漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0473

2021-02-14 19:47:57 | 古今和歌集

おとはやま おとにききつつ あふさかの せきのこなたに としをふるかな

音羽山 音に聞きつつ 逢坂の 関のこなたに 年を経るかな


在原元方

 

 逢坂の関のこちら側にいて噂を聞くばかりで、実際に逢うことができないまま年月が過ぎていくことだ。

 「音羽山」は同音の「音」を導くための語句ですが、同時に逢坂関のこちらがわ(=京都側)に自分がいることを暗示もしています。関所を隔てたところにいる愛しい人に、いみじくも「逢ふ坂」の名を持つ関所をうらめしく思いつつ心を寄せる詠歌ですね。