ジェームズ・ヒルトンの Was It Murder?(1932年)読了(邦題『学校の殺人』)。
オックスフォードを卒業後、文筆で名をあげたいと思いつつまだ芽が出ない28歳の青年コリン・レヴェル君。ある日、母校の校長からの依頼で久しぶりに母校を訪ねると、生徒の1人が不可解な事故で亡くなったことを知る。
そして、折しもその兄弟がまた謎の死を遂げる。水が抜かれたプールに転落したかに見えたが、果たしてその頭から一発の銃弾が見つかる。さらには教師の1人が毒を呷って死ぬ。二度あることは三度あると言うが、事故か自殺か、それとも他殺か・・・
私はこれまで読む機会がなかったのだが『チップス先生、さようなら』の著者と言えばお分かりだろうか。そのヒルトンが唯一残した長編ミステリー。
パブリックスクールという限られた空間で、それぞれの言動を丁寧に織りあげて描写される登場人物。真犯人が絞り込まれたと思わせておいて、最後の最後にとんでもない真相が明らかになる。その絶妙なプロットとスピード感は一級品。まだまだ奥が深いぞ、ミステリー小説。
James Hilton,
Was It Murder?
(Kindle)
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