こひしとは たがなづけけむ ことならむ しぬとぞただに いふべかりける
恋しとは たが名づけけむ 言ならむ 死ぬとぞただに 言ふべかりける
清原深養父
「恋しい」とは、一体誰が名づけた言葉なのだろうか。単に「死ぬ」と言うべきであったのだ。
恋することの苦しみを、死にも匹敵すると詠んだ歌。「恋し」を「恋しい」ではなく「恋死」と考えた方がより明解であるかもしれません。0603、0613 に続いて恋死をテーマとした深養父の詠歌です。
こひしなば たがなはたたじ よのなかの つねなきものと いひはなすとも
恋ひ死なば たが名は立たじ 世の中の 常なきものと 言ひはなすとも
いまははや こひしなましを あひみむと たのめしことぞ いのちなりける
今ははや 恋ひ死なましを あひ見むと たのめしことぞ 命なりける