漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 550

2024-10-17 05:04:48 | 貫之集

しらたまと みえしなみだも としふれば からくれなゐに なりぬべらなり

白玉と 見えし涙も 年ふれば 唐紅に なりぬべらなり

 

白玉のように見えた涙も、年月を経て恋の悲しみを重ねると、唐紅の血の涙となってしまいそうだ。

 

 藤原行成(ふじわら の ゆきなり)筆と伝えられる古筆切には、「年ごろ、文つかはす人の、つれなくのみあるに」との詞書が付されているそうです。
 この歌は、古今和歌集(巻第十二「恋歌二」 第599番)に入集しており、そちらでは第五句が「うつろひにけり」とされています。