Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

セルジュ・デラート・トリオ/COMME BACH

2011年03月18日 | 音楽

随分以前のことになりますが、友人のバーテンダーさんから頂いたサントリーのPR誌を読んでいる時に、そのなかで紹介されていて気になっていたもの。

私が自分で買った生涯2枚目のジャズのCDです。

収録されている曲のタイトルはまずこちらを見て頂くとして、アルバム名の "Comme" は恐らくフランス語、あえて日本語に訳せば「バッハのように」とでも言うのでしょうか。

全10曲全てがまずバッハの有名な旋律から始まります。それはピアノだったりチェンバロだったり。それが次第に展開し、連想に連想が続き、いつの間にか例えばデューク・エリントンの楽曲になっていきます。

それは取ってつけたような強引な展開ではなく、自由な連想が次なる連想を生んだ、極めて自然かつ心地よいもの。しかもそのピアノはあくまでも軽快で、聴いている者を縛り付けるような、内省的なものではありません。

しかしその背後には、計算され尽くした展開の骨格が、間違いなく1本通っています。それを表に感じさせない、自由さ、流麗さ、潔さ。

ピアノ、ベース、そしてドラム。3人しか居ないのに、この音の広がり、透明感、充実感。

心が浮き立つというよりは、心が洗われる感じ。妙に深刻すぎるところもなく、文句なしに楽しめます。

   

私が特に好きなのが第9曲。誰でも知っているバッハのオルガン曲「トッカータとフーガ ニ短調」の出だしから始まって、ピアノが徐々に展開し、いつの間にかチック・コリアになってしまう。ピアノ好きとしては嬉しいことこの上なし。

このCDとは長く付き合えそうです。

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