かたいとを こなたかなたに よりかけて あはずはなにを たまのをにせむ
片糸を こなたかなたに よりかけて あはずは何を 玉の緒にせむ
よみ人知らず
こちらとあちらの片糸を縒り合わせなければ糸が作れずに玉を繋ぐことができないように、私も愛しいあの人と会うことができないならば、一体何によって命を繋ぎとめることができようか。
「片糸」は、より合わせて糸にする前の細い糸のこと。会うことが叶わなければ、他には命を繋ぐよすがすら見つけられないとまで思いつめる恋を歌っています。
この歌から巻第十一「恋歌一」最後の 0551 まで、よみ人知らずの歌が69首続きます。