ロシアのプーチン大統領は12日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャの民間人殺害は「フェイク(偽情報)」と主張した。ロシアメディア「SM NEWS」も、「ロシア軍はウクライナの女性スナイパー、オレナ・ビロゼルスカを殺害した」と報じました。しかし、この報道に対し、殺害されたはずのビロゼルスカ氏本人が、フェイスブックで殺害の報道は、“フェイクニュース”ですと報告。「フェイク」だらけで裏が取れていない情報は信じられない。
プーチン大統領率いるロシア軍は戦争開始以前は、「世界最大かつ最強クラスの軍隊を保有している」と広く信じられていた。軍事力は米国には及ばないが、ウクライナのような軍事的弱小国を征服する能力はあると思われていた。
現在の戦況は プーチン大統領は当初、2日間で首都キーウを占領し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権を打倒し、ロシアの傀儡政権を樹立し、ロシアがコントロールするウクライナの建設を夢想した模様だが、その試みは見事に失敗した。
7週間にわたるウクライナでの戦争で、ロシア軍は首都キーウを占領できず、大きな損害を出して撤退せざるを得ない状況になった。
ウクライナ侵攻は、プーチン大統領の意図とは逆に、米国などの民主主義陣営の結束を強化する結果となり、ロシアの国際社会における孤立を決定的なものにした。
ロシアは19万~20万人の兵士でウクライナに侵攻したが、キーウ周辺で敗れ、多くの死傷者を出した後、急遽撤退を余儀なくされ、北ウクライナには多くの破壊または放棄された装備が散乱している。南部と東部でも、ドンバスのイジウムに向けて少しずつ前進しながら、南西部のヘルソンでは実際には後退させられており、3週間前からほとんど動きがない状態となっている。
もしロシア軍の状態が良ければ、プーチンはウクライナ以外に配置されている部隊を投入し、損害を出している侵攻軍を助けることができるだろう。南部と東部の一部を占領するのに十分な兵力はあるかもしれないが、その後にそれらの地域を保持しようとすると、良質な部隊が残っていない。ロシアの残存兵力がウクライナ全土を占領するのに十分ではない。
ロシアがより長い戦争をするためには、全く新しい軍隊を創設し、訓練し、装備を与える必要がある。
ロシア社会の戦争へのコミットメントが問われ、ロシア人を解放し、ウクライナを非ナチス化するための戦争であるという「フェイク(偽情報)」が完全に崩れるのも時間の問題です。西側諸国の経済制裁が徐々にロシア国内の生活に威力を発揮しつつある。
ロシアがウクライナで直面している基本的な問題は、その軍隊があまりにも小さく、ロシア政府が信頼する兵士が少なすぎて、実際に戦えないことだ。
ロシア軍は、多くのロシア国民が想像しているよりも悪い状態にある可能性が高い。ロシア軍は今後、マリウポリの占領などの小さな戦果を得ることがあっても、プーチンが戦争開始にあたり夢見たような大戦果を得ることはなく、化学兵器を時折使う、引くに引けない孤立戦争が数年間継続する公算が高くなっている。
“伝説の女性スナイパー”ことビロゼルスカ氏を巡って、ロシアメディア「SM NEWS」は、「ロシア軍はウクライナの女性スナイパー、オレナ・ビロゼルスカを殺害した」と報じました。
しかし、この報道に対し、殺害されたはずのビロゼルスカ氏本人が、フェイスブックで反論したのです。
ビロゼルスカ氏:「誰が亡くなったのかは、不明です。亡くなった女性は、民間人のようです」
殺害の報道は、“フェイクニュース”だったことが明らかになりました。
今回、ロシア側がうその情報を流した背景には、ビロゼルスカ氏がウクライナで「英雄」とたたえられる、“伝説の女性スナイパー”であることが考えられます。
現在42歳のビロゼルスカ氏は元々、メディアの編集者でした。
ところが、ロシアのクリミア侵攻が始まったことをきっかけに、2014年に志願兵部隊に加わります。
それから、2018年までに三度の勲章を受章するなど、親ロシア派と戦うシンボルとして活動。その後、最前線から離れていた、ビロゼルスカ氏ですが、ロシア軍について、こう語っていました。
ビロゼルスカ氏:「プーチンの軍隊が侵入してきたら、再び前線に戻り、敵を殺害することにちゅうちょしない」