ティー・ロウ・プライスの債券部門責任者、アリフ・フセイン氏は昨年、日本の金利上昇について早期に警鐘を鳴らし、世界の金融界に大地震を引き起こし得る 「サンアンドレアス断層 」と表現した。
日銀の政策修正、巨大衝撃波の震源とティー・ロウ-資金の国内回帰で日本の金利上昇が市場に衝撃を与えるという同氏の予想は、正しかったことが証明された。日本銀行の7月の利上げは円キャリートレードの急激な反転を引き起こした。
フセイン氏はこれについて「断層の最初のずれに過ぎない。ずれは今後も起こる」と、カリフォルニア州で大地震を引き起こしてきたサンアンドレアス断層を引き合いに出して語った。
タカ派的な日銀と米国の成長鈍化への懸念が、8月5日の旺盛な円買いを後押しした一方で、投資家は株式、通貨、債券に連鎖した世界的な動揺のさらに根底にあるものを無視しているかもしれないと同氏は言う。
そこには、日本の金利がますます上昇し、海外に投資された巨額の日本の資金が本国に還流するリスクが含まれる。
「円キャリートレードをスケープゴートにすることは、より大きく深いトレンドの始まりを無視している。日銀の金融引き締めと、それが世界の資金の流れに与える影響は単純なものではなく、今後数年にわたって大きな影響を与えるだろう」とフセイン氏は述べた。
低金利で調達した円を売ってより利回りの高い資産に投資する円キャリートレードが突然巻き戻されたことで、日経平均株価は1987年以降で最大の下落を演じ、株式市場のボラティリティーを示すVIX指数は急上昇した。
円相場は現在対ドルで142円を挟んだ取引レンジに落ち着いているが、ボラティリティーは依然として高い。想定される米利下げと日銀のさらなる引き締めは、どちらかと言えば早期に市場を再び揺さぶる可能性がある。「日本の利回り上昇はある時点で、生命保険会社や年金基金の巨額資金を、他の質の高い国債から日本国債へと呼び戻す可能性がある。生命保険会社や年金基金だけではなく日本の金融機関が米国から自国へ資金を移すにつれて、米国債が圧力を受ける可能性がある。 これは事実上、世界市場の需要を再編成することになる」と同氏は述べた。