漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0265

2020-07-21 19:42:18 | 古今和歌集

たがための にしきなればか あきぎりの さほのやまべを たちかすくらむ

誰がための 錦なればか 秋霧の 佐保の山辺を 立ちかくすらむ

 

紀友則

 

 一体誰のための錦だと思って、秋霧は佐保山の山辺に立って紅葉を隠しているのだろうか。

 「さほのやま」は平城京の東に位置する丘陵。古来、桜の名所で、そのことから春を司る神が宿るとされ、女神である佐保姫信仰の地。西側で秋を司る竜田姫と対をなす神です。その桜の名所で秋の紅葉を詠んだ歌。梅を隠す闇、桜を隠す霞に対して、紅葉を隠す霧が歌われていますね。

 佐保山を題材とした歌がここから三首続きます。