ブリヂストン美術館の展示が入れ替わりました。
企画展は「安井曾太郎の肖像画」。安井曾太郎の肖像画は、常設展でいつも何点か展示されていましたが、これだけ纏まって見るのは初めてでした。
ただ、個人的には全体を見終わった時の印象はそれほど強いものではなく、逆に、その影響を強く受けたと言われるセザンヌを、追いかけても追いつかない差のようなものが出ているように感じました。(これは特に肖像画に限った展示だったからということもあるかも知れません。)
私はむしろ、人物そのものよりもその服装や背景の装飾的な美しさに、より日本的なものを感じました。例えばこの絵なども、人物よりもその衣装に眼が行きます。
(安井曾太郎「金蓉」1934年)
皮肉なことに、この日最も印象に残ったのは、併設の常設展にあった安井曾太郎の静物画。
(安井曾太郎「薔薇」1932年)
思い切った背景の黒の使い方。意匠性に溢れた花瓶。そして何よりも、長い筆致で一息に描かれた薔薇の花びら。この絵を発見しただけでも、訪れた甲斐がありました。
展示は来年1月17日まで。年間パスも更新しましたし、また会社帰りに寄るのが楽しみです。
安井曾太郎の肖像画
ブリヂストン美術館
2009年10月31日~2010年1月17日
安井の作品は、私の興味の対象外
の故、意識して鑑賞したことが
ありませんでした。
デ、印象に残らなかったのでしょう。
しかし、今後は彼の静物画に注目する
ことにします。
文泉
今回ひと通り肖像画を見た後で「何だかなぁ」と思いながら
常設展の方にまわって、不意に出会いました。
思わぬは発見とはまさにこのこと。
これがあるから、美術館めぐりはやめられないですね。