人の家の垣根の卯の花
けふもまた のちもわすれじ しろたへの うのはなさける やどとみつれば
今日もまた のちも忘れじ 白妙の 卯の花咲ける 宿と見つれば
人の家の垣根の卯の花
今日も、そしてこれからも忘れまい。真っ白な卯の花の咲いた家をあなたの家と見定めたならば。
詞書が単に「垣根の卯の花」でなく「人の家の垣根の卯の花」とされているところに深い意味があり、通りがかりに垣根に咲く卯の花をたまたま見たということではなく、特定の人、つまりは想いを寄せる異性の家の垣根に真っ白に咲く卯の花を見たという設定の歌です。もちろん屏風絵には「特定の人」が登場しているわけではなく、垣根の卯の花が描かれた構図からの歌人の創作でしょう。