つまこふる しかぞなくなる をみなへし おのがすむのの はなとしらずや
妻こふる 鹿ぞ鳴くなる 女郎花 おのがすむ野の 花と知らずや
凡河内躬恒
妻を恋い慕って鹿が鳴いている。自分が住んでいる野に女郎花が咲いているのを知らないのだろうか。
妻を探し求めなくても、そこに咲いている女郎花がその名の通り「女」であるのになぁ、という戯れ。古来、「花妻」という言葉があり、ここで言う「妻」とは、鹿と夫婦になると言われる萩のことでしょう。お前はいつも萩の花を愛でるけれども、良く見てごらん、そこに「女」郎花が咲いているじゃないか、というわけですね。 ^^