漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0258

2020-07-14 19:35:00 | 古今和歌集

あきのよの つゆをばつゆと おきながら かりのなみだや のべをそむらむ

秋の夜の 露をば露と おきながら 雁の涙や 野辺をそむらむ

 

壬生忠岑

 

 

 秋の夜露はそれはそれとして、そればかりではなく雁の涙もまた野辺の木々を染めているのだろう。

 ひとつ前の 0257 と同じく露が木々を紅葉させるということをベースとして、わずかな露(「ほんのつゆほどの露」、という言葉遊び)だけではこれほど見事に木々を色づかせることはできまい。露に加えて雁の涙もまた、木々を染めているのだろうという想像。