人民元の流出が止まりません。8月だけで、2兆8700億円もの巨額資金が流出している。円高の大きな要素です。国際決済銀行が「米国のサブプライムローン危機やアジア通貨危機の前より厳しい状況だと警告している。元売りや資本流出は避けられない」と警告しているように危機を見越してあたかもネズミが逃げ足しているようです。日本への甚大な影響は避けられず、筆者は日本も3年以内に不況入りする可能性は高いとみています。アジア通貨危機→米サブプライムローン危機→人民元流出危機が10年間隔で迫ってきて、そのたび一番被害を被るのは日本です。今回は安倍長期政権で不況どまりかもしれません。
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中国の通貨、人民元の下落が止まらない。10月から国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に正式採用されたが、約6年ぶりの安値水準まで売り込まれた。そんな中、中国からの資本流出は見掛けよりも深刻かもしれないと米投資銀行のゴールドマン・サックスが警告している。
人民元は「国慶節」の連休明けの10日から続落し、11日には一時1ドル=6・7148元と、2010年9月以来の元安水準になった。米国の利上げ観測やドル高も元売りに拍車をかけた。
ブルームバーグによると、8月の公式統計では、人民元決済を通じ277億ドル(約2兆8700億円)が中国から流出した。2014年までの5年間の月平均では44億ドル(約4560億円)にとどまっている。
ゴールドマンの中国担当シニアエコノミストは、越境資本がこれほどの規模になる理由をマーケット要因で説明することはできないと指摘し、ドルではなく人民元のまま越境する資本が増えていると警告した。企業が中国本土で人民元をドルに換金する動きを制限されていることが背景にあるという。
また、中国人民銀行(中央銀行)と国家外為管理局(SAFE)のデータによると、「昨年10月から今年8月までに人民元の貿易決済が主因で元の純流出額が2650億ドル(27兆4800億円)相当に達した」という。
人民元安と資本流出の背景について、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏はこう解説する。
「SDR採用を決めた当のIMFが、中国の債務水準に警告を発しているうえ、国際決済銀行(BIS)は3年以内に中国で金融危機が起こる危険性があり、米国のサブプライムローン危機やアジア通貨危機の前より厳しい状況だと警告している。元売りや資本流出は避けられない」