Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

E. C. ベントリー/Trent Intervenes

2018年08月11日 | 

E. C. ベントリーの Trent Intervenes(1938年)読了(邦題『トレント乗り出す』)。

ベントリーのトレント物を出版年順に読んできたが、この短編集は第一作の『トレント最後の事件』よりも前の設定。

通りがかりの旅行者がまんまと騙されるトリックを暴いた『ほんものの陣羽織』、晩御飯時になると様子が変になる女性の秘密を解き明かした『利口なオウム』、瞬き一瞬、白昼堂々の殺人を見破った『トレントと行儀の悪い犬』等、どれもトレント君の推理が冴えわたる逸品揃いなのだが、私が一番ぐっと来たのは短編集の最後を飾る『ありふれたヘアピン』。殺人や強盗ではなく、叙情溢れる極上のミステリー。

以上の12編に、これまで未収録だった『救いの天使』を加えて全13編。特にラスト数編は、まさに巻を措く能わず。錫杯の冷たさに酔いながら、ベントリーを堪能した夜。



E. C. Bentley,
Trent Intervene
(Kindle)

コメント    この記事についてブログを書く
« オランダ家/落花生最中とダ... | トップ | 革細工#63 ペンケース(... »

コメントを投稿