六本木の2つの美術館で開かれているピカソ展に行って来ました。
パリにある国立ピカソ美術館の改修に伴って実現した世界巡回展で、日本では東京だけでの開催です。
ですが、初めにお断りしておきますが、私にはピカソは結局のところよく分かりませんでした。これまでもずっとそういう印象があって、今回は生涯の作品を俯瞰的に見ることで理解が進むかもという強い期待があったのですが、結局本質的なところは分からず仕舞い。印象に残ったのは、初期の青の時代と、壮年期に突如現れる新古典主義の作品でした。
冒頭の写真は、国立新美術館の展示のトップを飾る作品(「ラ・セレスティーナ」1904年)。射すくめるようなその目。圧倒的な存在感。いきなり動けなくなりました。
その少し後、薔薇色の時代から1枚。
(「二人の兄弟」1906年)
次に動けなくなったのは、美しい妻オルガの肖像。
(「肘掛け椅子に座るオルガの肖像」1918年)
墨絵のように薄く塗った色彩と、絵の具の濃さの違いで出した線。ゆらりと伸びたその腕。美しい女性像がそこにあります。
かわってサントリー美術館。そのオルガが産んだ息子、パウロを描いた作品。
(「ピエロの扮するパウロ」1925年)
ピカソがこれだけ線と面だけで勝負出来る画家だとは、正直思っていませんでした。
両美術館の展示を通じて、最も印象深かった作品はこちら。
(「自画像」1901年)
画面の中央に青白く浮かび上がる顔。圧倒的に迫り来る画面下の黒い服。この絵の現物が見れたことは私にとって一生の宝物です。
ピカソ展
2008年10月4日~12月14日
国立新美術館
サントリー美術館
というように、結局今の私には写実的な絵しか分からないということなのでしょう。どれだけ頭が固いのか自分でも呆れるほどですが、これが今の自分であれば仕方ありません。
最後に、今回のピカソ展の展示ではありませんが、私が一番好きなピカソの作品をご紹介しましょう。
(「腕を組んですわるサルタンバンク」1923年)
この絵はブリヂストン美術館で常設展示されていて、企画展の最中も大抵は観ることが出来ます。この絵は以前はピアニストのホロビッツが所有していたらしいですが、複製があれば家に飾りたいくらい、気に入っています。今の私にとってこの絵が昼休みや会社帰りに気軽に観れるのはとても幸せなことです。当分この好みは変わりそうにない気がしています。
ピカソは私の中では理解するのにもう少し時間が掛かりそうです。
図録も買いましたし、これからゆっくり向き合おうと思っています。