IMFの仮想通貨SDR、その基になる通貨は、通貨を発行する国の輸出額の大きさと通貨が使われる度合いで決まり、これまではドル、ユーロ、イギリスのポンド、それに円の4つの通貨の組み合わせでしたが、10月1日からは新たに中国人民元が加わり、人民元が世界の主要な通貨に位置づけられた。 さらに、組み合わせの配分で、人民元は円などを抜き、ドル、ユーロに次いでナントいきなり3番目となりました。人民元は存在感を増し、自衛手段の乏しい 円の存在感は今後低くなっていくでしょう。しかし、当面は逆の動き円高が日本を襲います。
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【北京時事】中国の人民元が1日、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に加わった。
念願だった主要通貨の仲間入りを果たし、国策の「人民元国際化」に大きく弾みがつく。習近平指導部は来年秋に開く5年に1度の共産党大会に向け、国威発揚に利用するとみられるが、元国際化への課題は山積している。
「SDR入りで中国経済に対する世界の信頼が高まる」。政府の意向を正確に反映する国営新華社通信は解説記事で、IMFから国際通貨としての「お墨付き」を与えられた意味を説明した。
中国が期待するのは、人民元の信頼向上で世界的に元の使用が増えることだ。元での貿易決済拡大のほか、ドルや円の代わりに元を外貨準備に加える国が増えたり、国際金融市場で元建て債券の発行が促されたりすることが見込まれている。
◇ドルの地位不動
しかし、確固たるドルの地位が簡単に揺らぐとは中国も考えていない。胡錦濤前国家主席は2009年に開いた中央経済工作会議で、「ドルの地位は米経済の実力と総合的な国力に支えられており、相当長期にわたって変わらない」との認識を示した。
08年のリーマン・ショック後、ドルの影響力低下も含めた国際経済の変動ぶりを政府内で調査。ドルの地位は不動と結論付け、元国際化には徐々に取り組む方針を確認した。
中国人民銀行(中央銀行)は各国中銀との間で、互いの通貨を融通し合うスワップ(交換)協定を締結。中国の商業銀行が世界主要都市に置く拠点には、人民元での取引を決済する機能を持たせた。中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)も、元建ての債券発行や融資で元国際化に貢献する構えを見せる。
◇資金移動を規制
一方で、元国際化を阻む最大の要因は中国自身にある。資金流出を恐れる中国は国境をまたぐ自由な資金移動を完全には認めておらず、外国人の対中株式投資には厳しい規制が残る。人民元の完全変動相場制への移行すらも実現できずにいる。
新華社の記事は「人民元が中国の経済力にふさわしい地位を獲得することが元国際化の最終目標」と宣言した上で、「非常に長い歴史的なプロセスになる」と指摘した。