 この方が国民民主党の「103万円の壁打破」「178万円まで引き上げ」よりは安くつく。
 財務省も税をいじらなくていいので賛成する。
 あとは、教育無償化実現のための予算をどこから持って来るか?

 国民民主党の玉木雄一郎氏、完全にハシゴを外されたな……。
 現状では103万円の壁は上限123万で落ち着きそうだ。
 だが、これではたいした減税効果はない。
 完全に骨抜きにされた。
 さて、ここからが玉木氏と国民民主の政治力が試される。
 与党からは「たかだが28議席の政党が偉そうにするな」という批判が出ているとか。
 …………………………………………

 それにしても前原誠司という政治家はおかしな動きをするよな。
 小池百合子の希望の党と合流して民進党(旧・民主党)を潰した。
 希望の党に残った議員が「国民民主党」を作ったが、
 前原氏は「教育無償化を実現する会」をつくって国民民主から離脱。
 その後「日本維新の会」に合流して、維新の会の代表に。
 信念がどこにあるのかわからない。
 フラフラしている。

 まあ現状、前原氏は「国民民主の103万円の壁の政策の実現にも協力する」と言っているが、
 果たして?
 来年3月の予算成立時には賛成して裏切るのでないか?

 でも、それでいいのかな?
「103万円の壁」を骨抜きにした政党として、日本維新の会は来年の参議院選挙で大負けするぞ。
 大阪万博も入場者が少なくて赤字になるだろうし。

 これで「前原誠司の行く政党は必ず潰れるの法則」が実現する。
 民進党しかり、希望の党しかり、そして維新の会?

 石破首相と前原氏は「鉄道オタク」で親しい。
 石破首相としては、よくぞ前原氏が維新の代表になってくれた、と喜んでいることだろう。

 一方、立憲民主党。
「政策活動費の廃止」は何とか実現したようだが、国民にはあまり刺さっていない感じ。
 現在おこなわれてる政倫審も成果をあげることなく終わりそう。
 立民は「政治とカネ」にこだわっているが、国民が望んでいるのは「経済」じゃないのかな?

 来年の政治の世界、果たしてどう動くのか?

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映画「シビル・ウォー」~かくして少女は戦場カメラマンになり、彼女は戦場カメラマンでなくなった

2024年12月20日 | 洋画
 映画「シビル・ウォー」
 もしアメリカで内戦が起こったら? という作品である。

 舞台は近未来のアメリカ。
 憲法で禁じられているはずの3期目に突入し、FBIを解散させるなどの暴挙に及んだ大統領に反発し、19の州が分離独立を表明、内戦が勃発。
 テキサス・カリフォルニアが連合する「西部勢力(WF〈Western Forces〉)」と、フロリダ~オクラホマにかけて広がる「フロリダ同盟」は2つ星の星条旗を掲げ政府軍を次々と撃退。
 ワシントンD.C.に迫り、首都陥落は時間の問題。

 先日、韓国で非常戒厳が発動され、失敗に終わったが、
 もし成功していたら独裁政権の樹立、あるいは内戦になっていた可能性がある。
 それはシリアでも同じ。
 アサド大統領が亡命せず、戦い続けていたら内戦になっていたかもしれない。
 あるいは来年、大統領になるトランプ氏。
 トランプ氏があまりにも強権を振るえば内戦になるかも?
 というわけで、この作品、なかなかリアリティがある。

 さて、ここからが本題。
 以下、ネタバレ。


 ……………………………………

 この作品の本質は「内戦」を描くことではない。
「戦場カメラマン(ジャーナリスト)」を描くことにある。

 すなわち
・戦場カメラマンになる少女
・戦場カメラマンでなくなる女性
 の物語だ。

 ジェシー(ケイリー・スピーニー)は新人だ。
 戦場カメラマン、リー・スミス(キルティン・ダンスト)に憧れて、同行する。
 だが新人だから危なっかしい。
 無闇に飛び出さないように記者のジョエル(ヴァグネル・モウラ)にしばしば背中を掴まれる。
 死体でいっぱいの穴に落とされて吐いたりする。
 だがジェシーは若くて柔軟だ。
 スポンジが液体を吸い込むように戦場でのふるまい方を吸収していく。
 彼女は次第に一人前になっていく。

 一方、ベテラン戦場カメラマンのリー・スミス。
 リーはジェシーに「目の前で仲間が殺されても平然と写真を撮れるようになれ」と教える。
 だが、師であるサミー(スティーヴン・ヘンダーソン)が命を落とすことによって変貌する。
 弾丸が飛び交う戦場を怖れるようになる。
 戦場カメラマンとしての勘やセンスは残っているが、恐怖は拭えない。
 そして──
 飛び出したジェシーが撃たれそうになった時、リーはジェシーの盾になって命を落とす。
 リーはすでに戦場カメラマンではなくなっていたのだ。
 以前のリーならジェシーが撃たれる写真を平然と撮っていただろう。

 この作品、リーが撃たれた後がすごい。
 自分の代わりに撃たれたのにジェシーは何の感傷もなく、死んだリーを置き去りにし、
 スクープ写真を撮るために突っ込んでいく。
 リーの友人であるのに記者のジョエルも悲しむことなく、ジェシーと共に突っ込んでいく。

 これが戦場カメラマンなのだ。
 いちいち感傷に浸っていてはやっていけない。
 スクープ写真を撮るために心をダイヤモンドのように硬くする。 

 これが人として正しいのかどうかはわからない。
 幸せなのかもわからない。
 敢えてジェシーの立場で言えば、戦場は非日常空間なので日常の感覚ではやっていけないのだろう。
 日常の感覚を抱いた時点で殺されてしまう。

 この作品の後半30分はものすごくドライだ。
 リーを放置したジェシーを是とするか、身代わりになったリーを是とするか、
 これらの判断は観る者に委ねられる。

 ここが今作のすごい所だ。

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立民・徳永エリ議員の発言に批判殺到!~立憲民主党、頼むから変わってくれ! もううんざりだ

2024年12月18日 | 事件・出来事
 ひさしぶりに政治&立憲民主党の話。
 立憲民主党は「政策活動費の廃止」に何とかこぎつけたようだ。
 これはひとつの成果。
 国民民主党に話題をもっていかれがちなので、もっとアピールするといい。
 でも立民はアピールが下手なんだよな。
 相変わらずお上品で貪欲さが足りない。
 まあ、一般の人には「政策活動費」よりは「103万円の壁」の方がわかりやすいという面もあるが。

 政治資金改革で残された課題は「企業団体献金の廃止」。
 立民がこれを達成できればすごいんだけど、果たしてどうか?
 自民党は抵抗。
 国民民主も前向きではない。
 ただ、ここは立民の攻め所。
 自民党はもちろん、国民民主党も叩ける。
「国民民主は政治資金改革に後ろ向きだ!」
「国民民主は自民党の補完政党だ」
 とアピールすればいい。
 でも、これができないのが立憲民主党。
 ケンカ下手でお上品だ。
 他党はもっと貪欲だぞ。
 ……………………………………………………

 立憲民主党の足を引っ張っている議員もいる。
 立憲民主党の徳永エリ衆議院議員だ。

 お米の値段、野菜の値段が高騰している中、
 徳永氏は自身のXで──

『農作物の価格が高くなっても、農家手取りが大幅に増えるわけじゃない。
 頑張って収入を増やしても、円安の影響で生産コストが高止まり。
 肥料、飼料、燃油、電気、箱や袋代、出面さんの人件費、農協の施設利用料、輸送費等々。
 消費者の皆さんに理解して欲しいな』


 まあ、農家の皆さんが大変のはわかるよ。
 でも大変なのは一般消費者も同じ。
 現在、通常のお米の価格は5キロ3000円~3500円くらいだが、以前は2000円で買えていた。
 50%~70%の値上がりだ。
 その他の物価もあがっている。
 それなのに徳永エリ氏は「3000円~3500円のお米を容認しろ」と言う。

 これ、政治家としては最低。
 負担を一方に押しつけて「我慢しろ」というのなら政治家なんか要らない。
 農家・一般消費者、両方の問題を解決するのが政治家だ。

 具体的に言えば
『食品消費税をゼロ』
 にすること。
 英国、韓国などの海外では食品にかかる税がゼロなのは当たり前だ。
 なぜ日本でこれができない?

 やるべきことは明白なのに立憲民主党のほとんどの議員は──
「緊縮財政派」
「プライマリーバランス重視」
「財務省の言いなり」

 先日の共同通信の世論調査で、立民は国民民主党に支持率で抜かれたが、
 このままではどんどん落ちるだろう。
 なぜなら国民に寄り添っていないから。

 ということを書いていたら、
 立民の江田憲司さんが「食品消費税をゼロ」にする勉強会を立ち上げたというニュースが入って
 来た。
 来年の参議院選の公約に盛り込むべく行動するらしい。

 時計の針を戻すことはできないが、
 仮に立憲民主党の代表が野田佳彦氏でなく、江田憲司さんだったら今の状況は大きく違っていた。
「103万円の壁」でなく「食品消費税ゼロ」が話題の中心になっていて、世論も後押しして、おそらく実現していた。

 すべては野田佳彦を代表にした結果。
 立憲民主党には期待して、何度も裏切られて来たが、お願いだから変わってくれ。
 野田佳彦を中心にした立憲民主党にはうんざりだ。
 変われないのならこのまま衰退するぞ。

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「光る君へ」 最終回「物語の先に」

2024年12月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 道長(柄本佑)の死。
 道長の生きた意味とは──
「いくさのない太平の世を守られました」
「源氏の物語はあなた様なしでは生まれることはありませんでした」
 これだけで道長は救われたことだろう。
 何しろこれを大好きなまひろ(吉高由里子)に言われたのだから。

 そんな道長の人生に欠けていたものがある。
 まひろと共に歩む人生だ。
 しかし、これはかなわない。
 別の人生を歩まねばならない。
 だから、まひろは物語をつくる。
 貧しい家に生まれた三郎という少年の物語だ。
 三郎はそこで少女に出会う。
「続きはまた明日」
 道長の命を繋ぎとめるために、まひろは続きを明日にのばす。
 続きを知りたくて道長は生きようと思う。
 しかし……。
「生きることはもうよい」
 物語の力にも限界があった。
 物語は心を癒し、慰めることができるが、やはり「幻」でしかない。
「もうよい」と言われて、まひろは物語のラストを語る。
「川のほとりで出会った娘は名を名乗らず去っていきました」
「三郎が手を差し出すと、その鳥が手のひらに乗ってきたのです」
 つまり少女は「小鳥」だったのだ。
「小鳥」が意味する所は──「自由」そして「まひろ」。
 娘が名を名乗らずに去っていったのは、何ものにも囚われたくなかったからかもしれない。
 三郎の手のひらに止まったのは、三郎のことが好きだったからなのだろう。
 この作品で「小鳥」が象徴することはさまざまだ。

 そして「手のひら」。
 死の床にある道長はまひろに手を握られて、息を大きく吐き、安らぐ。
 手のひらの温もりは人に力を与える。
 命を繋ぎとめる力にもなる。
 それが愛するまひろなら尚更だ。

 しかし、倫子(黒木華)がやって来て道長の死を確認した時、誰も道長の手を握っていなかった。
 繋ぎとめる手がなくなって、道長は旅立っていった。
 人はひとりで死んでいくものだと思うが、孤独でさびしい死だ。
 死ぬ瞬間、道長は何を思ったのだろう?
 まひろのことか? この世のむなしさか?
 でも、もしかしたら道長は自分の手のひらの上に小鳥が止まるのを見たかもしれない。

 なかなかドライな死の描写だった。
 物語の限界を描き、死の孤独を描き……。
 それでいて、手のひらや小鳥のことなど感傷的な描写もあった。
 …………………………………………

 まひろは離れていても道長の死を確認できたようだ。

 夫・宣孝(佐々木蔵之介)の時のように人づてに「亡くなりました」では、本当かどうかわからず、
「幻を追いかけて狂ってしまう」と語っていたまひろ。
 しかし、道長は「まひろ」と語りかけてくれた。
 これで死を確認できた。
 
『めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな』

『百人一首』にもある、友にあてて歌ったとされる紫式部の歌で、
 賢子(南紗良)もそう言っていたが、視聴者には「道長」のことだとわかる。

 そして道長が亡くなって囚われるものがなくなったまひろ。
 自由になったまひろは旅に出た。
 そこで見たものは──
「道長様、嵐が来るわ……」
 太平の世の終わり、武家の時代の到来である。

 このラストについては賛否の分かれる所であろう。
 実にドライ過ぎる。
 もう少し感傷的で泣かせてほしい気もする。
「自由」「旅」もずっと内包していたテーマなんだろうけど、ここを掘り下げるか? と思った。
 ………………………………………

 個々の登場人物についても簡単に。

・頼通(渡邊圭祐)
  身内を登用。強権的に。
・道綱(上地雄輔)
  政とは「地位だな」
・源俊賢(本田大輔)
 「出世」できたのは明子のおかげだ。

 これでは世は乱れるよね……。
 道長の考えがまったく理解されていない……。
 道長が「世の中はまったく変わっていない」と嘆くのも当然。
 そんな中、

・隆家(流星涼)
「内裏の虚しい話し合いに出ずともよくなっただけで清々した」
 実に清々しい。

・公任(町田啓太)、斉信(金田哲)、行成(渡辺大知)
 道長との友情を貫き通した。
 特に道長と同日に亡くなった行成。

 女性たちは──

・倫子(黒木華)
「次の帝も、その次の帝も、わが家からお出ししましょう」
 道長と彰子をまひろに奪われた倫子にとって、
「家の隆盛」が彼女のアイデンティティだから仕方ないか。

・彰子(見上愛)
「他家を外戚としてはならぬ。わが家を凌ぐ家が出て来るやもしれぬ」
「皇統は一条帝の皇統のみになった」
 彰子も「家」を重視する考えになったようだ。
「一条帝の皇統」へのこだわりは一条天皇への思いゆえだろう。

・赤染衛門(凰稀かなめ)
『栄花物語』を書き上げた。作家としての自分の評価にこだわっている。
 倫子に「わたしの誇り」と言われたことで救われた。

・清少納言(ファーストサマーウィカ)
「一条の帝の心を揺り動かし、政も動かしました。
 まひろ様もわたしもたいしたことを成し遂げたと思いません?」
 清少納言らしい発言だ!

・いと(信川清順)
 最終的に、いとの心の中にいたのは惟規(高杉真宙)だった。

・賢子(南紗良)
「わたしは光る女君になります」
 恋多き女性に。
「上流だってすぐれた殿御はめったにおりませんことよ」
 このあたりは、さすがまひろの子。

 そして──
・乙丸(矢部太郎)
 まひろの永遠の同行者だった。
 それと、きぬ(蔵下穂波)は亡くなってしまったんですね。

 サブの登場人物にも「物語」がある。
 ひとりひとりを掘り下げてもドラマになりそうだ。

 平安時代を扱ったこと。
 物語が現実を動かしたこと。
 ひとりひとりの登場人物にドラマがあったこと。
 お見事な作品でした。
 一年間楽しませていただきありがとうございました。

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「ルックバック」②~おっさん、藤野と京本のあのシーンに号泣した!

2024年12月15日 | コミック・アニメ・特撮
 劇場用アニメ『ルックバック』の名シーンをご紹介。

 以下、一部ネタバレ。


 藤野(CV河合優実)と京本(CV吉田美月喜)──ふたりは漫画を描き続け、雑誌連載が決まる。
 京本は絵を描くことが好きな引きこもりだった。
 藤野と知り合うことでいっしょに漫画を描き、外の世界に出ることができた。
 そんな京本が「漫画をやめて美大に行きたい」と言い出す。
 藤野は漫画連載が決まったし、京本とずっといっしょに漫画を描いて行きたいから引き止める。
 以下はその時の会話。

「美大なんか行っても意味ないよ。美術系の就職先なんかほとんどないし」
「それは知ってるけど」
「知らない人といっぱい話すことになるんだよ」
「それはがんばるよ」
「わたしについて来ればさ、全部うまくいくんだよ」
「……わたし、藤野ちゃんに頼らないでひとりで生きていきたいの」
「そんなのつまんないよ!」
「つまんなくないよ!」
「ぜったいにつまんないし、ていうか、あんたがさ、ひとりで大学生活できるわけないじゃん」
「できるよ、できるようにする!」
「無理だよ。だってコンビニのレジの人とだって恥ずかしくて話せないじゃん」
「これから練習するもん」
「ぜったいに無理!」
「でも……」
「なに?」
「もっと絵うまくなりたいもん」

 …………………………………………………………

 このシーンだけで僕は号泣してしまうのである。
 引き止めたい藤野の気持ちもわかる。
 そこには、かなりエゴも入っている。
 藤野にとって、京本は漫画を描く原動力であり、いなくなる心細さもある。
 自立したい京本の気持ちもわかる。
 自我に目覚めた京本は今のままではダメだと思っている。
 というか、
「できるようにする!」「これから練習するもん」
 で泣ける。
 不器用でもがんばって生きていく人は素晴しい。

 ぶつかり合うふたりの思い。
 藤野はあきらかだけど、京本も本当は別れたくないんだよね。
 このシーンを見るだけでも『ルックバック』を見る価値があると思う。


※関連動画
「ルックバック」公開記念PV(YouTube)

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