随分以前のことになりますが、友人のバーテンダーさんから頂いたサントリーのPR誌を読んでいる時に、そのなかで紹介されていて気になっていたもの。
私が自分で買った生涯2枚目のジャズのCDです。
収録されている曲のタイトルはまずこちらを見て頂くとして、アルバム名の "Comme" は恐らくフランス語、あえて日本語に訳せば「バッハのように」とでも言うのでしょうか。
全10曲全てがまずバッハの有名な旋律から始まります。それはピアノだったりチェンバロだったり。それが次第に展開し、連想に連想が続き、いつの間にか例えばデューク・エリントンの楽曲になっていきます。
それは取ってつけたような強引な展開ではなく、自由な連想が次なる連想を生んだ、極めて自然かつ心地よいもの。しかもそのピアノはあくまでも軽快で、聴いている者を縛り付けるような、内省的なものではありません。
しかしその背後には、計算され尽くした展開の骨格が、間違いなく1本通っています。それを表に感じさせない、自由さ、流麗さ、潔さ。
ピアノ、ベース、そしてドラム。3人しか居ないのに、この音の広がり、透明感、充実感。
心が浮き立つというよりは、心が洗われる感じ。妙に深刻すぎるところもなく、文句なしに楽しめます。
私が特に好きなのが第9曲。誰でも知っているバッハのオルガン曲「トッカータとフーガ ニ短調」の出だしから始まって、ピアノが徐々に展開し、いつの間にかチック・コリアになってしまう。ピアノ好きとしては嬉しいことこの上なし。
このCDとは長く付き合えそうです。
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