サラリーマン稼業が『サラリーマンどんと節気軽な稼業と来たもんだ。』だったのは昭和の時代までだったようです。居酒屋などで流行っている昭和懐古もこの辺から来ています。2013年に65歳まで再雇用を義務していますが、定年を65歳まで強制的に延長するものではなく、再雇用です。しかも、罰則は社名公表でしか無く大企業でも半数は制度未導入です。ブラック企業からみれば屁の河童でしょう。又導入している企業でも社員にとっては仮に同じ仕事でもボーナスゼロ+年収4割減です。年金のつなぎの意味合いですね。「主幹部長」や「プロフェッサー」という慰安の肩書を用意してくれる企業もあるようですが、実態は一回りも年下の上司に指示される仕事です。それでもスキルや独立の明確なプランがなければ定年後の独立は難しく『定年をリセットではなくチャンスと捉えて』ちょっと寂しいですが、会社にしがみつく方が本人には良いようです。
▼不安ポイント
・65歳まで雇用義務あり。だが大企業の半数は「制度未導入」
・再雇用されると待遇は? どんな仕事があるのか
・キャリアをいかした独立は若くなくても可能か
■「大企業」出身者ほど年収は大幅にダウン
2013年4月、「改正高年齢者雇用安定法」が施行された。企業に対し、希望した社員全員の65歳までの雇用を義務づけるもので、違反企業は社名が公表されることもある。サラリーマンには朗報と思える施策だが、実は手放しでは喜べない。これは決して「定年を65歳まで延長する」という法律ではないからだ。
今回の法律は、老齢年金の支給開始年齢にあわせて、雇用年齢の上限を段階的に引き上げることを認めている。年金の支給開始は、2025年までに65歳へと段階的に引き上げられるが、その間たとえば63歳から年金をもらう人は、法律では63歳までしか再雇用が保障されない。つまり年金受給までの「つなぎ」の意味合いが強い。
厚生労働省の調査によると、全国の約14万社のうち、「65歳以上まで働ける」という企業は66.5%。特に従業員301人以上の大企業では48.9%に留まる(図1)。さらに内訳をみると、雇用年齢の引き上げについて、「定年の廃止」を選んでいる企業は2.6%で、「70歳以上まで働ける企業」も全体の18.2%にとどまっている(図2)。企業は高齢者を雇用することについて、まだ及び腰だ。
高齢者雇用にはほかにも落とし穴がある。法律が義務づけているのは、「継続雇用制度の導入」であり、たとえば「週3日勤務、2人で1人分の業務を担当する」という勤務形態は「合理的な裁量の範囲」で、適法とされる(厚労省「高年齢者雇用安定法Q&A」)。このため定年前と定年後では、仕事の内容は大きく変わる恐れがある。実際、厚労省の調査でも定年後、22.3%は継続雇用を希望せず、1.2%は希望したが条件が合わず継続雇用されなかった(図3)。
実態はどうなのだろう。経営人事コンサルタントで、2010年度から3年間、国の「高齢者雇用アドバイザー」を務めた榎本雅一氏は、「ボーナスなし。年収は4割減が普通です」と話す。
「定年が延長されるのではなく、あくまで再雇用。年収が低い中小企業では、現役時の2割減程度になることもありますが、年収の高い大企業に勤めていた人ほど削減額は大きく、6割減という会社も珍しくはありません」
変わるのは給料だけではない。多くの部下を率いていた管理職が、嘱託として再雇用される。すると机はパート社員と同じ末席に。椅子は肘付きから肘なしに。ロッカーは新人と同じ出入り口近くに。掲示板は「○○部長」から姓のみに。一回りも年下の部下が上司になり、細かく指示を受ける――。
ここでジッと耐えるか、爆発して辞めてしまうか。なかには嘱託者の気持ちを慰めるために、「主幹部長」や「プロフェッサー」という特別な肩書を用意するケースもあるという
■スキルない「会社人」は厄介払いされる
会社側がどれだけ配慮してくれるかはわからないが、榎本氏は「『会社人』ではなく『仕事人』としての意識を持つ人は適応しやすい」と話す。
「『会社人』の典型は人間関係や派閥の強みで出世してきた人。専門知識やマネジメント力を培うことなく、上司の命令に忠実に従ってきた。こういう人は、『これだけ会社に尽くしてきたんだから、定年後はねぎらってもらえるはず』と考えがちですが、再雇用では使いづらい。一方、『仕事人』は業務を通じて専門性を身につけている人材。社内外にネットワークを持っていて、自分のスキルや能力を客観的に評価できる。こういう人は歓迎されます」
定年を控えて、会社側が「勇退」をもちかけるケースもある。社長との会食や豪華な慰労表彰を通じて、自発的に退職を選んでもらうのだ。企業にとっても「会社人」にとっても、お互いにメリットがある選択肢だが、「明確な定年後プランがある人を除けば、できるだけ会社にしがみついたほうがいいでしょう」(榎本氏)。
嘱託再雇用で「負け組」になりたくない。そう考えるなら、独立という手もある。榎本氏は三つの働き方を「拡雇用」と呼んで提案している。人事や会計などの特定分野について請け負う「インディペンデントコントラクター」、営業や販路開拓を代行する「セールス・リプレゼンタティブ」、経営幹部への助言を行う「コンサルタント」である(図4)。いずれも現役時代の専門性を拡げた働き方だ。
独立における最大の障壁は、いかに顧客と出会うか。榎本氏自身、1990年にコンサルタントとして独立しているが、前職でのつながりから顧客が増えていったと話す。
「経験のないことにチャレンジしても成功は難しい。『やりたいこと』より『できること』。定年を、キャリアのリセットではなく、働き方を変えるチャンスと捉えられる。そういう人は『拡雇用』を考えてみてほしい」
▼対策ポイント
・「定年延長」ではなくあくまで再雇用と心得る
・年下の上司にもグッと我慢する
・プランがなければ会社にしがみつくべき
・定年はリセットではなくチャンスと捉える