ひとのみる ことやくるしき をみなへし あきつゆにのみ たちかくるらむ
人の見る ことやくるしき 女郎花 秋露にのみ 立ち隠るらむ
壬生忠岑
人に見られるのが辛いのか、女郎花よ。だから秋露に隠れてばかりいるのだろうか。
「立ち」は「隠る」についた接頭語で「立ち隠る」で一つの単語(動詞)ですが、同時に「露」の縁語ともなっています。「縁語」とは、手元の文献(文英堂『原色 小倉百人一首』)の解説によれば「意味的に関連の深い語群を、意識的に詠みこむことで、言葉の連想力を呼び起こし、複雑なイメージを作り出す表現技法」。ただ、掛詞や序詞に比べると技法としては分かりにくいですね。私がまだ不勉強なのだと思いますが、正直、「後付け」の理屈のように感じることも多いです。(苦笑)