長い間大事に仕舞ってあって、まだ封を切っていないボトルがあります。
あるバーが毎年その店の周年記念ボトルを出しているのですが、ここにあるのはその5周年記念ボトル。スコットランド中西部にあるマル島というところにある蒸留所のシングルモルトで、レダイグ、またの名前をトバモリーと言います。カスクストレングス(蒸留したあと加水をしていないタイプ)で、アルコール度数は60.9度あります。
写真には写っていませんが、このボトルのネックのところには小さなラベルが貼ってあって、そこには手書きで私の苗字が書いてあります。その店は、オーセンティックなバーにしては珍しく、この周年記念ボトルに限ってはボトルキープが出来るようになっています。
私がこのボトルをキープしたのが確か2002年。しかしちょうどその前後、私は体調を崩し、その後数年間お酒を飲むことが出来ませんでした。そのことを店主に報告することもなく、このボトルは入れっぱなしになっていたのですが、そのことがずっと気になっていました。
数年後、少し体調が回復した時、意を決してこの店を再訪すると、店主は私の顔を覚えてくれていたばかりか、「どうしたのかなぁと心配してたんですよ」と気遣ってくれました。私はことの経緯を話し、最近また少しずつバーに行く余裕と体力が出来てきたことを伝えました。
すると店主は、カウンターの向こう側から出てきて、バックバーとは別にボトルを並べてある窓側の棚をごそごそやりだしました。そして取り出したのがこのボトル。私はもうとっくに処分されてしまったと思っていたのですが、大切に取っておいてくれたのでした。
有難いと思うと同時にとても嬉しく、それでもその場では封を切るのが勿体ない気がしたことと、さすがにまだカスクをそのままで飲む自信はなかったので、この先いつか本当に大切な時が来たら封を切ることに決めて、大事に頂いて帰りました。その時の店主の言葉。
「○○さん、うちはお酒だけじゃなくてジュースもあるんだから、またいつでも寄ってくれたらいいんですよ。」
人から言われて嬉しかった言葉というのは忘れられないものですが、この時の店主の言葉は今もしっかり耳の奥に残っています。この言葉があって以来、私は気負うことなくバーに立ち寄り、時にはジュース、それもただのジュースではなく、バーテンダーさんが気持ちを込めて下ごしらえをしたフレッシュジュースを楽しめるようになりました。
あれから何年経ったでしょうか、計算すると今年は確か12周年くらいだと思いますが、今度大切な友人と行くことがあったら、改めてまた周年記念ボトルをキープしてみたいなぁと思っています。
因みに先ほどの店主の言葉、全く同じことを同じ時期、別のバーテンダーさんからも言われたことがあります。そのお店の紹介は、また次回。
Shot Bar もるとや
豊島区東池袋1-8-6
第2佐々木ビル1階
03-5952-9277
それが“Bar”ってのがカッコイイんだよなぁ
60.9度ですかぁ…。
熱燗にしてはチト熱過ぎですよ(爆)。
お酒だけではなく、店主のお酒に対する姿勢も
勉強させてもらったような気がします。
言わば学校のようなものですね。
次回は是非ご一緒しましょう
銀座線から東西線に乗り換えて社宅に到着するまで、ウイスキーの芳醇なコクと香りが口の中で立ち上っては消える感覚を楽しみながら、電車の揺れに身を任せていました。
途中、意識がホワイトアウトしてしまい、2回ほど途中下車。本当の最終で帰りました。
銀座デビュー、おめでとうございます
シングルモルトのカスクに、チェイサーはエビスの小瓶だったりしましたか?(笑)
なかなかやりますねぇ。また旨いんだな、これが・・・。
私なんぞ最近は軟弱になって、そんな無茶はもう出来なくなりました。
乗り過ごさなくて良かったですね