このところちょっと聴き込んでいるヴィヴァルディの「調和の霊感」。
先日そのフルスコア(総譜)を買って、これまで聴こえていなかった音が聴こえてきたり、少しずつ色々な発見があって、日々楽しんでいます。
楽譜を見ながら改めて聴き直してみると、これまで感覚的に「いいなぁ」と思っていたところが何故そう思えるのか、だんだんと見えてくるような気がします。
例えば、12曲からなるこの曲集の第1番(ニ長調)。その第1曲の出だしのところですが、4本のソロ(独奏)ヴァイオリンでのフレーズの受け渡しに続いて、独奏の第1ヴァイオリンがこんな風に弾く箇所があります。
ここはわずか3小節半ですが、大きく分けると3つの部分(下の楽譜の色分け)に分かれています。
さらにこの1番最初の緑の部分は、音型から言うと3つの塊からなっています。楽譜の上に□のマークを入れているのがそれです。そしてこの3つの□で始まる音型を見て頂くと、左から1音ずつ上がっているのが分かると思います(レ→ミ→ファ#)。
この部分を実際に聴いてみると、何と言うかとても vivid な、わくわくするような音の進みが感じられると思います。
次のオレンジとピンクの部分も、前に前に、そして上に上に進む音型という意味では緑の部分と同じです。ただ1点だけ違うのは、音の塊が始まる□の音が(緑の部分が全音ずつだったのに対し)半音ずつ上がっている点です。これによって単に前進する感じだけでなく、途中からさらに捩るような美しさが出ている気がします。
実際の演奏で聴いてみて下さい。冒頭から1分16秒辺りです。
上記の例もそうですが、ヴィヴァルディの楽譜は見た目も非常に美しく、そこここに散りばめられたこうした工夫がとてもよく分かります。厳密に言うと、上記の音型でも単純に最初の音だけを変えているのではなく、その音型の終わり方(8個でひと塊の音符の、7個目と8個目)にもひと工夫されているのですが、こういう細かい工夫が聴く人に(それと知らずに)とても生き生きとした印象を与えるのだと思います。
まだまだ気付かない工夫がいくらでもありそうですし、当分はこのスコア、楽しめそうです
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