よしのがは いはなみたかく ゆくみづの はやくぞひとを おもひそめてし
吉野川 岩波高く 行く水の はやくぞ人を 思ひそめてし
吉野川の、岩波高くはやく激しく流れる水のように、私もずっと以前からあの人に激しい恋心を抱いてしまったのだ。
初句~第三句が次の「はやく」を導く序詞になっています。また古語の「はやし」には「激しい」「強い」という意味もあり、詠み手の恋情の強さ、激しさを吉野川の岩波に準えての詠歌でしょう。
この歌は、古今和歌集(巻第十一「恋歌一」 第471番)にも入集しています。