『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

中国がバブル崩壊、住宅買い取り進まず“国進民退”中国経済の成長率下落傾向

2024-09-02 04:52:34 | 日記
今年5月、中国人民銀行(中央銀行)は住宅買い取りを支援するために3,000億元(1元=20円で6兆円)の再融資制度を立ち上げた。商業銀行はこの資金を地方政府に貸し付け、同政府は資金を用いて不動産デベロッパーから住宅在庫を買い取る。対象物件は地方政府が作成したホワイトリスト(優良な住宅在庫一覧)から選ぶ仕組みだ。リノベーションを行い、低所得者向けの住宅として販売することで収益を得る。
中央銀行が設定した資金枠のうち6月末までに利用されたのは121億元で、約4%に過ぎない。
問題の一つは、不動産業者の値引き負担だろう。デベロッパーは地方政府に在庫を売却する際、相応のディスカウントを行う。市況が悪化する中での割引は不動産業者の体力を削ぐ。業界にとって政策の負担は相応に大きいとの見方もある。
商業銀行のリスクも高い。経済成長率の低下により、中国工商銀行など国有5大銀行でさえ利ザヤは縮小した。大手行の最終損益が赤字に陥るとの観測もある。銀行にとって、財政状況の芳しくない地方政府に資金を融通するリスクは高い。地方政府関連プロジェクトの資金調達を行う地方融資平台(LGFV)の不良債権は増加傾向にある。
住宅在庫の買い取りが進んだとしても、債務者の名義がデベロッパーから地方政府に変わるだけで、不良債権そのものがなくなるわけではない。そうした懸念から、「住宅在庫買い取り政策の効果は期待できない」とみる中国経済の専門家は多かった。不良債権処理の遅れなど、中国政府の対応の遅さ、不十分さは改めて確認できたといえる。
このところ、中国政府は“国進民退”を重視しているようだ。国営・国有企業の成長が最優先で、民間企業の競争力の退潮はやむなしということなのだろう。
中国政府は、政府主導で輸出競争力を高めることで不動産バブル崩壊の後遺症を克服できるとみているのかもしれない。確かに、政府が国有・国営企業の生産拡大政策を進めれば同企業の生産は増加し、数字面では上振れる。
しかし、それは国内需要の創出ではない。現在の政策だけでバブル崩壊の後始末を進めることは困難であり、財政出動による需要喚起が遅れれば、不動産市況の悪化を懸念する声はさらに高まるだろう。
中国は政府主導の輸出攻勢で表向き順調そうに見えるかもしれないが、中国経済が本格的な持ち直しに向かうのは、まだ先になりそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする