ももはがき はねかくしぎも わがごとく あしたわびしき かずはまさらじ
百羽掻き 羽掻く鴫も わがごとく 朝わびしき 数はまさらじ
何度も何度も羽ばたきをする鴫のその羽ばたきの数も、一人寂しく明けた朝の私のわびしさには勝ることはないであろう。
類歌が 260 にも見え、また両歌は古今集 0761 のよみ人知らずの歌を踏まえています。上記は、「数がまさらない」のは読み手のわびしさの数のことと解釈しましたが、もととなった古今集歌を踏まえ、これを「眠れぬ夜に打った寝返りの数」ととらえる説もあるようです。
なお、この歌は拾遺和歌集(巻第十二「恋二」 第724番)に入集しています。
てるつきを ひるかとみれば あかつきに はねかくしぎも あらじとぞおもふ
照る月を 昼かと見れば 暁に 羽掻く鴫も あらじとぞ思ふ
(貫之集 260)
あかつきの しぎのはねがき ももはがき きみがこぬよは われぞかずかく
暁の 鴫の羽がき 百羽がき 君が来ぬ夜は われぞ数かく
(古今和歌集 0761)