将棋の叡王戦五番勝負の第1局(竜王、王位、王将、棋聖、19)が4月28日、叡王戦五番勝負の第1局で出口若武六段(27)に勝利し、叡王初防衛に向けて好スタートを切った。 藤井叡王の先手番で始まった一局の戦型は「相掛かり」になったが、序盤に出口六段が研究と思われる手を指したことで、早々に藤井叡王が20分前後の考慮を繰り返し、慎重に手を進めた。正午からの昼食休憩の時点では、形勢は互角も持ち時間では出口六段が1時間リードする展開で、午後に突入した。難解な中盤に突入したことで、昼食休憩を挟んで出口六段も65分の長考を入れると、時間差は一気に詰まった。その後も両者、持ち時間が30分を切るまでじっくりと指し進めたが、残り少なくなってから将棋が動き始めると、膠着状態から先に抜け出したのは藤井叡王。はっきりとリードを奪ってからは、持ち前の終盤力を活かして確実に勝利を収めた。これにはABEMAで解説を務めていた広瀬章人八段(35)からも「指し回しがパーフェクト」「実戦の間隔が空いたことを感じさせない」と絶賛のコメントが続いた。 対局後、インタビューを受けると「こちらが序盤から動いていけるかという将棋だったと思うのですが、中盤の手が難しくて、本譜は自信のない展開になってしまったと思って指していました」と振り返った。久々の公式戦には「かなり前回の対局から期間があったので、やってみないとわからないところもあるかなと思ったんですが、始まったら普段通り指すことができました」と、指しながら感覚を取り戻したとし、次局に向けては「久しぶりの対局で、途中少し時間を使ってしまったところもあると思うので、第2局以降そのあたりを修正したいです」と課題を見つけていた。 現在、最多の五冠を保持する藤井叡王だが、強豪ばかりと戦うタイトル戦でも無類の強さを見せている。本局の勝利で、タイトル戦としては昨年8月24、25日に行われた、お~いお茶杯王位戦七番勝負の第5局、豊島将之九段(31)に勝利してから11連勝。その間には、叡王戦五番勝負の最終第5局で豊島九段を下した一局、竜王戦七番勝負での4連勝、渡辺明名人(棋王、38)に挑戦し4連勝したALSOK杯王将戦七番勝負と、2つのストレート勝ちも含まれている。
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