既に会期が終わってしまった美術展のアップも、これが最後です。
初台にある東京オペラシティアートギャラリーで開かれていた「アントワープ王立美術館コレクション展 アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂」に行って来ました。(会期は既に終了しています。)
ベルギーの近代絵画については昨年、損保ジャパンで開かれた美術展で、決して他国の亜流や模倣ではない、しっかりとした独自性を感じたのですが、今回もなかなか見応えのある絵が並んでいました。
例によって印象に残った作品を4点ほど。
(ジャン・バティスト・デ・グレーフ「公園にいるストローブ嬢」1884-86年)
写真にしてしまうと少し平坦に見えますが、実物はまるで現代の3D映像を見るような、画面中央の女の子が飛び出して来そうな迫力。一体どうしてこんな風に感じてしまうのだろうと、この絵の前で随分長いこと頭を捻りましたが、観れば観るほど、女の子とその後ろの羊が相前後して手前に飛び出して来るように見えて仕方ありません。手間の物は大きく、遠いものは小さく描くのが遠近法と頭で分かってはいても、この絵を観ていると、どこか何だか不思議な気がしてなりませんでした。
(レオン・スピリアールト「海辺の女」1909年)
(レオン・スピリアールト「自画像」1908年)
この画家の名前は今回初めて聞いたのですが、同じ壁一面に4点並んでいるのを観ていると、文字通り身震いを感じました。それほど鬼気迫る、というか、何だか得体の知れない恐怖や不安を感じさせる作品でした。絵とは画家やモデルの内面を徹底的に丸裸にするものだと、改めて思います。
(ルネ・マグリット「9月16日」1956年)
正直に言いますが、私はマグリットの作品がどういいのか、全く分かりません。それでも作品の前に立つと見入ってしまうのは何故なのでしょうか?絵とは、目に見えるものを写すのではなく、観るものに頭を使わせること・・・?等々と、ついつい考えてしまううちに時間が経ってしまします。
この展示、どうやら東京が最後だったようです。ベルギーという国の、地理的にも歴史的にも列強に囲まれた、それゆえの文化的な独自性を身近に感じることが出来た、いい展示でした。
(おまけ)
これまでオペラシティはコンサートホールにしか行ったことがなかったのですが、地下鉄から1階に上がると、中庭(というか吹き抜け?)のようになったところに、こんなオブジェが立っています。よく聴いてみると、何だかブツブツ言っているようですが、何でっしゃろ、これ?
アントワープ王立美術館コレクション展
アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂
2010年7月28日~10月3日
東京オペラシティアートギャラリー
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