こころをぞ わりなきものと おもひぬる みるものからや こひしかるべき
心をぞ わりなきものと 思ひぬる 見るものからや 恋ひしかるべき
清原深養父
心というものは理屈では割り切れないものだと思った。逢っているにもかかわらず、それでも恋しいと思うのだから。
「わりなし」は意味の広い語ですが、ここでは「道理に合わない」意。第四句、第五句は反語表現になっていますので、字義通り訳せば「逢っているのに恋しいなどということがあって良いものだろうか」くらいになるでしょうか。逢瀬が叶っているのにそれでもなお恋しいと思う恋心を、「道理に合わないもの」と捉えたのがこの歌の面白みですね。