
バッハ/ヴァイオリン・ソナタの新しいCDです。
先日のツィンマーマンは現代楽器の演奏でしたが、こちらは古楽器による演奏です。少し古い録音(1973年)ですが、いずれも今や古楽器の世界では押しも押されぬ重鎮二人ががっぷり四つに組んだ、とびきりの名演です。
このCDを聴いていると、先日のツィンマーマンを聴いた時に感じた「二人でトリオ・ソナタ」という感覚が正しかったのだと改めて思います。(因みに、全くの偶然ですが、まさにその通りのことが、このCDのライナーノートに書かれてあります。)
録音も、それぞれの楽器に非常に近いところで音を拾っているのでしょう、ボリュームを上げなくてもとても近くで聞こえてきます。私は普段、家人のiPodに入れてリビングのBose(SoundDock)で聴いていますが、遠くで聴いていても音の立ち上がりが早く、音のつぶつぶ感がダイレクトに伝わってきます。
特筆すべきはその音のバランス。ヴァイオリンとチェンバロが、全く同じ高さと近さ、同じ音量で聴こえ、それで以って「二人でトリオ・ソナタ」が完成しています。これを聴くと、何年も前に買って唯一持っていたシュナイダーハン/リヒター盤が今更ながらちょっとアンバランスに感じてしまいます。
これで、現代楽器ならツィンマーマン、古楽器ならこのクイケン盤と、いずれも納得のいく演奏が手元に揃いました。当分これでバッハのヴァイオリン・ソナタは他の物に手を出さずに済みそうです。じっくり聴き込んでみたいと思います。
因みに、夜リビングでこれをかけていると、ほぼ100%の確率で家人はソファの上で寝てしまいます。眠気を催すような物は尊いものだ云々と言ったのは、確か漱石の「虞美人草」に出てくる宗近君でしたが、その意味ではこのCDも合格でしょうかねぇ

シギスヴァルト・クイケン(vn)
グスタフ・レオンハルト(cemb)
バッハ/ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ集(全曲)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます