丸の内の三菱一号館美術館の企画展「カンディンスキーと青騎士」が始まっています。
カンディンスキーと言えば抽象画と思い込んでいましたが、今回の展示を観てカンディンスキーの抽象画が一朝一夕に発生したものではないということがよく理解出来ました。
今回出品されているカンディンスキーの作品は1901年から1913年に描かれたもの。しかしそのわずかの間に文字通り変幻自在にスタイルを変えていくカンディンスキーの作品は、圧倒的な凝縮度。描かれる物体が形(フォルム)を失って、最後は色彩のパネルのような、まるで色彩だけが光っているような、そんな画面になっていきます。
カンディンスキーが初めて抽象画を描いたのは1910年と言われていますが、その2年後の1912年に彼は盟友フランツ・マルクと『青騎士』という年刊誌を創刊します。(その復刻本の日本語訳が会場で売られていて、あまりの出来に速攻で買ってきたのですが、その内容についてはまた日を改めて書きたいと思っています。)
(ヴァシリー・カンディンスキー、フランツ・マルク編『青騎士』年鑑の表紙、1912年 ピーパー社、ミュンヘン(1976年複製)レンバッハハウス美術館蔵)
しかし折しも第一次世界大戦が勃発し、メンバーは離散を余儀なくされることに。『青騎士』も結局、創刊号のみが出版されただけでした。
学術的なことは分かりませんが、今回この『青騎士』創刊前後の10数年間のカンディンスキーやその恋人ミュンター、前述のマルクやヤウレンスキーの作品を観ていると、彼らの新しいものへの情熱が時を越えて伝わってくるような気がしました。それは決して刹那的なあだ花ではなく、後に続く若い画家たちを導く星のような存在だったのではないでしょうか。
素人の戯言が過ぎました。
(ヴァシリー・カンディンスキー「印象3(コンサート)」1911年、レンバッハハウス美術館蔵)
(ヴァシリー・カンディンスキー「『コンポジション7』のための習作2」1913年、レンバッハハウス美術館蔵)
小林秀雄ではありませんが、言葉に置き換えようとすること自体、意味がないのでしょう。まさに「言葉は眼の邪魔になる。」
何かを観ようとするよりも、眼に入るものを受容し、感じ、そして頭のなかで想像力がぐるぐるまわる、私にはそんな貴重な経験でした。
カンディンスキーと青騎士展
2010年11月23日~2011年2月6日
三菱一号館美術館
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます