古今和歌集 0478 2021-02-19 19:40:00 | 古今和歌集 かすがのの ゆきまをわけて おひいでくる くさのはつかに みえしきみはも 春日野の 雪間をわけて 生ひ出でくる 草のはつかに 見えし君はも 壬生忠岑 春日野の雪の間を分けて萌え出て来る若草がかすかに姿を現すように、わずかに姿の見えたあなたであったよ。 「はつかに」は漢字では「僅かに」で、「かすか」「ほんのわずか」の意。第五句の「見えし」までは雪間に伸びて来る若草の歌かと思いきや、最後の三文字(「君はも」)だけで一転して恋歌となります。表現の妙ですね。 ^^