おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき
奥山に もみぢふみわけ 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき
よみ人知らず
奥山に紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声をきくときこそ、秋は悲しいものだ。
百人一首に収録された歌の中でもとりわけ良く知られた歌ですね。ただ、百人一首では猿丸太夫作とされていますが、古今集では上記の通りよみ人知らず。まあ猿丸太夫自体、三十六歌仙に名を連ねてはいますが本当のところ何者なのかわかっておらず、そればかりか、その実在を疑う説もありますから、よみ人知らずとされていてもさして不思議はないのかもしれません。