漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 547

2024-10-14 04:56:16 | 貫之集

かぜふけば みねにわかるる しらくもの たえてつれなき ひとのこころか

風吹けば 峰に別るる 白雲の たえてつれなき 人の心か

 

風が吹くと峰から離れていく白雲のように、すっかり私から離れてしまったつれないあなたの心よ。

 

 この歌は、貫之ではなく壬生 忠岑(みぶ の ただみね)の歌で、古今和歌集(巻第十二「恋歌二」 第601番)に入集しており、また新古今和歌集を代表する名歌とされる定家の歌の元となった(本歌取り)ことでも良く知られています。

 

はるのよの ゆめのうきはし とだえして みねにわかるる よこぐものそら

春の夜の 夢の浮橋 とだえして 峰に別るる 横雲の空

 

藤原定家

(新古今和歌集 巻第一「春歌上」 第38番)

 

 忠岑の歌がなぜ貫之集に収録されているのかは不明です。