ベルリン国立美術館、正確にはベルリン国立絵画館。
一生のうちに一度は行ってみたい場所のひとつです。その収蔵品が大挙して上野にやって来ています。ちょうど良いタイミングで金曜日の夜、行くことが出来ました。
展示は15世紀の宗教画から。それはまさに宗教と実生活が決して切り離されることのなかった時代。
(ベルナルディーノ・ピントゥリッキオ「聖母子と聖ヒエロニムス」1490年頃、ベルリン国立絵画館蔵)
それにしても、日本に居ながらにしてこのルクレティアに会えるとは。妖艶なその立ち姿。まさに聖にして淫。
(ルーカス・クラーナハ(父)「ルクレティア」1533年、ベルリン国立絵画館蔵)
そして、500年近く経った今なお鋭いこの眼差し。峻厳なるリアリズム。
(アルブレヒト・デューラー「ヤーコプ・ムッフェルの肖像」1526年、ベルリン国立絵画館蔵)
見つめる対象が神から人へ、聖から俗へ。
(ディエゴ・ベラスケス「3人の音楽家」1616-1620年頃、ベルリン国立絵画館蔵)
このベラスケス、それから2枚のルーカ・ジョルダーノが並ぶこの壁は、間違いなく今回の白眉。
(ルーカ・ジョルダーノ「アルキメデス」1650-1653年頃、ベルリン国立絵画館蔵)
(ルーカ・ジョルダーノ「エウクレイデス」1650-1653年頃、ベルリン国立絵画館蔵)
現物を前にしてのみ味わうことのできる、圧倒的なディメンションと迫真の陰影。
それはこの、意外にも小さな絵とて同じ。人を、そして物を描くのではなく、光と空気を描く。
(ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」1662-1665年頃、ベルリン国立絵画館蔵)
その展示の流れと構成。
幼稚に思えた「学ベルリン」のキャッチコピー。
いやはやなかなか、言い得て妙。
ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年
2012年6月13日~9月17日
国立西洋美術館
素敵なヒトトキを過ごされましたネ。
コメント不要だと思いますが、
ヒトコト
ベラスケスの人物ヒトリヒトリの
個性がみごととに描かれていることに
感心します。
文泉
前(昔)の方に遡っているような気がします。
それは自分で意識してそうしている訳ではなく、
結果的にそうなっているだけなのですが。
ベラスケスとルカ・ジョルダーノは、ひとつの
展示室の同じ面の壁に並んでいたのですが、
もしその前にベンチがあったら、ずっと座って
動けなかったと思います。
本当に素敵なヒトトキでした。