『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

大学ブランド変化。親の1980年代と現在では私立大学の立ち位置が異なる!

2017-05-15 06:53:19 | 日記
時代ととともに大学のブランド力も変化しています。かつては偏差値が高かった女子大も今ではMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)クラスにも追い越されているようです。❝家から近い。学びたいテーマがある。元気な女子が多い。男子と交わり楽しい学生生活を送りたい。それにトイレがきれいでパウダールームまであるから❞ とその理由もおじさん世代からは飛んでいます。しかし、変化を受け入れなければ、成長が止まってしまうので、受け入れるしかないでしょう。
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大学選びにおいて、親世代の価値観が子世代に通用しなくなってきている。一方で各大学は自らのブランド力を高め、より多くの学生を獲得すべく様々な方策をとっている。有名大学でさえ、昔のブランド力にすがっていては生き残ることが難しいのが現状だ。大学ブランドの変化から時代の変化が見えてくる。
(出典:文藝春秋オピニオン 2017年の論点100)
津田塾大が「2017年の勝負」に出た理由

 大学受験では親世代の感覚がおよそ通用しないケースが見られる。親世代が学生だったころ(おそらく、多くは1980年代)と現在では、私立大学の立ち位置が変わっているからだ。
 たとえば、女子大である。埼玉県内に住む受験生を持つ家庭で、娘が津田塾大、明治大に合格したとする。親は津田に通ってほしい。しかし、娘は明治に行きたいという。その理由は明治のほうが家から近い。学びたいテーマがある。元気な女子が多い。男子と交わり楽しい学生生活を送りたい。それにトイレがきれいでパウダールームまであるから、という。

 もちろん、津田塾大に魅力がなくなったというわけではない。少人数で行き届いた教育はいまでも高い評価が得られている。とくに語学の授業には定評がある。就職実績も良い。しかし、1990年代以降に広がった「女子大ばなれ」の影響を受けてしまった。両方受かって、立教大や明治大を選ぶ女子学生が出てきたのである。それが遠因となって、1980年代まで人気が高かった津田塾大、日本女子大、東京女子大、神戸女学院大も難易度が下がってしまった。

 だが、津田塾大も指をくわえて見ているわけではなかった。2017年、勝負に出る。千駄ヶ谷キャンパスに総合政策学部を新設する。東京体育館の目の前で、かつて津田スクールオヴビズネスがあったところだ。学部長には萱野稔人氏。現代思想が専門で、津田のなかではもっともメディアへの露出度が高いスター教授だ。巻き返しが功を奏して、総合政策学部は看板学部となるだろうか。

「在野」の早稲田はいつしか「官僚養成」ブランドに

 女子大がやや苦戦する一方、早慶上智、東京理科大、そしてMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)はブランド力を堅調に維持している。青山学院大は文系学部すべてを相模原から青山キャンパスに移したので、埼玉、千葉の受験生を取り戻した。

 では、中央大の多摩キャンパスはロケーションでハンディを抱えていることになるだろうか。通学には都心から1時間半は要するので、埼玉、千葉、神奈川の受験生はどうしても敬遠してしまう。しかし、学生の出身地をみると首都圏以外が4割近くいる。早慶MARCHのなかでもっとも多い。これは、多摩地区の家賃が都心よりも安い、大学周辺は自然に囲まれて喧噪感がない、という背景がある。中央大は全国区というブランド力を確立していた。

 さて、早慶である。大手予備校によれば、両方受かった場合、慶應を選ぶというデータが出ている。これは、慶應のほうが早稲田よりも大手金融機関、商社、メーカーなどへの就職実績が良いからといえる。たとえば、みずほフィナンシャルグループ就職者は慶應174人、早稲田118人(2016年)となっている。

 では、早稲田の強みはどこか。「在野」「反骨」という建学精神とは裏腹に公務員になる学生が多い。国家公務員合格者(総合職、一般職)464人は全国トップ。東京都1類118人も群を抜いている(2015年)。官僚養成大学としてのブランド力を築いているのだ。

「グローバル学部」が看板学部になる時代

 早慶上智、東京理科大、MARCHレベルになると、大学そのものより学部間においてブランド力でしのぎを削っている様子が見てとれる。

 慶應の看板学部はと問われれば、親世代は経済学部と答える。しかし、いまや法学部のほうが人気は高い。偏差値も上だ。優秀な女子が入学してレベルを上げたという説がある。逆に振るわないのが、SFC(湘南藤沢キャンパス)だ。1990年代、華々しくデビューしコンピューター、語学教育のカリキュラムが充実していたため、メディアから大学教育の最先端ともてはやされた。起業家養成で注目されたこともある。だが、今となってはそれほど話題にならなくなった。

 早稲田大では国際教養学部に勢いが見られる。すべて英語で授業が行われており、原則として留学が必須となっている。就職実績も良い。上位に日本アイ・ビー・エム10人、三菱東京UFJ銀行8人、日本航空8人、三菱商事7人など(2016年)。

 親が学生だったころは、存在しなかった学部が意外にブランド力を持っている。たとえば、立教大経営学部である。立教大のなかではもっとも難易度が高い。経営学、会計学、商学という既存の学問へのアプローチよりも、グローバル企業で活躍できる人材養成を前面に打ち出したことで人気を集めた。

 法政大グローバル教養学部は1学年100人。法、経済、経営、社会などの学部に比べると、7分の1から8分の1以下である。徹底した少人数教育、英語による授業によって就職実績を高め、法政一むずかしい学部となった。

 関西の関関同立(関西学院大、関西大、同志社大、立命館大)も首都圏と似ている。同志社大グローバル・コミュニケーション学部とグローバル地域文化学部、関西学院大国際学部、立命館大国際関係学部など、学部レベルでブランド力の高まりが見てとれる。

 近畿大は3年連続志願者日本一を続けている。マグロの養殖、つんく♂の入学式プロデュースなどで、近大の知名度は全国的に広がっているが、関関同立の壁は厚くブランド力につながっていない。教育力を高め、それを、難易度、学生の進路にどう反映するかが課題だ。

 大学のブランド力は歴史と伝統、規模、難易度、教育内容、研究水準、教員の社会へ向けた発信度、学生の活躍、就職実績、OB・OGなどによって構築される。教育、研究の成果、結果で評価されるには時間がかかる。大学が新設学部などの新しい試みで本当のブランド力を付けるためには、最短でも10年が必要とされよう。逆にいえば、10年後、20年後、ブランド力が変わってしまうおもしろさが大学には秘められている。

コメント (1)
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