中国経済がGDP(国内総生産)の30%を占める不動産関連企業のデフォルトや政府の規制強化によって減速です。
中国は何度も危機がありましたが、その都度政府の介入で乗り越えてきました。しかし、米中対立によって外国資本
が逃避しだし、危機が迫っているようです。日本経済にも一時的に大打撃を与えるでしょうが、中期的にはむしろプラ
スに作用する可能性がある。。令和時代は日本経済が再生される時代になるのかもしれません。
以下抜粋コピー
中国経済の衰退は2015年から始まっていた。同年8月15日の上海株暴落に対して、当局は普通の国なら思いつきも
しない荒療治に出た。「株を売るな」「悪質な空売りは罰する」と命じて、市場を事実上凍結、裏から証券会社に資金を
ぶち込んでの「緊急カンフル注射」という生命維持装置で何とか延命した。しかし、このパッチワークは、さらに猛烈な
バブルを招来させる。辛うじて倒産を回避できたのは米欧ファンドの中国投資の継続と、外国企業の中国工場維持による
外貨獲得が継続できたからだ。だが、無理がたたり、傷口はかえって広がる。国内的には「未曽有の不動産投資」が起こ
った。不動産販売から広告代理店の末端までを含めると、GDP(国内総生産)のおよそ30%である。いずれもが末
期症状となり、デフォルト(債務不履行)が24・3%増(21年第1四半期)第1に、不動産バブルはとうに崩壊し
ている。事実を隠蔽してきたが、頭隠して尻隠さず、惨状に近い真相が露呈した。各地の建設現場のクレーンがとまり
生コンは稼働しているところは少なく、テント村の労働者は給料不払いで田舎へ帰る金さえない。第2に、金融と直結す
る今後の難題が「不動産ローンの行方」だ。頭金を支払い、ローン契約を組んだのに物件引き渡しができない。建設が中
断したからだ。そのうえ投資した人々の多くが、実は共産党員である。だから、中国不動産大手「中国恒大集団」は事実
上倒産しているにもかかわらず、息の根を止められないのだ。第3に異様な人民元高による輸出競争力の劇的な低下がある。
第4に、起死回生を狙うグリーンビジネス、EVプロジェクトだが、株式市場の動きをみていると、風力、太陽光パネルな
どで、かつての期待は急速にしぼみ、むしろグリーン・スタグフレーション(=景気停滞と物価上昇が同時進行する)の傾
向が顕著となった。第5に、中央銀行は預金準備率を0・5%引き下げ、市場へ邦貨換算で21兆円のカンフル注射、つい
でプライムレート(=優良の企業に貸し出す際の最優遇貸出金利)を0・05%引き下げ3・8%としたが砂漠に水だった。
名門のIT大手「北大方正集団」、国有半導体大手「紫光集団」の外貨建社債も債務不履行。SNS産業の「黄金の日々」
は終わり、61社の社債が紙くずと化し、新規起債、CP(短期社債)発行は不能となった。ゲーム産業と家庭教師、予備
校の失業は1000万人。それでも当局は今後しばらく、ごまかし作戦を続けるだろう。
宮崎正弘氏