なみだがは おつるみなかみ はやければ せきぞかねつる そでのしがらみ
涙川 落つる水上 はやければ せきぞかねつる 袖のしがらみ
水の流れが速いとしがらみで堰き止めることができないように、私の涙の川が流れ落ちるのが速いので、袖のしがらみでは止められない。
「涙で袖を濡らす」は古典和歌の頻出表現ですが、袖を濡らすだけではとどまらない深い悲しみを比喩的に詠んだ歌ですね。
この歌は、拾遺和歌集(巻第十四「恋四」 第876番)に入集しています。貫之集第五「恋」は、勅撰集に入集している歌がとても多いですね。