いつとてか わがこひざらむ ちはやぶる あさまのやまの けぶりたゆとも
いつとてか わが恋ひざらむ ちはやぶる 浅間の山の 煙たゆとも
いつになったら、あの人を恋しいと思わなくなるだろうか。浅間の山の煙が絶えることがあっても、そんな時が来るはずがない。
「ちはやぶる」は通常は「神」に掛かりますが、ここでは「浅間山」の枕詞。浅間山に宿る神威を表現しているのでしょう。
この歌は拾遺和歌集(巻第十一「恋一」 第656番)、続古今和歌集(巻第十二「恋二」 第1076番)に入集していますが、前者ではよみ人知らずの歌とされ、またそれぞれ若干語句に相違があります。単なる偶然ですが、貫之集と拾遺和歌集は歌番号まで一緒ですね。
拾遺和歌集
いつとてか わがこひやまむ ちはやぶる あさまのたけの けぶりたゆとも
続古今和歌集
いつとてか わがこひざらむ しなのなる あさまのやまの けぶりたゆとも