漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 536

2024-10-03 06:12:51 | 貫之集

よのなかは かくこそありけれ ふくかぜの めにみぬひとも こひしかりけり

世の中は かくこそありけれ 吹く風の 目に見ぬ人も 恋ひしかりけり

 

世の中とはこのようなものだ。吹く風が音には聞こえても目に見えないように、噂を聞くだけで逢ったことはない人が恋しく思われることよ。

 

 初句「世の中」には「男女の仲」という意味もあるので、そう訳した方がしっくりくるかもしれませんね。
 この歌は 古今和歌集(巻第七「恋歌一」 第475番)にも入集しています。