上野の国立西洋美術館で開かれている「ナポリ・宮廷と美-カポディモンテ美術館展」に行ってきました。
「カポディモンテ」とは「山の上」という意味らしく、ナポリの丘の上に建つこの美術館は、当地の貴族が代々収集してきた美術品を展示するために建てられたものだとか。纏まった形で日本で紹介されるのは初めてだそうです。
例によって金曜日の夜に行きましたが、先日の六本木(オルセー)に比べると不思議なくらいに人出が少なく、それは本当に幸せな時間。周りの人に急かされることもなく、不用意に視線を遮られることもなく、終始自分のペースで絵を観てまわることが出来ました。
何だかとても久しぶりに絵画を体いっぱいで「呼吸」した感じ。挙げればきりがありませんが、特に忘れ難い作品を3点。
(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「マグダラのマリア」1567年)
題目は「マグダラのマリアの悔悛」。こういう絵を観ると、自分にキリスト教の知識や素養がないことを恨むしかないのですが、それでも人間に共通する悲しみや悔やみといった感情は、洋の東西を問わず、いつの時代も普遍的なものであるはず、と思います。マリアの目から落ちる涙の、何と瑞々しいこと。
お次はこのティツィアーノに師事し、後にスペインで活躍したギリシャ人。
(エル・グレコ「燃え木でロウソクを灯す少年」1570-72年)
1570年と言えば、後に陰影に富んだ傑作を次々と物すことになるバロックの巨匠、カラヴァッジョが生まれた頃です。日本でエル・グレコを観れる機会は本当に少ないですが、昨年のハプスブルク展での「受胎告知」、それからこの国立西洋美術館にある「十字架のキリスト」(これが上野の常設展でいつでも観られるのは本当に幸せです)と観てくると、エル・グレコというのは本当に「古くて新しい」、そう思います。
ラストはこちら。
(ルカ・ジョルダーノ「給仕の少年を助けるバーリの聖ニコラウス」1655年)
ナポリ生まれのこの画家がまだ20代の頃の作品。人物をたくさん配した複雑な画面構成にも関わらず、天空から降りてくる聖ニコラウスを頂点とする三角形の構図によって、絵にどっしりとした安定感が備わっています。ルカ・ジョルダーノは、昨年のハプスブルク展で観た「物乞い」という作品が強烈に印象に残っていますが、この作品はどこか観る者をふっと微笑ませるような、安らかな啓示に満ちているような気がします。本当にいつまでも観ていたくなる作品でした。
既に会期は中盤ではありますが、印象派に比べると地味なジャンル(?とは決して私は思いませんが)だからでしょうか、会場は非常に空いていました。いつものことながら、チケットの半券で松方コレクションを中心とする常設展も観れますし、お近くの方は是非。
ナポリ・宮廷と美-カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで
国立西洋美術館
2010年6月26日~9月26日
(巡回)
京都府京都文化博物館
2010年10月9日~12月5日
サックスのカルテットとか、トロンボーンのトリオとか、
なかなか楽しそうなプログラムが並んでいますね。
情報ありがとうございます。
これからはしっかりチェックします
開場は17:45 ロビーですので覗いてから行かれるのもいいかも
(株)インターネットイニシアライブのホームページに載っています(^-^)ノ~~
大手町の三井住友銀行は、会社から歩いてすぐですが、
あいにく今週(金)は渋谷のBunkamuraにブリューゲルを観に行く予定です。
ずっと行きたいと思っていたのに、もたもたしてたら
今週末で会期が終わりなので・・・
トワイライトコンサート、ネットで検索しても日程やプログラムが出てこないのですが、
次回チャンスがあれば、是非行ってみたいですね。
魚花さんは東京にお勤めでしょうか?27(金)トワイライトコンサートが大手町三井住友銀行であるそうです なんと無料!
ギタリストの鈴木大介さんのブログで見たのですが…
涼しくなること請け合いです いや 熱くなるかも
主婦にはちょっと遠いですがお勤め帰りの方の為のコンサートのようです
お薦めです(^-^)ノ~~
夜の窓の、リンゴを薄くVの字に切って積み上げたチョコパフェとか、
周りとは隔絶された中庭とか、今でもあるんですかね?懐かしいなぁ・・・
築地は確か2軒ありましたよね。
カミさんと初めて一緒に行った喫茶店が「築地館」でしたし、
「築地」の方は確か東京からT君が来た時に、I氏と3人で行きました。
3人揃って喫茶店に行ったのは、高校時代にこっそり「凡」に行ったことを除けば、
この時だけだと思います。
カポ美の後どこに行かれたか、後で教えて下さいね。
夜の窓か築地かフランソワでした。
六曜社もありですネ。
イノダは甘すぎでパス。
文泉
企画展を観た後に常設展にまわろうとしても、いつも
20時ぎりぎりに駆け足で眺めることしか出来ません。
まぁ、いつでも行けるという気楽さがあるからですが、
それにしても贅沢な話ですよね。
カポ美は、わざわざこのためだけに京都にまで行かれる
価値があると思います。私ならその足でイノダコーヒか、
ちょっと歩いて六曜社まで行くだろうなぁ・・・
国美は松方コレクションが中心に展開した
ことを忘れていました。
松コレは東京でなく、神戸、少なくとも関西に
といまだに考えている私にとって、イイナーと
声が出てしまいました。
カポ美は巡回を楽しみにしています。
文泉