かぜふけば みねにわかるる しらくもの たえてつれなき ひとのこころか
風吹けば 峰に別るる 白雲の たえてつれなき 人の心か
風が吹くと峰から離れていく白雲のように、すっかり私から離れてしまったつれないあなたの心よ。
この歌は、貫之ではなく壬生 忠岑(みぶ の ただみね)の歌で、古今和歌集(巻第十二「恋歌二」 第601番)に入集しており、また新古今和歌集を代表する名歌とされる定家の歌の元となった(本歌取り)ことでも良く知られています。
はるのよの ゆめのうきはし とだえして みねにわかるる よこぐものそら
春の夜の 夢の浮橋 とだえして 峰に別るる 横雲の空
藤原定家
(新古今和歌集 巻第一「春歌上」 第38番)
忠岑の歌がなぜ貫之集に収録されているのかは不明です。