みやまより おちくるみづの いろみてぞ あきはかぎりと おもひしりぬる
み山より 落ち来る水の 色見てぞ 秋は限りと 思ひ知りぬる
藤原興風
深山から落ちて来る水の色を見て、秋はもう終わりと思い知ったことだ。
詞書には「寛平御時、古き歌奉れと仰せられければ、竜田川もみぢ葉流る、といふ歌をかきて、その同じ心をよめりける」とあります。ここで言う「竜田川もみぢ葉流という古い歌」は、0284 採録のこの歌です。仰せに従ってこの歌を献上し、それ同時に「自分ならこう詠みます」と同じ気持ちを詠んだ歌を詠進したのですね。
たつたがは もみぢばながる かむなびの みむろのやまに しぐれふるらし
竜田川 もみぢ葉流る 神奈備の 三室の山に 時雨降るらし
よみ人知らず