漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0247

2020-07-03 19:12:02 | 古今和歌集

つきくさに ころもはすらむ あさぎりに ぬれてののちは うつろひぬとも

月草に 衣はすらむ 朝霧に ぬれてののちは うつろひぬとも

 

よみ人知らず

 

 あなたの衣をつゆくさでそめましょう。朝霧に濡れたあとは染めた色がうつろってしまうとしても。

 「月草」はつゆくさのこと。衣を薄藍色に染めるのに使われますが、その染めた色が褪せやすいことから、人の心が移ろいやすいことの例えとして歌に詠まれます。「あさぎりにぬれ」るとは、朝になって、一夜を共にした愛しい男性が帰って行ってしまうことの象徴。その男性の心変わりを心配する気持ちを詠んだ、女性の立場からの歌ですね。この歌は万葉集(巻第七 1351番)からの採録で、古今集では 0192 とこの歌の2例のみとなっています。