よしのがは いはなみたかく ゆくみづの はやくぞひとを おもひそめてし
吉野川 岩波高く 行く水の はやくぞ人を 思ひそめてし
紀貫之
吉野川の、岩波高くはやく激しく流れる水のように、私もずっと以前からあの人に激しい恋心を抱いてしまったのだ。
「はやい」は、速度が速い、時間が早い(=ずっと前から)という意味に加えて、激しい、強いという意味もあり、この歌も愛しい人への思いを「早い段階から(=ずっと以前から)」と捉えるか、「激しい思い」と捉えるかで解釈が分かれるようです。ですが、ここではあまりどちらかに寄せずに、両方の意味を含むものとして解釈してみました。